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49話『国王』





手紙を貰い、サウスワークを出て数日。



ファンテジア王国・王都エリンバラへ到着した。



ファンテジア王国、というか、冒険者の街ニアフォレストには長く居たハルだが、王都エリンバラへ来たのは初めてだ。



「!!!でっっっっかっ!!!!!」



さすが王都、まず入り口からして違う。門が大きい!



「ハルは王都は初めてか。ならもっと驚くぞ」



手綱を引いたフィーダがハルの反応に答える。



「ファンテジア王国は大陸でも二番目に大きな国だからね」



アリスが言葉を足す。



ちなみに一番大きいのはマルメゾン帝国らしい。



門番が居たが、フィーダが何かを見せるとすぐに通してもらえた。



さすがファンテジア王国きっての大貴族、ディアセイント家である。



中に入ると石畳を馬車が何台も通り、お店では食べ物から魔道具、服や美術品まで様々な物が売られている。



街の中心にある王城が、白く燦然と輝いている。



他の建物も美しく、また、建物の看板を見ると、さすが王都、嗜好品や楽器、絵画など、余裕のある事が見てとれるものばかりだ。



人が集まり、物が集まり、文化が集まり、また、ここで生まれた物が世界へ広がっていく。



大きな国の、栄えた場所らしい街並みだった。



「すっげぇ~…全部見て回ったら数日かかりそうだな…」



ハルは馬車から外を見ながら歓声をあげている。



「観光は後だ。とにかく屋敷へ向かおう」



そう言って馬車をゆっくりと走らせるフィーダ。



しばらくして着いたのは、王城へ程近い、大きな屋敷。



こちらも大きな門に、100人くらい住めそうな立派な建物だ。



ディアセイント家は大貴族故に王都へもよく来る。



その為の屋敷だ。



屋敷へ入ると、使用人達が出てくる。 



「アリス様!よくお戻りで!」「フィーダ様!」



それぞれに言葉をかけてくる。



「ただいま。誰かいる?」



降りたアリスは使用人達に笑顔で答え、尋ねる。



「今はどなたも。カイム(アリスの父)様とマリア(アリスの母)様はエイギスに居られると聞いています」



「そう、ありがとう。とにかく身支度を整えないと。馬をお願いね、急いだからゆっくりさせてあげて。行きましょう」



そう言ってアリスは屋敷へ入っていく。



恐る恐る降りたハルは畏まりながらアリスに着いていく。



「こ、こんにちは~」



なんとも、どういう顔をしていいのかよくわからないのだ。



「こんにちは。『炎迅』様ですね。どうぞ」



使用人の1人が荷物を持ってくれた。



なんとも人の良さそうな方々ばかりだ。



アリス、ファンテジアに続き屋敷へ入り、促されるまま部屋に入ってソファーに座らされた。



「国王へ謁見だから服を準備してくれる?『炎迅』様の分も」



軽い食べ物とお茶を出してくれた使用人にアリスが声をかけると、使用人は返事をして部屋を出ていった。



「ずいぶん堅くなっているな、ハル」



緊張しているハルにフィーダが声をかけてくれた。



「いやー…分かっていたとはいえ、さすが大貴族、って感じですね」



「気にしないで寛いでね、ハルくん」



紅茶を手に持ったアリスが微笑みをかける。



「さて、準備が終わり次第行きましょう。着替えなくちゃ」



そうして準備が整ったようで、呼びに来た使用人と一緒に別室へ行き、着替えることになった。



…しかしこれはすごいな…。






着替えも終わり、装飾の入った豪華な馬車へ乗り込む。



アリスはドレス、フィーダは儀礼用の美しい鎧だ。



いつもとは違った、着飾ったアリスのドレス姿に見惚れるハル。



なんとも絵画から出てきたような美しさだ。



「ほぅ、なかなかどうして、様になってるじゃないか」



着替えたハルを見てフィーダが言う。



「こんなん着たことないんでくっそ恥ずかしいっすね…」



「似合ってるよ、ハル君」



二人から褒められ、恥ずかしいがまんざらでもないハルであった。




◇◇




「ガイ・ファンテジアである!」



とてつもないオーラを放出し続けている彼こそが、ファンテジア王国、国王である。



馬車で王城へ向かい、部屋に入ったり待ったりしたはずだが、城に入った辺りから緊張してよく覚えていない。



我に返ったら目の前に王様がいた感覚だ。



国王は老齢と言って差し支えない年齢だが、活力と言うか、とにかくオーラがすごい。下手したらオーラが目に見えそうな位だ。




しかしガイ(おう)か…王の部分を英語で読みたくなるのは俺だけか。



王様に機心持たせて魔身機召喚したら、まるままアレが出てきそうな名前だ。



もしくは魂の名前か、勇○王か。



そして王の隣に居るのが皇后、エマニエル・ファンテジア様だそうだ。



とても美しい女性だ。しかしエマニエル夫人か…なんかこう…アレだな、いや、これ以上はやめておこう。Rが変わってしまう。



そして王女のエリス・ファンテジア。王女で幼女だ。皇后譲りの整った顔立ちに金髪に碧眼、雪の妖精でも見ている気分になる。



王子も居るのだが、今日はいないらしい。



と、我に返ったとたん余計な思考がハルの頭を占拠していた訳だが、王より声をかけられて慌てて思考を現実に引き戻す。




「セキチクでの件、三人とも誠に大義であった!」



やっべぇ余計な事考えてたせいでほとんど聞いてねぇ…けど、セキチクの件でありがとう、って事か。



父君(カイム)もそうだが、いつもすまないな、アリス・ディアセイントよ」



ガイ王が優しい目でアリスを見る。



「滅相もございません、王国に生きる貴族の努めでございます」



アリスは優雅に礼をする。



「さて、『炎迅』ハル殿、『雷神』の弟子だそうだな。惜しい人物を亡くしてしまった。誰よりも優れた魔法使いであった。そして何より、1人の友人として私は寂しい」



「はっ!陛下からのお言葉で師も報われる事と思います!」



「うむ。それと帝国からの侵略に対してはそなたが大きな働きを成したと聞いた。それこそ、『雷神』のような活躍であったと。誇りに思うぞ」



「もったいなきお言葉、師の(いただき)に少しでも近づけるよう精進して参ります」



正式なマナーは分からないが、自分に出来うる限りの礼を尽くすハル。



「王国の若者が才気溢れておるのはとても喜ばしい事だ。これからも宜しく頼む」



「「「はっ」」」





こうしてファンテジア国王への謁見は終わった。



さて、続いて向かうはエイギスだ。






明日は10時に投稿します~。

さあ、彼女の実家編だ!緊張するやつですね(苦笑

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