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57話『改名』






小鳥がさえずり、爽やかな朝日が降り注ぐ。



雲一つない晴天なり。



そんな希望に溢れた新しい朝を迎える二人。







(……最悪…あそこまでやっといて潰れるとか…今世紀最大のチャンスが…恥ずかしすぎる…)



目が覚めたミナはうろ覚えな昨夜を思い出す。



勢いを付けようと飲みすぎたのがよくなかった。



結果、今世紀最大のチャンスをふいにしてしまった。



しかも、酔っぱらい的な意味での恥ずかしい姿まで見られてしまった。



が、その割には同じベッドで寝てくれている所は嬉しかった。



起きた瞬間は驚いたが。



まぁ大方、私が酔っぱらってなにか言ったが為に一緒に寝てくれたのだろう。



なんだかんだ、ハルは優しい。



失敗には終わったが、だいぶ効いていたので脈が全くない訳ではなさそうなので次には繋がるだろう。




ハルの寝顔を見て微笑むミナ。



(かわいかったにゃ~♪)



ハルの頭を撫でると、ハルが起きたようだ。



「……ん…おはよう、ミナ」



寝ぼけ眼を擦りながらハルが言う。



「…ハル…昨夜は激しかったね…死んじゃうかと思った…」



ミナは掛けられていた布で身体を隠すようにし、頬を紅潮させ目を逸らして恥ずかしそうに言う。



「いや事実を歪曲させないで!?ミナが激しく吐きたおして死にかけてただけでしょ!?それ事()があったときに言うやつだから!違うから!」




いきなり出てきたミナの言葉に激しくツッコむハル。



「激しく……突っ込む……ハル…///」



ミナがモジモジしながら言う。



「いや違うだろ!つか今何に反応した!?言ってないよね俺!?」



「にゃはは♪昨日は迷惑かけてごめん、ありがとう」



一転、神妙な顔でミナが言う。



しっかりしてる所はしてるだけに実にやっかいだ。



「……はぁ。あんまり飲みすぎないようにしようね。じゃあ朝ごはん食べに行こうか」



やれやれ、とハルはこら以上の追求は諦める。反省はしているようなので大丈夫だろう。



「はーい」



そう言ってベッドから降りようとするミナは、ハルの耳元でつぶやく。



「昨日の夜の話、私はいつでもいいからね♪」



「なっ!?」



顔を真っ赤にしたハルが振り返るが、ミナは「ご飯ご飯~♪」と言いながら部屋から出ていってしまった。




「……くそ、不意討ちはずるいぞ……」



次に何かあったら自分は冷静でいられるのだろうか。



ベッドから動けないハルは、これからの旅に一抹の不安を感じるのだった。











無事に朝食を終え、買い物に繰り出す二人。




宿から出るときに受付のオヤジがミナに向かって無表情でサムズアップをしていたが見ないフリをしておいた。




共に街を周り、必要な物を買い足す。



ある程度はミナも持っていたので、買い足した量は然程でもなかった。



問題なく(シルバー)に積み、さぁ出発だ。



「こいつが相棒のシルバーだ。ほら、よろしく~」



ハルはミナに一人旅の盟友、シルバーを紹介する。



「シルバーがあなたの名前?よろしく。私はミナよ」



ミナもシルバーに挨拶をする。



シルバーはミナを見ると、ひひん と(いなな)き、ハルの頭を齧ろうとする。



「いてぇ!なにすんだ!?」



突然の相棒からの攻撃に戸惑うハル。



(まさか!シルバーはカイムさんにもらったディアセイント家の馬。いきなり女性を連れてきた事に怒ったか!?)



シルバーの鳴き声に、ミナはうんうん、なるほど、と頷いている。



「私にはファルシオンと言う名前がある!って言ってるよ」



ミナがシルバーを指差して言う。シルバーが頷いている。



「えっ!?名前あったの!?」



……聞いていなかった。たしかに言われてみれば、これだけの名馬ならしっかりと育てられたのだろう。名前があってもおかしくない。



「そうか…それはすまんかった…じゃあファルシオン・シルバーとかどうだ?」



ハルが付加する形で新しい名前を言うや否や、シルバーはハルにかじりつこうとする。



「いってぇな!」



「あっはっは!なにそれ面白い!」



ミナはそんな一人と一頭を見て腹を抱えて笑っている。



「んかった、んじゃシルバリオンでどうだ!?前のご主人と俺の付けた名前を合体させたんだ。幸せだなぁお前は」



ハルは大げさに言い、折衷案を出す。




しばらくの沈黙の後、シルバリオンは、ひひん、と言った。



ミナを見ると、



「仕方ないからそれで我慢してやる、ですって」



にっこりと笑ってミナが言った。



「よし、んじゃ決定だな!いざ出発!ハイヨーシールバー!」



シルバーに乗り、手を出してミナを引き上げるハル。



「ありがと。結局呼び方はシルバーなのね」



「シルバリオンだから普段はシルバーだよ」



「『雷神』もそうだけど、貴方達師弟はネーミングセンスが独特すぎてついていけないのよねぇ…」



ミナが頭を抱えて言う。



「そう?普通だよ。てか動物と喋れるんだね!すごい!」



ミナはシルバーと会話していた。



「普通ってなんだっけ…?知能が高くて好意的な動物だけだけどね。魔物は無理よ」



ハルの後ろでミナが答える。と、ミナがハルの腰に手を回し、後ろから抱き締める形になる。



当たってます。



「ああああのミナサン」



ハルが片言で尋ねようとするが、うまく言葉にならない。



「掴まらなきゃ落ちちゃうでしょ?役得じゃない。さ、レッツゴー♪」



素直に喜んでいいものかどうか…。



そんな二人のやりとりを見てシルバーは小さくぶるる、と鼻を鳴らした。



ニアフォレストへ向けて出発だ。







明日は23時です!


いつもありがとうございます!!!!!

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