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54話『意外』





シルバーと旅をして数日。



王都エリンバラへ再びやってきた。



ここで一旦物資の補給だ。



折角なのでお店や街並みも見ていきたい。



前回、と言ってもほんの少し前だが。その時は王への謁見のために来て、終わったらそのままエイギスへ出発したので結局ほとんど回れなかったのだ。



とりあえず宿を決め、シルバーと、預けても問題のない荷物は宿屋に預ける。



二人部屋しか空きがないようで、一人分の料金で二人部屋に泊めてくるるらしい。ラッキー♪



さすが王都エリンバラ、それなりの値段がするが、それ故におそらく問題はないだろう。




身軽になったハルは城下街へ繰り出す。




歩いていると、ふといい匂いに気付き、ふらふらと誘われるように匂いの元の店へ近づく。



「すいません、これ何の肉ですか??」



串焼きの店があり気になったハルは店主に尋ねる。




「いらっしゃい。これは魔ウサギのもも肉だよ。脚だから筋肉がしっかりしてるが、適度に脂もあって絶品だぜ」



焦げたタレのいい匂いが辺りに広がっている。




「うまそー!2本ください」



「はいよ、ほらお釣りだ。ありがとよ」



お金を渡し、串とお釣りを受け取る。



串焼きにかぶりつくと、もも肉らしくジューシーだが、しっとりと歯ごたえもある。だが焼き方がうまいのだろうか、堅さはなく、身はやわらかい。



タレも少し甘めで、スパイスがピリリと効いてなんとも絶妙な塩梅だ。



「うんめぇー!!!……米欲しいなこれ…」



元の世界でもこちらでも兎は初めて食べたが、なかなかどうして、これは美味だ。



せっかくなのでこっちにいる間はこっちの物を食べたい。



デザートにフルーツも食いたいな……。



そんな事を考えながらハルは街を進んで行く。



ついでに魔道具屋で水の魔法の巻物(スクロール)も購入した。



値段は張ったが魔力変換術式付きで、魔力を込めれば誰でも魔法の巻物(スクロール)から複数回にわたって水が出せる便利な逸品だ。



使い捨ての魔法の巻物(スクロール)に比べると、一度に出せる水の量も少ないし、その上魔力消費も格段に多いが、何度も使えるのはかなり助かる。



むしろ生活に必要な分なら充分だ。



これで川沿いでなくてもとりあえずはなんとかなるし、補給や運搬の手間を考えると安いものだ。



「…そうだ。ここにもギルドはあるよな?やっぱ寄っといたほうがいいのかな」



エイギスで依頼を受けるつもりはないし、知り合いがいる訳でもないが、なんとなくこの街のギルドがどんな状況なのか気になる。



「……やっぱ行ってみよう。なんか耳よりな情報があるかもしれないし」



そうしてハルはギルドに行ってみることにした。







王都エリンバラのギルドにて



「とりあえず来てみたけど…やっぱ建物は同じなんだな」



基本的にギルドはどこに行っても似たような作りになっている。



ギルド受け付けがあって、裏には修練場があって、酒場が併設されている。



国の事、他国の事。情報収集するなら酒場が一番だ。



ギルド内に入るが、特に目立つわけでもなく普通に奥へ進んでいく。



クエストボードを見ると、やはり討伐はほとんどなく、基本的には護衛の依頼が多い。



王都エリンバラは国の中心なので人や物の出入りが激しい。



そのため、他国へ行く、王国内を移動するような時には、冒険者(バスター)を雇うのだ。



魔物や動物もあるが一番は山賊や強盗を撃墜するためだ。



それ以外は、街の周りで草などの採取が少しあるだけだった。



「あ!今気付いたけどエイギスからエリンバラに来るときも、商隊の護衛かなんかの依頼を受けて馬車に乗っけてもらえばよかったな…」




そう、エイギスからエリンバラへの護衛の依頼を受けれぱよかったのだ。



そうすれば乗ってりゃ勝手に着く。そのうえ、多少なりともお金まで稼げたのだ。



「しまったなー。ニアフォレストまでの護衛ないかな~??」



ハルは次の目的地のニアフォレストまでの護衛の依頼を探す。



が、残念ながら依頼は見つからなかった。



まぁ一人と一頭の旅も慣れてきたので問題はない。



シルバーへ話しかけるのが日に日に多くなっている気がするがまだ大丈夫だろう。




目ぼしい情報もなさそうだし仕方ない。今日は宿に戻ろうか。



ギルドから出てハルは歩きだす。



辺りはすっかり暗くなっている。



飲食店や、飲み屋等が賑わっていて呼び込みのお兄さんやお姉さんがいて活気がある。



通りを歩いていると、突然後ろから叫び声が聞こえてきた。



「いぃったーーーーーっ!!!」



デカイ声だな…ケンカかな?



そう思って振り返ろうとした瞬間。



目の前が何かに覆われ、真っ暗になる。



と同時に、顔に柔らかい物が当たる。



柔らかい何かは、もにんっと形を変えてさらにハルの顔を包み込む。


  

鼻孔をくすぐる、甘い、いい匂い。



手で触ると、柔らかい中に適度な弾力がある。



「ぁんっ…ゃ……もう!ハル!!会いたかったよ~!!!」



ハルの頭の上あたりから艶かしい声がする。一瞬なにがなんやら分からなかったが、やはり女性に抱き締められているらしい。



しかしこの声は…




「ミナ!?なんでここに!?」



そう言ってハルは顔を離そうとする。が、相手はさらにきつく抱き締める。



「いや離してくれないと誰かわかんねぇよ!」



「ふっふーん?嬉しいくせに~?」



「……」



やぶさかではない。



が、ここは天下の大通りだ。さすがにこの状況はあまりよろしくない。



精神衛生的にも。いろいろまずい。



と、ようよく相手が離してくれた。



「やっぱりミナか…」



やはり相手はミナだった。いや、わかってたけど。



「やっぱりって何よ?会えて嬉しいでしょ?」



ミナはにっこりと笑う。



「まぁ嬉しいけどさ。久しぶりだね!どうしたの?」



ミナとは獣人の国で別れて以来なのでかなり久しぶりだ。




「もちろん、ハルに会いに来たの!!私も一緒に行く!」



満開の笑顔でミナは答える。




……なんですと??



明日は昼の12時に更新します!

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