14話 『仲間』
いつもありがとうございます!初めてブクマ頂きました。感無量ですm(__)m
ニアフォレストを出発し、まずはファンテジア王国最南端、商業と工業の街「サウスワーク」へ向かう事になった。
目的はアリスの機心の修復と、隣国「セキチク」への関所があるからだ。
と、アリスからルートの簡単な説明がされた。
「と言う理由でまずはサウスワークへ!元気に行きましょー」
明るい声でアリスは言う。
「なんかこの前と雰囲気違いますね。楽しそうだ」
あまりにも前回ととイメージが違ったので思ったことを言ってみた。
「前回はお二人とちゃんと話すのは初めてですし、無理な交渉をお願いする立場でしたからね。なによりSSランク『雷神』様相手なら国王でもそうなりますよ」
アリスの言葉にハルは少し考えてしまう。
「…やっぱSSランクってすごいんですね…一緒にいると全くそんな気がしませんが…」
ハルは色々思い出したのか頭を抱えながら答えた。
「当然ですよ!魔獣を三人で倒したハル様も話題ですけどね。『雷神』様、ぜひ後で稽古をつけて頂きたいのですが!!」
フィーダさんが勢いよく言う。この人は美人だが、武人気質と言うかバトルマニアな所があるような気がするなぁ。
「構わんぞ。ハルにもパーティでの戦い方を教えてやるから覚悟しとけ!あと二つ名で呼ぶのはやめろ。アルフでいい。」
アルフレッドはぶっきらぼうに言った。
あぁ…あの顔はしごかれるな…大森林で魔物大連続狩猟させられた時と同じ顔してる…すでに気が滅入る…
「ありがとうございます!よろしくお願いします!!」
フィーダさんが燃えている。体育会系だなこの人。
「せっかくですから敬語もやめましょう?長い旅を共にする仲間ですから」
アリスがニコリと笑いながら問いかける。
「アリスさんがいいなら…」
ど偉い貴族の娘さんなのにいいのだろうか、首飛んだりしない?と思ったが…
「アリスでいいよ、ハル君」
「…俺もハルでいいよ」
眩しすぎる。
◇◇
その日の夕方。
「さて、そんじゃまず全員のレベルを知りたい。今更だが一通り自己紹介しろ。ハルからな」
アルフレッドが言う。
「おっす!ハルです。17です。ランクはBで炎の魔法が使えます。剣と籠手での接近戦が得意です。こんなもんですかね??」
とりあえず必要そうな情報は言ったつもりだ。
「じゃあ次は私ね。アリス・ディアセイント、16歳です。あ、もうすぐ17になるけど…ランクはB、ショートソードの二刀流で、風魔法での接近戦が得意です。癒しの加護があるので回復魔法が使えます」
もうすぐ17ってことはアリス同い年なのか。しかし風魔法、なるほど。それで魔獣の攻撃をフィーダさん抱えたまま回避できたのか。加護は固有魔法ほどではないけど、基本四属性からは少し外れた特殊な魔法が使える。先天的なものと後天的なものがあるらしいが、アリスは回復魔法が使えるようだ。
「私の番だな。フィーダ・マクスウェル、22だ。ギルドランクはA、土属性の魔法とロングソードを使う。前衛・中衛どちらもできる」
ランクA!やっぱ従者兼護衛って感じか。強いんだろうなぁ
「一応俺もか。ランクSS、アルフレッド・グランだ。魔法は基本属性は全部使える。広範囲殲滅系の魔法が得意だな。前衛も後衛もなんでもできる。」
こうやって改めて聞くとほんとに師匠は無茶苦茶だな。
師匠は続けて言う。
んじゃ方針を説明するぞ。ハルが最前衛、アリスとフィーダは中衛でハルのフォローをしつつお互いにカバー、俺が後衛だな。
大型の魔物だろうと魔獣だろうとこの形は変わらねぇ。
俺がいる限り攻撃力不足になることはない。
だが俺がいなけりゃどうなる?それで崩れるようなパーティはダメだ。
基本的にやることは、魔物・魔獣からの攻撃をとにかく全員が回避するか防ぐ事だ。
一撃もらえば終わりなんて攻撃力や魔法を持つ魔獣はゴロゴロいる。
相手の攻撃を捌いて捌いてさばき続ける。で、合間に攻撃だ。
これができりゃ俺がいなくても勝てる。
同じ事のできる奴等が2パーティもいれば魔獣でも被害なく倒せる。
とにかく生きる事だ。忘れるなよ、勝つこと、倒すことじゃない、生きることを目的にしろ。
「「「はい!」」」
返事が揃った。
「それじゃ模擬戦だな。まずはフィーダとハルでやれ」
「お願いします」
ハルは頭を下げ、構える。
「君とも戦ってみたかった…加減はせんぞ!」
フィーダさんは嬉しそうに口角を上げて答える。やっぱバトルマニアだな…
「お手柔らかにおねがいしますっ!」
言いながらハルは駆け出す。まずは先制して主導権をとる!
「ばか正直だな!」
フィーダが剣を地面に刺すと、地面から拳が生えてきてハルに殴りかかる。
なるほど、土属性だと、金髪で赤コートの錬金術師みたいな事ができるわけね!ちょっと羨ましい!
「その言葉お返ししますよ!」
ハルは左手の指をパチンと鳴らすとフィーダの顔の辺りで小さな爆発が起きる。そっちがそれならこっちは大佐でいくぜ!
「ふん…むっ!」
フィーダはなんなく回避するが、ハルが一気に距離を詰めており、あと一歩の所まで近づいてきている。
「目眩ましか」
「こっちが本命ですよ!」
目眩まし用にわざと回避しやすく爆発を起こし、同時に足の裏でも爆発を起こして炎に隠れている間に一気に加速したのだ。
「悪くないがまだまだ甘いな」
と、フィーダが言い終わる前に、ハルの足元の地面から拳が伸びて
ハルのみぞおちに吸い込まれる。
炎で視界がなくなった時に読んで発動させていたのだろう。
「ぐっ!」
咄嗟に籠手でガードする。が、反動が大きく弧を描いて吹き飛ばされる…いてぇ…
なんとか空中で体勢を整え着地するが、眼前にはフィーダの剣があった。
「そこまでだな。自分で起こした炎を相手に利用されちゃしょうがねぇな。単純な接近戦だけならいい勝負できただろうに」
師匠は呆れたような顔で言った。
「はい…」
くそぉ…いけると思ったのになぁ…
「スピードはハル殿の方があるからな。もう一度やったらわからんさ」
フィーダさんの優しさが痛い。経験による戦闘勘がすごいな。こればっかりはすぐに埋められるものではない。
「さて、そんじゃ次はハルとお嬢ちゃんだ」
「お願いします!」
「お願いします!」
二人同時に言うと双方、相手に向かって一直線に走る。
リーチに勝るハルが先に剣を振るうが、アリスは横に回避し突きを放つ。
ハルは斜め前に踏み込みながら回転し、切りつける。
アリスは見切ってスウェーして回避すると連撃を繰り出す。
ハルは片方は回避し片方は籠手で反らした。
アリスは舞うように、ハルは型の演舞のように二人は戦い続ける。
十数合打ち合い、アルフレッドから声がかかった。
「そこまで!いい感じだな」
不思議な感覚だった。
相手の考えている事がわかるような感覚。
もっと速く、ここに、そこに、もっと!…そんな、まるで自分が二人いるような。
そんな感覚と高揚感だった。
隣を見ると、アリスも同じように感じたのだろう、呆けたような不思議な顔をしていた。
「最前衛は集中力が要るからな。悪くないぞ」
師匠が珍しく素直に誉めてくれている。
「それじゃ最後はお前ら3人がかりで俺とやるぞ」
ニヤリとしながらアルフレッドは言った。
「げっ…」思わず声が漏れる俺。
これはやる気になってる師匠だ…
結果?
3人まとめて立てなくなるまでフルボッコにされましたよ…
フィーダさんだけは最後まで楽しそうだったなぁ…




