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48話『二人にも』




もう明日にはサウスワークに着くだろう。




村を出てからは、大きな街が近いためだろう、やはり魔物は少ない。



穏やかに馬車は進む。



そして晩御飯時、昼間に釣った魚を塩焼きにしている。



「そういえばハルは妹がいると言っていたな。どの辺りの出身なんだ?」



魚にかじりつきながらフィーダが尋ねる。



村での会話を思い出す。



そういえば、サウスワークからエイギスまではもう目と鼻の先だ。



つまり、この旅の終わりが近い。



先日、セキチクでの事があった時に、ギルドマスターからお誘いがあった。



旅が終わったらセキチクのギルド(うち)に来ないか、と。



そしてそれを聞いていたフィーダさんにも、そのままエイギスに居ないかとも誘われた。



その時は答えられなかったが、考えも纏まった。いい機会だろう。



「あのですね、お二人に聞いてほしい事があるんです。実は俺、この世界の人間じゃないんです」



旅は終わりが近いが、二人にはちゃんと言いたかった。一緒に来ないか、と言ってくれる人達に、隠し事をしてるのは気持ちのいいものではない。



「はっ?」「え?」


フィーダもアリスも呆然としている。当然の反応だろう。



まぁ信じる信じないは別として、とりあえず一通り説明しよう。



違う世界の人間で、妹や友人達を{自分のせいで起きた}事故の被害から救うために、神にチャンスを与えられてやってきた事。



その為に運命力を集めていること。運命力を集めるために冒険者(バスター)をやっている事。


無事に集め終わったら帰ること。


師匠だけはこの事を知っていたこと。


「……と言うことでして」



一通り説明が終わる。



二人とも真剣な表情で聞いてくれて嬉しかった。



「……すまん、理解はしたんだがな…。まぁ人間離れした魔力には納得がいったが」



フィーダは考え込んでいるようだ。



そらそうだいきなり「異世界人なんです」なんて言われりゃ動揺もするだろう。



どころか、仮に俺が聞いたら「コイツやべぇな」くらいの感想になるだろうし。



「…うん…でも、…納得できるかも」



アリスは、やはりハルの行動、言動、知識等に偏りや変な点があると思っていたのだろう。



「ですので、俺はできるだけ魔獣の出る場所に居たいのです。」



アリスとフィーダと共にエイギスを守るために戦うのも悪くはない。



むしろ、誘ってもらえてとても嬉しい。



だが、やはり、戦争はそうそう起こるものではない。



それに、できるなら人間よりは魔獣を相手にして運命力を集めたいと言うのも本音だ。



奴隷売買の()()()()から、敵を斬ることに恐れはないし、必要な時はそうするが、だからといって何人でも斬りたい訳ではない。



そうなると戦う頻度の低いエイギスに居るのは、目標が遠退いてしまう。



「そうか…それは残念だが仕方ないな…」



フィーダは1人になるハルを純粋に心配し、そしてだからこそ一緒に肩を並べて戦いたいと思ったのだろう。



本当に嬉しい。



「…そっか。じゃあハルくん頑張らなきゃね!でも無理したらダメだよ?」



アリスは努めて普段通りに笑いかける。



「ありがとう。エイギスまでもう少し、がんばろう!」



別れるのならば、言う必要はなかったのかもしれない。



だが、そんな別れかたは、二人とはしたくなかった。



俺は俺のやるべきことをやらなくちゃ。



なせか、焼き魚の味はよく覚えていない。



三人で食べるご飯もあと数えるほどなのかと思うと、妙に名残惜しい気がした。




◇◇




サウスワーク到着




次の日、無事にサウスワークに到着した。



そして馬車を預け、宿に入ろうとした所で声をかけられた。




「アリス・ディアセイントとフィーダ・マクスウェル、それと『炎迅』だな」



急に声をかけられて名前まで呼ばれたので三人は一瞬身構えそうになるが、男性がさらに言葉を続ける。



「あぁ安心してくれ、あなたの父上から手紙を預かっているのだ。『炎迅』にも関係ある。君たちがくるまでずっとこの街で待っていたんだ、こっちの身にもなってくれよ」



男性はおどけたように肩をすくめると、手紙を一通、アリスに手渡し、去っていった。




「…カイム(アリスの父)様からですか。何でしょう」



フィーダか難しい顔をしている。



そりゃそうだ、帰ってくるのが分かっている娘に、わざわざ_手紙を出すとは、しかも必ずサウスワークで渡せるようにしてあるのも奇妙だ。



「…開けてみましょう。ハルくんも関係あるってことは…」



アリスが封を外し、手紙を読む。




「我が親愛なる娘、アリスよ。まずは無事でよかった。魔道具も受け取ったようで何よりだ。エイギスまで来ればしきたりは終わりだが、先日のセキチクでの一件、『竜』と『雷神』、そして『炎迅』の事で王がお呼びなので、先に王都エリンバラへ向かうように。父より」



「…ですって」



読み終わったアリスが手紙を畳む。



「なるほど、そう言う事か。では行き先は王都エリンバラで、王への謁見だな」



「まじっすか…しかも俺もですか…」



フィーダの言葉にハルがうなだれる。



偉い人の前というのは緊張感して肩が凝る。すすんで経験したいものではない。



「アルフレッド様の事を報告しないとね。ファンテジア王国所属のSSランク冒険者だから。」



「…そっか。そうだよね。よし、行こう!」



アリスの言葉に、ハルは様々な思いが巡る。



師匠の事なら、きっちりとやらなければ。弟子の俺が名を汚す訳にはいかない。




こうして急遽、王都エリンバラへ向かうことになった一行。



さてファンテジア王はどんな人物なのであろうか…?












いつもありがとうございます!ブクマ増えてめっちゃ嬉しいです♪次で謁見そのあとはエイギスへ!国へ入るとどうしても戦闘パート減りますね…バランスが難しいです。がんばります!明日も20時です!

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