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58話『道程』





王都エリンバラを出発し数日。



大きな問題もなく順調だ。



そもそも内地なので魔物や魔獣はほとんど出ないし、のんびりとしたものだ。



ミナが居てくれて助かるのは、やはり獣人らしい感覚の鋭さだろう。



小動物でも近くに居れば気づくし、天候の変化にもかなり前に気づく。



大森林に入ってからはもっと頼りになるだろう。



やはり彼女の加入は大きい。



なにより、楽しい。



彼女の生来の明るさもあるが、やはり誰かと一緒に居るのは心地いい。





「ハル、今日はこの辺にしましょ。たぶん遅くに雨が降るわ」



ミナの猫耳がピクピクと動いている。



「マジか、んじゃ雨宿りできそうな所を探そうか」



しばらく行った先にあった大きな木の根元に決め、寝床の準備をする。



この木は木自体が大きく、葉が生い茂っているので幹の根元辺りは雨でも濡れない為、冒険者(バスター)が好んで野宿に使うのだ




寝床や火の準備等と、晩御飯の準備を分担して行う二人。



シルバーはその辺の草を食べている。



「今日はね~丸焼きにしましょう!」



ミナは鳥を捌きながらハルに告げる。



「またかよ!一昨日もだったじゃん!」



食事は交代で作っているが、一昨日と全く同じ台詞を聞いたハルが言う。



「わかってるって!今日はね、中に色々詰めて焼くの♪」



ミナは野菜やキノコ等を刻んでいる。鳥のお腹に詰めて焼くようだ。



「……それはうまそうだな。いいね!なんか手伝う??」



「いや、あとはもう詰めて焼くだけだから大丈夫。のんびりしてて」



は~い。と返事をするハル。大人しく待とう。






鳥の詰め物焼きはとても美味しかった。



おいしいおいしい、とかぶりついて取り合いになるハルとミナであった。



準備も万端、あとは寝るだけだ。



ちなみにミナと一緒になってからは、音を消す結界の魔道具は使っていない。



ミナ曰く、何かが近づけば絶対に起きるので問題ないとの事だ。



大森林深部ならまだしも、魔物もほとんど出ない平野では私が居れば必要ないとの事で使っていない。



消耗品としては安くない魔道具なので助かる。



この調子なら明日にはニアフォレストに着くだろう。



アルフレッドとニアフォレストに居たのが懐かしい。



楽しみだが、少し寂しいような気分であった。





◇◇




次の日




昼過ぎにはニアフォレストに着くことができた。




「懐かしー!変わってない!」



いつぶりかも分からないが、街は全く変わっていないようだ。



「とりあえず宿に行こう。挨拶もしたいし」



「りょーかーい」



ハルが告げるとミナは返事をする。



初めて来た街に興味津々のようだ。



猫耳が忙しなく動いている。



宿につき、中へ入る。



「こんにちは~」



ハルが声をかけると、奥から宿屋のおばさんが出てくる。良かった、お元気そうだ。



「!?もしかしてハル君かい!?久しぶりだねぇ~!!!元気そうだね!えらい別嬪さん連れちゃってまぁ!!!」



覚えてくれていたようで、おぱさんは矢継ぎ早に口撃を繰り出す。



「奥様、ミナと申します。美人な嫁なんてそんな……」



自己紹介をして恥ずかしがるミナ。



「いやいや一言も嫁なんて単語言ってないよね!?」



ハルがツッコミを入れるが、ミナはどこ吹く風だ。



「あはは、本当に仲が良さそうじゃないか。泊まってくのかい?」



「お世話になります。表に馬が一頭いるのでお願いできますか?」



頭を下げるハル。



「もちろんいいよ。このあとはどうするんだい?」



「お願いします。ギルドに行きます。遅くなると思いますので食事はいりません。明日はここで食べますのでお願いします」



「わかった、明日は豪勢にしようかね。荷物は部屋に上げとくからその辺に置いといていいいよ」



おかみさんが笑顔で答える。



「よろしくお願いします!」



そう言ってハルは頭を下げ、ミナと共に宿を出る。



「いい人そうね」



「駆け出しで右も左も分からない時にこの宿でお世話になったからね。ここでの家みたいなもんかな」



この世界に来てしばらくは格安で泊まらせてもらい、なんとかその日暮らしをしていた事を思いだし、懐かしむハル。



「よし、それじゃギルドに向かおうか」



「は~い。あ、美人な嫁だって。よかったね♪」



ミナはからかうように腕をからめ、人差し指でハルを突く。



「いやおかみさん嫁なんて一言も言ってないからね!?」



「またまた、嬉しいくせに~♪」



そんな軽口を叩きながら二人はギルドへ向かう。






◇◇




ギルドの前へ着き、扉に手をかけるが、一瞬躊躇するハル。




師匠(アルフレッド)とここに入り浸っていたのか懐かしい。




意を決して扉を開け、中へ入るハル。




正面、奥の受付のお姉さんと目が合い、挨拶をするハル。



「こんにちは~」



と、受付のお姉さんから挨拶が帰ってくる。



「あらあら~『炎刃』ハル様、お久しぶりです~」



相変わらずのゆるふわ加減に懐かしさがこみ上げる。



新人時代からこの受付嬢さんにお世話になっていたのだ。



「『炎刃』!?帰ってきたのか」「おぉ!炎刃だ!久しぶりだな!」



ギルド内の様々な所から『炎刃』の名を聞いて声があがり、一斉に人が集まってくる。



よく見ると、いつもギルドに居た馴染みのメンバーばかりだ。



「久しぶりだな!聞いてるぞ、ランクAAだって!?」「(ドラゴン)倒したらしいな!?相変わらずめちゃくちゃだな!」



ひげ面の男とつり目の男のコンビが声をかける。



この二人もよくここに居て、何度も話したこともある。



「どうも、お久しぶりです」



周りのテンションの高さにハルは気圧され、タジタジだ。



「そっちのグラマーな美人さんは?」



一人が後ろに控えていたミナに気付く。



「あぁ、彼女は「妻のミナです。皆様よろしく」



ハルの言葉を遮ってミナが燃料を投下する。



「「「はぁ~~!?!?」」」「いやちょっと待って、違う」



一斉に声があがり、ハルの訂正は誰も耳に入っていない。



一気にギルド内がヒートアップする。



「お前らちょっと静かにしろ!『炎刃』!上に来い!話を聞かせろ!」



ここで登場、ニアフォレストのギルドマスター、クライヴ・イーグルベルである。



ギルドマスターが一喝すると、ようやく少し静かになる。



ハルは助かった、と逃げるようにギルドマスターの部屋へ向かう。



皆と話をするのは少し落ち着いてからのほうがいいだろう。




師匠(アルフレッド)の古くからの友人であるギルドマスター。




さて、何を聞かれ、何から話すべきか。






明日は昼の12時です!


いつもありがとうございます!


ぜひブクマ・評価をお願いします(^-^)/

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