22話『勃発?』
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次の日、セキチクを出発するに際し、お仲間の獣人達が見送りに来ていた。
「姫!迷惑をかけないように!」「姫!わがまま言わないでね!」「皆さん、わがまま言うようなら樽にでも入れてその辺に捨ててかまいませんからね!」
「こら!そんなんばっかりかあんた達!」
激励なのか野次なのか微妙な言葉にミナは少し嬉しそうに言葉を荒くする。
「ミナ様、気を付けてくださいね。皆さん本当にありがとうございました」
ミロルはそう言って頭を下げた。
小学生くらいのこの子が一番しっかりとしてるんじゃなかろうか…?
「ありがとうミロル。他のみんなも、セキチクでの仕事が終わったらちゃんと国に帰るのよ!それじゃね!」
賑やかなお別れだった。本当に皆が無事でよかった。
揺れる馬車の中。
「さて、それじゃ改めて自己紹介するわよ。獣人の国王が一人娘、ミナよ。国までよろしくね。もちろんタクシー替わりにするような真似はしないわ。戦うし身の回りの事も手伝うからね。」
それは助かるな!
数日後、道中何度かの魔物や魔獣との戦闘を見てミナは言う。
「交替で戦闘してるのはわかったんだけど、魔身機だっけ?あのおっきいのは出したり出さなかったりするのはなんで?」
「あぁ、人間と共闘するのは初めてか。フィーダ説明してやってくれ」
アルフレッドはフィーダに言う。フィーダ先生の出番だ。
まずうちのパーティは、前衛二人、(ハル、アリス)前衛・中衛一人、(フィーダ)後衛、(アルフレッド)と、なっている。
このうち傷を治す回復魔法が使えるのがアリスとアルフレッド。
のため、ハルとフィーダだけで対処可能な相手の場合はアリスは御者として待機してもらっている。
回復できる人間が怪我したら困るしね。
「そこまではわかった。で、魔身機は出さないといけない訳?」
「人間は魔力行使の効率が悪くてな、魔身機を出した状態じゃないとマトモな威力の魔法が使えないんだ」
「うっわ不便なのね人間って…魔物は生身だからいいとして、魔獣と戦うとき私だけ小さいと皆戦いにくいと思うんだけど…」
ミナさんが人間という種族の大変さを知ったくれたようだ。
だが確かにその通りだ。間違って蹴ったりしちゃいそうな気がしないでもない。
「魔身機使用時はミナさんに御者をしてもらうのがいいのでは?」
アリスが言う。と、
「そうですね。無理するほどでもありませんし。」
フィーダが続く。
「俺もそう思うよ」
俺も同意だ。やりづらいのに無理に戦う必要もないだろう。
事故ったら怖いし。
「本音を言うなら戦いたいんだけど仕方ないわね」
やはり獣人は戦うのが好きらしい。だがミナさんも納得してくれたようだ。
「お前も魔身機使えばいいじゃねぇか。ほれ」
アルフレッドは言いながら予備の機心をミナに投げる。
!?また師匠がとんでもないことを言い出したぞ!?
「私にも使えるの?」
ミナの目が輝いている。
「人間しか使えないと聞いたけど…本当に使えるのですか??」
アリスがアルフレッドに聞く。
「使えるぞ。人間に近い獣人になら、だ。ミナは人間にかなり近い獣人だからおそらく使える。ドワーフやエルフは使えないけどな」
動物が二足歩行してるようなタイプや、人形だが動物要素の強い場合はできないらしい。ミナのように、人間に耳や尻尾をつけたような、人間度が高い場合は可能だそうだ。
ドワーフもエルフも人間に近いような気がするが、出自に違いがあるそうだ。
「但し、メリットがほとんどない。のにデメリットはある。魔力効率は変わらないから魔身機使っても魔法の威力は変わらないし、そもそも魔身機出すのに使う魔力がムダ。その魔力でぶん殴ったほうが早い。」
…なるほど、人間と共闘する特殊な状況でなければ使う意味がないってことか。
「なるほどね…でも少しの間でも皆の役に立ちたいし、次に機会があったら使ってみるわ。ありがとうアルフレッド!」
ニッコリとミナは笑った。
「知らないことはまだまだあるもんだなぁ~」
とハル、アリス、フィーダの三人は思った。
◇◇
数日後の夜、ハルが見張り番をしていると、声をかけられた。
「ハル。少しいい?」
振り替えるとミナがいた。そのまま隣に座る。
「あぁミナさん、いいですよ。どうしたんですか?」
火に木をくべながらハルは答えた。
「ミナでいいよ。いや、こうして二人で話したことなかったし、この前のお礼もちゃんとしたかったから。ハルが倉庫で戦ってくれたんでしょ?ありがとう」
「あぁ、まぁ…無我夢中でしたよ。ほんとに無事でよかったです」
あの時はただなんとかしないとと思っていた。助けられて本当によかった。
「強いんだね、ハルは」
「師匠に比べればまだまだですよ」
「アルフレッドはSSランクでしょう?あれを超えたら世界一ね」
ミナは茶化すように言う。
「はっは、たしかに。超え甲斐のある師匠かもね」
思わず笑ってしまった。近づけているのだろうか?
「いやいや、ハルもかなりの物よ。倉庫の件もそうだけど、それよりも技術。魔物の攻撃を回避する時と、防御ではなく『相手の体勢を崩すため』に籠手で捌き、逸らすでしょう。あれは訓練と研鑽の賜物よ。」
「そうかな…そう言われると嬉しいな。ありがとう…ミナ」
努力と、これまで培ったものを認められると嬉しいな。
しかしよく見てるなぁ。
「ん。私は強い者が好きだから。父上と会ってもらうのが楽しみ」
ん、どういう意味だ、なんて考えようとした瞬間、隣に座っていたミナはさらに距離を詰める。
あ、実家の猫がたまに甘えてくる時の目だ…
あぁ、猫耳が近い…まずい…撫で…?
「交代の時間だよ!!!!」
大きな声が木霊する。
「ふにゃー!!!」「ひっ!」
驚いたミナがハルに抱きつく。
「ハルくん何してるの?」
いや、なにもしてないっすよまだ 猫耳触ろうとなんかしてないっすマジデまだ あっ…今気付いたけどミナさん豊かな物が当たってます
「ミナもいつまでくっついてるの!私の次の見張り番は貴女なんだから休んでおきなさい!」
「びっくりしただけだよー。じゃあね、ハル」
そう言ってミナは飛び上がり、行ってしまった。最後に横顔で小さくウィンクをしていた。
(ハルの反応ならツカミは悪くなかった…あの子をどう出し抜くか…って所かにゃー)
ミナは尻尾をご機嫌に振りながら去っていった。
段ボールはあかん。異世界ぶち壊しやん…ご指摘頂き、樽に変えましたm(_ _)m




