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30話『宴』




ようやくベースキャンプからボーダー(ドワーフの国)へ戻ってくる事ができた。



直接ドルフ達の所へ向かい、まずは手にいれた魔鉱石を渡して成功報告だ。



「ただいま~」



お店へ入るなり、アリスは実家のように声をかける。




「アリスお嬢!早かったですね…無事に戻ってこれてよかった」



カウンターに立っていたドルフはアリスとフィーダを見ると頬を緩めて出迎える。



「お、見ない顔だな…そちらさんがお嬢様の護衛の方かい?ありがとうよ!ドルフだ、よろしく」



ドルフはハルを見ると声をかける。



アルフレッドは街に着くなり「そっちはよろしく」と言って別行動してしまった。


「ハルと言います。よろしくお願いします」



そう言ってハルは頭を下げる。

 


「よろしく。皆さん奥へ行きましょう。見せてくだせぇ」



ドルフは若いドワーフに店番を任せると奥へと入っていく。





◇◇



「生憎、家内は出掛けてましてな。しかし早かったですね。もう少しかかるかと思いましたが」



ドルフは三人に茶を出しながら言う。



「行き帰りは問題なかったんだけどね…奥にあんなのが居るなんて思わなかったわよ…ドルフも人が悪いわね」



悪戯に笑いながらアリスが答える。



「あんなの?そんなに蜥蜴に苦労しましたか?お嬢とフィーダ様なら問題ないと思いますが」



不思議そうな顔でドルフが答える。…この感じはまさか…



「最深部に鉄蛟竜(ミズチ)が居たんだ。洞窟内で魔身も出せなくてどうなる事かと思ったよ」



フィーダがお茶を啜りながら答える。



「鉄蛟竜!?ばかな!普段は岩蜥蜴が居るだけの洞窟だったんだが…よくご無事で…」



驚愕に目を見開くドルフ。



「やっぱり最近住み着いた所だったのね…お陰で苦労したわよー…」



机に突っ伏しながらアリスは気が抜けたように答える。かわいい。



「いやはや、魔獣を生身で倒しちまうとは…ご立派になられましたなぁ。ハル君もその若さで随分腕が立つようだ」



「恐縮です。師匠と仲間に恵まれてます」



ハルはしっかりと答える。アリスの恩人だし適当な事をする訳にはいかない。



「さてお嬢、()()を見せてもらいましょうか」



ドルフが言うと、アリスは頷き魔鉱石を渡す。



魔鉱石を持ち、隅々まで調べてドルフは言う。



「上質の魔鉱石、問題ないですな。では数日頂きましょう。仕上がり次第こちらから連絡しますので」



「わかりました、よろしくお願いします」



アリスは恭しく礼をする。



「フィーダ様とハル君も装備一式置いていきなさい。研ぎ直しと整備しておこう」



「助かります」「いいんですか?ありがとうございます!」



フィーダとハルが答えると、



「お嬢様の騎士だ、俺の名に懸けて完璧に仕上げてやる」



ニンマリと笑ってドルフは言った。






◇◇




ドルフの店を後にし、宿へ向かうと、併設されている酒場にアルフレッドの姿があった。



手招きされるがままにテーブルを囲むハルとアリス、フィーダ。


「おまえらようやくかえってきたか、ヤボ用すませてやどにきたのにもどってこねぇからさきにはじめてんぞ~しゅくしょうかいだろうが!」



既に呂律が怪しい。祝勝会?



「ありすのもくひょくはんぶんたっせいだろ!」



ビールを片手にアルフレッドは力強く言った。



「アルフレッド様ありがとうございます。本当に皆さんのお陰です。改めて、感謝を」



アルフレッドの気持ちが嬉しかったようでアリスが改めて礼を言う。



「ここまで来れたのも、まして鉄蛟竜など倒せたのも二人のお陰だ。私からも礼を言わせてもらう。アルフレッド様、ハル、ありがとう」



いい機会だと思ったのかフィーダも続く。



「あら、私はフィーダにもお礼を言いたいのよ。いつもありがとう」



「そんな、恐悦至極です。お嬢様」



アリスが朗らかに笑う。フィーダも嬉しそうだ。



ちょうどいいタイミングで頼んでいた飲み物が来たようだ。



「よし、そいじゃお前らいくぞ!「「「「乾杯!!!」」」」




◇◇◇




「ハル!たんねぇぞ!じゃんじゃん頼め!酒もだ!」



「おっす!エールでいいですか?」



「この料理おいしい…もういっこ…」



「あ!お嬢様それ3個目でしょう!?私が食べようと思ったのに!ハル!これもう一皿頼んでくれ!」



酒が入っている為か、フィーダのテンションが高い。



「わかりましたよ!わかりましたってば!」




「アルさまぁ…」



「フィーダ…わかってる、わかってるぞ。だからもう少しペース落とそうな?」



酔いが回ってきたのか、しなだれて目は潤み、甘えた声を出すフィーダを尻目にアルフレッドには少し焦りが見える。



「フィーダさんって甘え上戸なんだね…ちょっと意外…」



「あら、かわいいものとか大好きよフィーダは」



ハルが意外そうに言うと、アリスからさらに新情報が出てきた。


素に戻りつつある師匠が気になるけど…。







「アルフレッド!私の酒が飲めないの!?」



「フィーダさん…はい…あ、…いやー、もう…無理っす…」




「フィーダさんってお酒強いんだね…師匠ヘロヘロだよ。てか甘えが終わったら絡み酒になってきたね」



「私もあそこまで酔ってるフィーダは初めて見るよ…」



「師匠がペース抑えようとしてたのはこうなるからか。仲良いんだねあの二人」



「なんかね、酔っ払ったアルフレッド様を回収に行ったりしてる内にいつの間にか一緒に飲むようになったみたい。ミイラ取りがなんとやらだね」



「あー、なんか想像つくね。そして酔っぱらうとフィーダさんの方が強いと」


二人して顔を見合わせて笑いあう。



と、アルフレッドから声をかけられる。



「ハル!!お前もこっちに来てフィーダ様にお酌をするんだ!ムーンプリズムサワーを早く持ってこい!」



「巻き込もうとするのやめてくださいよ!!つかなんですかその美少女戦士みたいな酒は!」



アルフレッドとハルのやりとりに、アリスが大笑いしている。




四人で大いに騒いで食べて飲んで、宴は更けていった。




◇◇




アルフレッドとフィーダが寝てしまった為、酒場での飲み会は終わった。



アリスとハルはそれぞれ酔っぱらいを連れて部屋に戻った。



アルフレッドをベッドに寝かせると、少し目が覚めたようで、寝ぼけた声でアルフレッドが言う。



「ハル~この宿屋は温泉がある…この時間は貸し切りになってるはずだから行ってきたらどうだ?お前風呂好きだっだろ」



「まじすか!それは行くしかないっすね…師匠も行きます?」



旅の途中で、自分の世界では風呂に毎日入っていた事を話した事がある。


しかもここは温泉!そういえば火山が近いからか。



「いや俺はもうダメだ。立てん。寝る。明日の朝にでも入るから一人で行ってこい」



そう言ってアルフレッドは糸が切れたように動かなくなった。



ではひとっぷろ行きますかね…こっち来て初温泉だから楽しみだな!





次は明日の21時に投稿します!

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