63話『旅路』
何日も何日も、いや、もう2ヶ月以上森を進んでいるだろうか。
大森林での生活にも慣れてきたものだ。
「ハル!水の音!池があるよ!」
ミナの耳がぴょこぴょこと動き、元気に言う。
「マジで!?やった!」
水魔法の巻物があるので飲み水は問題ないが、やはりたまには思い切り水を浴びたいところだ。
特にここ数日は雨も降っていなかったので助かる。
充分に警戒しながら進むが、自然と少し早足になる。
「あった!!」
視界に入るや否や、ミナとハルは走り出す。
鎧と荷物を置き、服まで脱ごうとするミナ。
「ミナ!さすがにそれは…ついでに洗濯するってことでそのままで…」
ハルは慌てて静止する。
もちろん洗濯は別に行ったほうがいいに決まっているのだが、背に腹は変えられない。
「えー…そのままだと貼りついて気持ち悪いのよね…あ、じゃあ折衷案ってことで」
そう言ってミナは下着だけになって池に飛び込む。
「あぁー…まぁ…仕方ないか…」
あれは水着だ。あれは水着だ。布面積は変わらない。あれは水着だ。
なんとか自分に言い聞かせるハル。
「ハルもおいでよー気持ちいいわよ~」
ミナが気持ち良さそうに手招きしている。
「わかってる!」
今はとにかく水浴びだ。
適当に脱ぎ散らかし、ハルも池に飛び込む。
大きな水の音と共に、冷たい感覚が全身を包む。
「ぶはーーー!!生き返る!!!った!」
水面から顔を出したハルは思わず叫ぶ。
数日ぶりの水浴びは染みる。
悪いものが全て洗い流されるようだ。
「ハルっ!」
ミナに声をかけられ、そちらを向く。
ばしゃ!
顔に少なくない量の水がかけられる。
「……子供か!やったな!!」
負けじとハルも水をかけ返す。
「きゃ!もう!えい!!」
ミナも応戦し、水の掛け合いが始まった。
二人で大騒ぎしていると、
「……えっ人間??頭大丈夫?」
突然声をかけられる。
二人が声のした方へ振り返ると、女性が立っていた。
若干、引いた顔をしている。
さらりと長い髪に、肌が白く、整った顔立ちはとても美人だ。そして耳が長い…
耳が長い!
「「エルフ!?」」
ミナとハルは声を揃えて叫ぶ。
「えっ何よほんとに…エルフの森なんだから当たり前でしょ…」
困惑した様子でエルフの女性は答える。
「エルフの森!ってことは!」
「着いたのね!!」
エルフの女性の言葉に、ハルとミナは喜びが隠せない。
「えぇー…」
エルフの女性をよそに、二人の喜びは続くのであった。
◇
「で、人間がこんな所に何の用?」
帰ろうとしたエルフのお姉さんをなんとか呼び止め、服を着る二人。
エルフのお姉さんが二人に尋ねてきた。
「いやー、うちの師匠がパーペチュアルの出身でして。一度見にこようかと」
ハルが答える。
「師匠…?出ていったエルフね…誰かしら。てかあなたたち随分ボロボロね。何ヵ月も森に居たみたい」
エルフのお姉さんは考え込むような仕種をする。
「いやー、さすがに大変でした…こんなに遠いんですね~ファンテジア王国から二ヶ月以上かかりましたね」
ハルが頭をかきなから答える。
「えっ!?二ヶ月!?まさか森を抜けてきたの!?」
驚愕の表情でエルフのお姉さんが尋ねる。
「ちょっと待って…その言い方はまさか…」
嫌な予感がする。
ミナも青い顔をしている…まさか…
「魔法転移門が…あるから…私たちは森は…通らないかな…」
エルフのお姉さんが苦笑いをしながら言う。
「……まじか……」
がっくりとうなだれるハル。
ミナはへたりこんでしまった。
「と、とりあえず街に来る…?誰かに用があるんでしょ?」
苦笑いと若干の憐れみを出しながらエルフのお姉さんは言った。
「ありがとうございます……お邪魔します…」
二人はトボトボとついていくのだった。
◇
「私はセリス。あなたたち、お名前は?」
エルフのお姉さんはセリスさんと言うらしい。
「ハルです。よろしくお願いします」「ミナです」
そう言って二人は頭を下げる。
「よろしく。それにしてもよく森を通ってこれたわね~…二人とも強いのね」
「まぁそれなりに…そう言えば、ここは大丈夫なんですか?森が近いんで魔獣とか頻繁に出そうな気がしますけど」
「結界があるから、魔物や魔獣は入ってこれないの。安心していいわよ」
さすが大森林のど真ん中にあるだけあって、襲われないようにきっちり守られているようだ。
「ゆっくり寝られそうね…ベッドが恋しいわ…」
ミナが感慨深そうに言う。
やはりベッドの寝心地が一番だ。
野宿には慣れはしたが快適な訳ではない。
「せっかくだし私の家に泊まりなさいな。街に宿屋ないし」
「えっ、ないんですか!?助かります…」
驚きに思わず声が大きくなる。
「いや、ハル、あったとして、誰が泊まりに来るのよ…ここまで」
ミナが言う。たしかに。
「普段は、外からのお客さんは、空いてる家があるからそこに泊まってもらうの。けど私が外の話を聞きたいからうちに泊まりなさい」
セリスさんがにっこりと笑う。
あ、これ拒否権ないやつだ。
まぁこっちとしても色々聞きたい事があるのでちょうどいい。
情報交換といこう。
「さ、着いたわよ。パーペチュアルへようこそ!」
話していると到着したようで、セリスさんが両手を広げて言う。
さて、パーペチュアルではなにが待っているのか…?
明日は20時です!!!ストックがなくなりそうです!!!副業(サービス業)が忙しい!!




