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51話『違う道』




「それでは我が娘の儀式の成功を祝い、乾杯!!!」



カイムが音頭をとり乾杯が行われる。


「「「「「「「乾杯!!!」」」」」」」



「さらに国王より(おおやけ)のものもそれぞれあるぞ。アリスの通り名『天翔(てんしょう)』の拝命とランクBBへのアップだ」



カイムが書類を読み上げる。



「おおっ!おめでとうございます!お嬢様!!」



「よかったわねぇ、アリス」



「おめでとう!!」



フィーダ、マリア、ハルが声をあげる。



「あ…りがとうございます。名に負けないよう精進します」



アリスが少し照れくさそうに、しかし嬉しそうに答える。



「そしてフィーダ、AAランク昇格おめでとう」



カイムが嬉しそうに告げる。



「さすがフィーダ!おめでとう」



「よかったわねぇ」



「すげぇ…おめでとうございます」



アリス、マリア、ハルのそれぞれの言葉だ。



「ありがとうございます。期待に違わぬよう精進致します」



フィーダは頭を下げる。



「ハル君もあるぞ、おぉっとこれはまた…」



カイムが書類を見て驚き、若干口元がひきつっている。



「ごほん。AAランクへの三階級特進と『断陣剣(だんじんけん)』の拝命だ」



咳払いをしてカイムが発表する。



「AA!?すごい!よかったね」



「ハルの働きなら納得はできるな。おめでとう」



「あらあらまぁ」



アリス、フィーダ、マリアがそれぞれ祝福と感想を述べる。



「AA!?ほんとですか!?はぇ~…ありがとうございます…」



突然の事に理解が追い付かないハル。



ランクアップもあるかとは思っていたが、まさか一気に3つも上がるとは。



「それだけ『(ドラゴン)』と『竜堕軍』(ドラゴンフォール)撃退の影響と衝撃が大きかったという事だな。ちなみに過去に三階級特進したのは一人だけ。『雷神』だけだ」



カイムがハルを優しい目でハルを見る。




「……師匠が…そうですか…ありがとうございます」



師匠がまさか、既に同じことをやっていた。



なんと不思議な縁だろう。嬉しい気持ち、だけどほんの少し寂しい。



「しかし、『断陣剣』とはまたすごい通り名だな」



フィーダはハルに付けられた二つ目の通り名が気になるようだ。



「それだ。…いや、疑う訳じゃないんだが、本当なのか」



カイムがフィーダの言葉に食いつく。



【巨大な炎の剣で敵陣を一刀両断しました】



まともな人間なら信じられるはずがない。当然だ。



「はぁ…ま、まぁ…」



返答に困っていると助け船が出される。




「お父様、アルフレッド様ならできると思いますか?」



アリスがカイムに問いかける。カイムはアルフレッドと旧知の仲で、実力もよく知っている。



カイムが若い頃は一緒に旅をしたこともあるらしい。



「ん、あぁ…アイツならやりかねんな」



考える素振りも見せずにカイムは答える。



「『雷神』の弟子である『炎刃』ハル君だからね。アルフレッド様の人を見る目は正しかったって事だよ」



アリスが優しく微笑む。



「そうか…そうだな…アイツの弟子ならおかしくはないか」



多少、納得したような表情をするカイム。アルフレッドの力はよく知っている。あれが弟子にとるならば、そういう事なのだろう。



「いえ、少なくとも三階級特進は普通ではないのでカイム様の疑問は間違っていません」



フィーダがきっぱりと答え、場が笑いに包まれる。



師匠に生きる術を教えてもらい、戦いかたを教えてもらい、下手すれば畏怖される程の力も、師匠のお陰で受け入れてもらえる。



本当に、お世話になりっぱなしだ。



少しでも恩返しを出来たのだろうか。



ハルはそんなことを頭の隅で考えていた。




「ハル君は、あいつの弟子にしては随分と殊勝だな。苦労しただろう」



酒がが回ってきたのか、上機嫌なカイムがハルに話しかける。



「いやー……、お酒に関しては多少苦労しましたかね」



ハルは()()と思い出したのか苦笑いで答える。



ちらりと横を見るとフィーダが目を反らす。



酒に関しては色々と思うところがあるようだ。



「貴方も飲み過ぎには注意してくださいね」



マリアがカイムを(たしな)める。



「分かっているさ、だが娘の祝いと友への手向けだ。少しくらいは神もおおめに見てくれるだろうさ」



嬉しそうに、そしてほんの少しの哀愁を含ませて答えるカイム。





そうしてお祝いの席は和やかに進んで行くのだった。








食事会も終わり、皆が寝静まる頃



扉にノックの音が響く。



「失礼します」



扉を開け、入ってきたのはフィーダ。



部屋の中に居るのは、館の主人、カイムと妻のマリアだ。



「遅くに呼んですまないな。で、どうなんだ」



カイムがフィーダを座らせ、尋ねる。



「いえ。……実際の所、決していいとは言えないでしょう」



フィーダは少し言いづらそうに答える。



「……やはりそうか。もう一度行ったほうがいいかもしれんな」



何かを考えながら、カイムは言う。



「ありがとう、よろしくね」



「はっ!失礼します」



マリアが言うと、フィーダは返事をして静かに部屋を出ていく。



「……さて…どうしたものかな」



不安そうなマリアに寄り添うカイム。



屋敷の中はとても静かて、窓の外の梟の鳴き声が小さく聞こえていた。







明日は10時です( ゜д゜ )

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