21話『謁見』
次の日。
ハル達四人はセキチクの王城へ来ていた。
国王に会うため全員礼装だ。
名前を言うと中へ通され、待合室へ案内してくれるそうなので付いていく四人。
「師匠が前歩いて下さいよ」
ハルは明後日の方向を見ていたアルフレッドに言う。
「はぁ?なんで俺が。めんどくせぇ」
「いやいや、「『雷神』アルフレッド様とそのお仲間の方々」って感じの呼び出しだったんで師匠が先頭を歩くべきです」
「私もそう思う。アルフレッド様はご自分のランクの高さを自覚した方がいいですよ」
「あ、この絵高いやつだ~」
ハルが言うと、フィーダが同意してくれた。
…アリスは我が道を行っているようだ。
「ちっ、しゃあねぇな。堅っくるしいのは好きじゃないんだがなぁ」
やれやれと頭を掻くアルフレッド。
「こちらのお部屋でお待ち下さいませ」
部屋に入ると、案内してくれた人は頭を下げて出ていってしまった。
「どうしたらいいんですかね。王様なんて初めてなんでちょっと楽しみなんですけど」
実はハルはとてもテンションが高い。RPGをやったことのある人間なら誰でもそうなるだろう。
50ゴールドくれたりするのだろうか。
「功績で呼ばれた側だ、言われたことに答える程度でいいさ。」
フィーダがアドバイスをくれた。だよな、別に俺がなんかするわけじゃないし。気楽に見て楽しもう。
「おっ、このワイン…飲んでみてぇな…」
「あっ、このお花綺麗~」
後の二人は相変わらずマイペースだ。俺だけテンション上がってたのも少し恥ずかしい。
少しして呼ばれ、謁見の間へ通された。
国王様…思ったより若いな。40代くらいかな?やはり緊張で思わず背筋が伸びる。
「私がセキチク国王、ジャスワン・パームシビットだ。」
「お会いできて光栄です、陛下。アルフレッド・グランとその一行、私アリス・ディアセイントと、その従者、フィーダとハルでございます。本日はこのような場を設けていただき本当にありがとうございます」
アリスが流麗な言葉と動作で国王に挨拶をした。
!そうか、忘れてたけどこの子、超有力貴族の娘だった…どうりで自然体な訳だ。
「ディアセイント…あぁ、エイギスの!ファンテジア王国の舞踏会で会ったことがあるね!ありがとう。でもほら、うちの国はできて歴史が浅いから、マナーとかあんまりうるさくないからもっと楽にしてくれていいよ」
優しい笑顔の国王はアリスに言った。
「そうは仰いますが、先程の部屋の花は遥か東の果て、ムーンダスト周辺でしか採れない花でございましょう。絵画から調度品、卓上花まで完璧になさるお方に、そんな畏れ多いことはできません」
え、あの花そんなすごいんだ。
「大臣がうるさいんだ。僕は構わないのにねぇ。さて、『雷神』様、ご足労頂きありがとうございます。この度はうちの国内の不始末で迷惑をかけました。お礼を用意させましたので納めてください」
「他の3人がほとんどやったから俺は何にもしてないんだがな。まぁ褒美はもらっておく。」
師匠もさすがに大人しいけど、やっぱ国王側の対応も違うな。SSランクは伊達じゃない。
「さて、君はもしかして王国騎士団、団長のフィーダ・マクスウェルさんかな?」
「昔の話です。今はただのフィーダでございます。」
「『砂漠の薔薇』と称される貴女に会えるとはね。いや光栄だ」
さらっと新情報だよね今の。なんか色々あんのかなこの人も。
「最後は君か。『炎刃』ハル君だね。『雷神』が弟子をとった、とか、たった三人で魔獣を倒したとかいろいろ噂は聞いてたよ。まさか生身で建物ごと一刀両断しちゃうとは思わなかったけど。」
「は、はい。すいません派手に壊しちゃって」
ほんとにフランクすぎるだろ国王。それでいいのか
「と、もうひとつ、お願いがあってね。例の獣人のミナ姫なんだけど、本人のたっての希望でね、君達が良ければ、君達の旅に途中まで同行したいんだとさ。
聞いた話だと君達、ドワーフの国に行くんだろ?途中で獣人の国を通るし無駄はないと思うけど。
獣人の王も直々に御礼を言いたいって話だし、どうかな??依頼としてうちから護衛代もだすしね。あ、もちろん断ってくれても構わないよ!その場合はうちが責任をもって送り届けるからね!どうする?」
四人で顔を見合わせる。
「私は別に構いませんが」
と、アリスが言うと
「まぁ獣人の国は元々補給で寄る予定でしたから」
とフィーダが続く。
「獣人は義理に厚いからな、御礼ってんなら早めに済ませとかないと一生追いかけられるぞ」
と、師匠がだめ押しし、
「ではお連れしますとお伝え願えますか」
とハルが言った。
「ありがとう!ではそのように伝えておこう。話は戻るが四人とも本当にありがとう!野放しにしておけばもっと被害者が増える所だった。今後、この国に来て何か困ったら遠慮なく言ってくれ、私が必ず力になるよ!」
こうしてセキチク国王への謁見は終わった。
◇◇
そのすぐ後、ミナさんが挨拶に来た。同行OKの話を聞いたのだろう。
ミナさん以外の獣人はセキチクでやる事があるらしく帰らないそうだ。
「皆さん、先日は命を救っていただき本当にありがとうございました。その上、私の我が儘を聞いて頂いて有難うございます。父が御礼をしたいと待っておりますので、国まで短い旅ですがよろしくお願いします」
ミナさんはそう言うとペコリと頭を下げた。
…猫耳だ…あぁ尻尾が揺れている…そしてこう…すごいな…ボディが…
そっちの世界の扉を開きそうになったが、隣からの冷たい空気を感じて現実に戻された。
こうしてミナさんが仲間に加わり、獣人の国へ向かうこととなった。




