26話『祭りのあと』
遅くなりました。すいません!
アルフレッドと獣神の戦いのあと、国総出をあげての大宴会は終わる気配もなくさらに盛り上がりを見せていた。
「お二人とも凄まじい勝負でした。てか師匠、魔身使えたんですね…」
ハルは師匠と獣神が酒を煽っている壇上にやってきた。
「おう。使えないとは言ってない筈だぞ。参考になったか」
「残念ながら凄すぎて参考になりませんでした」
「がっはっは、雷神の弟子が随分と殊勝なことだな?」
獣神は大笑いをしながら言う。こちらも酔いが回ってきているらしい。
獣王の攻撃も師匠の魔法もどちらも一回でも貰ったら終わりな気がする。
「いや、お前はもうすぐあの戦いに入れるくらいになる。基礎はできてるからな、きっかけがあればすぐだぞ。鍛練を続けることだ」
「…精進します。」
「その時は我と戦ってくれ『炎刃』よ!楽しみにしているぞ婿殿!」
笑いながら獣神はハルの肩を叩く。
「どっちも勘弁してくださいまじで…」
あ、そうだ。この二人に聞きたいことがある。
「獣神様は冒険者じゃないのでランクはないですけど、それでもSランクより確実に強いですよね?で、師匠はSSランクですよね。お二人より強い人っているんですか?たしかSSランクは三人いましたよね」
ふと気になったのだ。この二人の戦いを見ていると、これより上が何人も居るとは思えない。興味本位だった。
「ふむ。おそらく、Sランクくらいになると、自分のスタイルがある。それを通せれば我等が倒されることもざらにあるだろう。例えば先程の勝負なら、アルフレッド殿が上空高くまで飛んでそこから魔法を連発されれば我は手も足も出ずに負ける」
「俺からすれば、獣神が最初の一撃から魔力全開でラッシュしてれば負けてたな。こいつの拳は一撃が全て必殺級だった。一発もらえばそのまま全部くらっておしまいだ。」
アルフレッドと獣神がお互い言う。
「『限定された状況下なら最強に近い』なんて奴もいるし、魔法や能力の相性もある。つまり、絶対最強無敵!なんて奴はいないだろうな。誰であっても、どんなに強いやつでも負けることはある。ってとこかな」
アルフレッドは酒を飲みながら答えた。
「なるほど、確かにそうですね。」
「あ、でも例外があるな。竜種だ。下級のトカゲならなんとでもなるが、上級ならまず勝てない。アレは絶対強者と言っていい」
アルフレッドが思い出したように言う。
「そんなに強いんですか?」
「俺と獣神とハルの3人がががりでも厳しいんじゃねぇか。まぁ魔力の塊みたいな存在だからな」
俺はともかくとしてこの二人が共闘しても厳しいのか…ドラゴンって強いんだな。
「だがドラゴンは我等より長く生き、我等より遥かに頭がよく知性と知識がある。戦うような事にはならんから安心しろ」
「そうですか…わかりました。ありがとうございます!」
ドラゴンは強いが、戦うことはない。 おとぎ話みたいなもんだな、とハルは思った。
◇
深夜と言うような時間、動く人影は見えない。
一切合切みんなが酔っぱらってしまったらしい。
そうして祭りの夜は静かに更けていった。
次の日が大変だった。
目覚めた者から片付けを始める。そんな状態なので買い物などもできるはずもなかった。
片付けも終わりようやくマトモになったのはさらに次の日のことだった。
そして出発の朝。
「世話になったな、ありがとよ」
アルフレッドが言う。
「なに、仲間を助けてくれた礼の宴会だ。礼を言うのはこちらの方だよ。もっとゆっくりしていっても構わんのだぞ?」
獣神は穏やかな笑顔を見せている。
「先を急ぐ旅だからな」
「そうか。またいつでも来るがいい。歓迎する」
アルフレッドと獣神はガッチリと握手をした。
二人はほぼ丸2晩飲み明かしてウマが合ったらしく、もう何十年来の友人のようだ。
「ハルもアリスもフィーダも本当にありがとう」
ミナが言う。
「一緒に来るって言うかと思ってたんですが」
アリスが尋ねる。俺もそう思ってたけど違うようだ。
「セキチクにまだ仲間もいるしね。元々私がする筈だった仕事だから責任もってやらないと。」
「そっか…ちゃんとしてんだな。がんばって!」
あっけらかんのマイペースだと思っていたがやはり獣の国王の娘、やるべき事はわかっているようだ。
「ファンテジアでしょ?落ち着いたら皆に会いに行くから!じゃ元気でね!」
「こちらこそ!おりがとう!!」
こうしてハル達一向は旅を再開することになった。




