47話『報告と』
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村へもどり、村長の所へ報告に来た三人。
辺りはすっかり日が暮れている。
「戻りました!もう大丈夫ですよ」
屋敷へ入ると、孫娘が走ってくる。
「おねぇちゃんおかえりなさい!!」
少女はアリスに抱きつく。
「ただいま。おじいちゃんはいる??」
アリスがしゃがみ、少女と目線を合わせて笑いかける。
「おじいちゃんすごい心配せてたの!来て!こっち」
少女は手を引いて歩いていく。
先の部屋から村長が出迎える。
「よかった!お戻りになられましたか!」
心配してくれていたのだろう、村長は一行を見て破顔する。
「魔物は全て駆除しました、もう大丈夫です」
フィーダが告げると、村長は涙を浮かべ、答える。
「そうですか、ありがとうございます、ありがとうございます。ささ、お疲れでしょう。何もない村ですが出来る限りの食事を準備しました。どうぞ」
「私も作るのお手伝いしたんだよ!!行こう!」
少女が胸を張る。
「本当に!ありがとう!うれしいなぁ」
アリスがそう言うと、少女は手を引いて走るように奥の部屋へ案内する。
部屋で待っていると、温かい料理がたくさん運ばれてくる。
「こんなものしかできませんが…本当ににありがとうございます」
料理を持ってきた女性が三人に頭を下げる。
年齢的に、村長の娘さん。少女の母であろう。
「いえいえ、こんなに沢山、大変だったでしょう。ありがとうございます」
フィーダが頭を下げる。
「いやいや、作物も家畜も被害が日に日に多くなっていましたからな。これ以上対処が遅れていればどうなっていたか。本当に感謝してもしきれません」
村長は改めて頭を下げる。娘さんと孫娘もそれに続く。
「頭を上げてください。私達が通りすがったのも何かの縁。巡り合わせに感謝しましょう」
アリスが笑顔で言う。と、
くぅ~…
少女のお腹がなる。
「お腹減ったね、冷めないうちに皆で頂きましょう」
アリスが頬を染めた少女の頭を撫でながら言う。
「いえいえ!さすがにご一緒するわけには!」
村長が慌てて遠慮するが、フィーダが追い討ちをかける。
「ごちそうは皆で食べたほうが美味しいでしょう」
さらに、部屋の端に寄せられていた椅子を運びながらハルも言う。
「子供に我慢させる訳にもいきませんしね!」
娘と顔を見合わせた村長は根負けしたようで納得してくれた。
「やれやれ、ではそうさせて頂きましょうかね」
「私もお手伝いするー!」
少女が、椅子を運んでいたハルを手伝ってくれた。
「ありがとう!力持ちだね~お兄ちゃんの横で食べるかい?」
「えぇ~私、お姉ちゃん達の間がいいー」
「ははは、ハル、フラれてしまったな」
料理を取り分けながらフィーダが笑う。
「お兄ちゃんは後で遊んであげるからね!」
少女は肩を落とすハルを慰めるように言う。
「ハルくんの方が弟みたいだね」
様子を見ていたアリスが笑う。
「いつもはお兄ちゃんしてるんだけどなぁ…」
「ハルには妹がいるのか。初耳だな」
「あれ、言ってませんでしたっけ。あー…でも確かに妹の方がしっかりしてるかもしれませんね」
普段の実家での生活を考えれば…確かに。妹はしっかりしてるなぁ…
「さて、準備が出来ましたな。それでは頂きます」
「「「「「頂きます!」」」」」
村長の声に合わせて全員が声を揃える。
「これ、これ私が切ったんだよ!」
少女がニンジンをフォークに刺してフィーダに言う。
「そうか、頑張ったな。ん、おいしいよ」
フィーダはニンジンを頬張って少女に微笑みかける。
「しかし三人ともお若いのにすごいですな~まさか半日で全部駆除してしまうなんて…」
「いやいやそんな…」
…
「奥様この煮物美味しいですね」
「あらありがとうございます」
…
とても楽しい食事会であった。
助けになれて良かった。
この人たちの笑顔を守れてよかった。そう思ったハルであった。
◇◇
次の日
準備も終わり、村を出発することになった。
「アリス様、フィーダ様、ハル様。本当にありがとうございました。こちらを…」
そう言って村長は袋を手渡してくる。
金属音…報酬の貨幣だろう。ギルドに依頼を出す為に村中からかき集めたのが容易に想像できる。
「いえ、ギルド依頼ではないので受け取れません」
アリスは優しく断る。
「そんな!さすがにこれはいけません!」
まさかの応えに村長は言葉が大きくなる。
「ギルドを通さない依頼を受けてしまうと私達が叱られちゃうんです」
「宿に困った我々が、一宿一飯の礼に個人的にお願いを聞いた。それだけだ。気にすることはない」
アリスに続けてフィーダが言う。
これはこの話を受けたときに三人で決めたことだ。
ギルドに入るハズだった依頼を横取りした形なので、ギルド取り分のピンはねになる。
これはバレたら怒られる。
それに、バッタのせいで既に家畜も作物も被害が出ている。大きくないこの村ではかなりの痛手だろう。
聖人君子ぶるつもりもないが、幸いセキチクでたんまり報酬を頂いているのでお金に困っている訳でもない。
「また魔物が来るかもしれません。その時依頼を出すならまた必要になります。ですから」
3人の言葉に村長は涙を堪えられず、顔がしわくちゃになる。
「すいません…すいません…本当に…なんと言ったらいいのやら…」
感謝もある。プライドもある。申し訳ない気持ちもある。
だが村の事を考えるならば好意に甘えるべきだ。
そんな判断ができる村長は、きっと皆に慕われるいい村長なんだろう。
だからこそ助けたいと思った訳だが。
◇
村を出る時になると、村人が総出で見送ってくれた。
魔物が怖かったのだろう、皆ほっとした表情で感謝を述べていた。
「お姉ちゃん達、ありがとう!また来てね!!」
少女が元気いっぱいに手を振る。
「もちろん!またね!」
アリスに続き、フィーダとハルも手を振る。
こうして突如起こった依頼は終わったのだった。
次の街まであと数日。目と鼻の先だ。
久しぶりのサウスワークがもうすぐた。
次でサウスワーク入って、数話でエイギスに入れるかしら?明日は20時です(⌒0⌒)




