15話 『約束』
いつもありがとうございますm(__)m
出発して数日が経ったある日。
この旅で初めての大型の魔物が現れた。
!でかいな…魔獣…か?
「魔物だ!でかいよ!」
御者をやっていたハルは全員に声をかける。
「大きいな。魔獣か?」
特大のゴリラのような生物を見ながらフィーダは言う。
「いや、違うな。すぐにでも魔獣になりそうなレベルだがまだ魔物だ。早めに倒しとかないと強くなると厄介だ」
アルフレッドはゴリラを見て言った。
「どうします?」
アリスが問う。
「アリスはハルと代わって御者だ。まだ機心も使えないしな。ハルとフィーダで魔身機出してやってみろ。なんかあれば俺もフォローしてやる」
アルフレッドはテキパキと指示を出す。
「アリス、よろしくね。ってことはフィーダさんと協力すればギリ倒せるって事ですね」
「うん。がんばって」
アリスに手綱を渡しながら言う。師匠がやれって時はギリギリ戦える相手って事だ。
この数日の訓練の成果を見せてやるぜ!
「うむ、私もそう見る。ハル、ゆくぞ!」
フィーダさんはやる気まんまんのようだ。
「魔身機召喚!!行くぞ、砂漠の薔薇!」
フィーダは剣を地面に当て、詠唱する。
地面の土が盛り上がり人の形を作っていく。
できあがったと思うと表面がひび割れ、剥がれ落ちる。中から美しい青銅色を基調にした鎧の騎士が現れた。
「すげぇ!これがフィーダさんの魔身機か…」
…やっぱその方がよさそうだ。やってみよう。
ハルも続く。
「魔身機召喚! 炎迅…点火!!」
ブレスレットが輝き、炎に包まれる。形作られた巨人の片手が炎を払うと、炎は意匠となって刻まれ、装甲が変化した。
魔身機に名前つけたらちょっと形変わったぞ。愛着的なものだろうか?まぁカッコよければそれでよし!!ノリが違うぜ!
「っしゃあ!とばすぜ!フィーダさん牽制とフォローお願いします!」
言いながらゴリラに向かって突撃する。
「合わせる、好きにやれ!」
フィーダは死角へ動きながら、地面から鋭い槍を作り魔物へ向かって放つ。
槍を回避したところにハルが斬り込む、が、受け止められてしまった。
「白羽取り!?器用な奴だな」
驚きを隠せなかったがそのまま蹴りを放ち離脱する。
魔物の追撃の拳が迫るが、フィーダの作った壁がハルを守った。
「ありがとうございます!」
「器用な上に速いな!同時にしかけるぞ!」
「おっす!」
言いながら二人は左右へ別れ、そこから距離を詰める。
フィーダは地面を、自分を発射するように隆起させ、ハルは背中から炎を吹き、一気に加速する。
が、ゴリラの両目はしっかりと左右別々にそれぞれ二人を見ていた。
(いかん、変更だ)
瞬時に状況判断したフィーダは上へ飛び視界から消える。
予想外の動きにゴリラの両目はフィーダを追ってしまい、一瞬できた隙にハルが炎の大剣で斬りかかる。
魔物の腕が落ち、さらに畳み掛けるようにフィーダが上から袈裟懸けに斬り下ろした。
大きな音がして、魔物の巨体が崩れ落ちた。
「ふう…思ったより苦戦はしませんでしたね」
「成長したんだろうさ。しかしハルは魔身機に乗ったほうが伸び伸び動くな。随分乗り慣れてるみたいだ」
フィーダは模擬戦の時よりも自由自在に動くハルが不思議だった。
「なんかいつもより動きやすかったんですよ。炎迅がパワー有り余ってる感じ?」
「名付けしたからじゃねぇか?明らかに出力もあがってたしな。他にもなんかできるようになってるかもしれねぇから色々やってみるといい」
アルフレッドから見ても以前より強化されていたようだ。
自分の心を召喚する、なんて魔法だから、ふとしたことで進化したりするのか。…な?
「私だけ置いてかれた感…」
アリスの機心は今は使えないので仕方ない。が、彼女なりに強くなりたいのだろう、その日は模擬戦にとても気合いが入っていた。
◇◇
数日後のある夜中
ハルが見張りをしていると、誰かが近づいてきた。
「お疲れ様、大丈夫??はいコレ」
アリスはハルに話しかける。飲み物を入れてくれたようだ。
「ありがとう。なーんもないよ。どうしたの?」
ハルは夜中に起きてきたアリスに尋ねる。まだ交代の時間ではないはずだ。
「なんか眠れなくて。あ、聞いてもいい?ハル君達はどうして旅に付いてきてくれたの??受けるメリットなかったでしょ?」
アリスは笑いながら言う。
「んー、、実はさ、あのサソリの魔獣が街の近くに居たのって俺と師匠のミスのせいなんだよね。そのせいで危険にさらしたから…お詫びと言うか。力になれるなら、って思って。」
嘘はつきたくなかった。守りたい、って思ったから。言えないけど。
「なるほどね…でもさ、冒険者は常に死と隣り合わせ、何があっても自己責任、が基本だからね。それに魔獣なんて簡単に討伐できるものじゃないし。だからハル君が責任を感じる必要はないよ!結果論として助かったんだし問題ないよ。守ってもらったから」
月明かりの下、ぼんやりと照らされるアリスは穏やかに笑った。
「ありがとう。そう言ってくれると救われるよ。…あ、アリスはなんでこの旅をしてるの??しきたりって言ってたけど」
あまりに綺麗な横顔だったから、もう少し見ていたくて自分から次の話をだした。
「あぁ、ディアセイント家の家訓と言うか、儀礼みたいなものでね。『18歳までにドワーフの国まで魔石を取りに行く』って決まりがあるの。それで一人前として認められるのよ」
「なるほど、家のしきたりってそういうことだったんだね。じゃあ必ず成功させなきゃね。約束するよ、何があっても最後まで手伝うって。」
「うん…ありがと。じゃあ、約束!」
アリスは満面の笑みで指を出した。
「懐かしいな…約束、必ず無事に送り届ける!」
懐かしい行為に思わずほっこりしたハルは約束をし、二人で笑い合う。
「なんか話したらすっきりしちゃった。おやすみ!」
「おやすみ。冷えるから気を付けてね」
「ハル君こそね!」
夜風は冷たかったが、心はとても暖かかった。
それだけで充分だった。
明日も同じ時間に更新します!何時頃の更新が一番見てもらえるのでしょうかねぇ?次からサウスワーク入ります!




