11話 『正体』
いつも、読んでいただきありがとうございます!
こっちの方向だ!急げ!
なにがあったんだよ!?
「お、来たか」
こちらへ向かってくる集団がいた。さっきの騒ぎを調べに来たんだろう。
「ん、君は街の外に居たのか?何があったか知らないか?」
リーダーであろう男が声をかけてきた。
よく見ると集団の格好がバラバラなので、街の警備と冒険者とが混ざっているようだ。
「魔獣が出たんで魔法でぶっ倒したんだよ。ちっとやり過ぎちまったが」
「魔獣だと!?しかも倒した!?」
「リーダー…リーダー!アレ見てください!」
横に居た男が森の状態に気づいたようだ。だよな、俺もびっくりしたからなぁ
「森が…君は何者だ!?」
「俺か?『雷神』か『国崩』って言えば分かるか?」
「『国崩』…!SSランク冒険者、アルフレッド様ですか!!これは失礼しました!」
お、ザワザワしてんな。めんどくせぇからあんまり二つ名は言いたくねぇんだがまぁ、こーゆー時に使わないとな。
「とりあえずギルドマスターに報告に行くから着いてこい。あ、何人かは森の調査な」
「「かしこまりましたっ!」」
めんどくせぇけどこれしかねぇよなぁ…。
◇◇
ニアフォレストのギルドにて
ギルドマスターであるクライブ・イーグルベルは「鉄血」のドランと共に、遅すぎる昼食をとっていた。
「今日の試験もまぁうまくいったほうじゃないか??ドランよ」
パンを放り込みながら、旧友である今日の講師に問いかける
「うむ。しかし本当に全体的なレベルが高い。お前が作った講習や指導のシステムがしっかりしているからだろう」
ワインを飲みながら、鉄血は今日の受験生達を思い出す。
「苦労したからなぁ…昔に比べたら死亡率も下がったもんさ。おかげで中堅が増えたから指導もしやすくなった。自分で言うのもなんだがいい流れだ」
クライブが駆け出しの頃はギルドのシステムが完成しておらず、無茶をして魔物に挑んで死亡する若者も多かった。
「そうだな。特にあの、最後の…ハル君だったかな?あの子は鍛えられてるな。攻めはまだまだだが防御技術はなかなかのものだ。何よりも大切なのは身を守る術。即殺されないことが第一だからな。師はよくわかっている」
ドランは唯一、手を抜いているとはいえ自分の攻撃を数度凌いだ青年を思い出す。
「あぁ、あの子か。師匠はアルフレッドだからな」
「なんと!?『雷神』アルフレッド殿か!?…なるほど…しかし、それにしては普通の子だったように思ったが」
ドランは興奮して立ち上がる。が、たしかに鍛えられているが、数人しかいないSSランク冒険者が弟子にとるとしては、普通だったように思う。
「それが続きがあってな、」
と、クライブが言おうとした瞬間、遠くで何かが爆発したような音と地響きが起こった。
「なんだ?おい!何があったのか、被害があるか調べろ!」
クライブは職員に指示を飛ばす。
「私も動くか?」
鉄血が言う。
「いや、なにがあったか分かるまで、ここにいてくれ。魔物か魔獣の場合は行ってもらう」
下手に動いてすれ違うとまずい。今は情報収集が先だ。
平穏だったギルドは先ほどまでが嘘のように、慌ただしくなっていた。
◇◇
少しすると、若い男が勢いよくギルドに入ってきた。
「マスター!報告です!東の大森林より魔獣が出現、が、『国崩』アルフレッド様が撃破されました!先ほどの音は撃破の際の魔法だそうです!」
「魔獣だと?しかももう撃破済み?どうなってんだ…とりあえず本人呼んでこい!」
と、クライブが言った瞬間、また誰かが扉を開ける、
「来たぞ」
当の本人、アルフレッドであった。
「どういう事だ!?最初からお前が説明しろ!」
これはクライブ。
「お初お目にかかります『雷神』アルフレッド様、『鉄血』のドランと申します」頭を下げる。
これはドランだ。
「まぁまぁとりあえず落ち着けよ。あ、鉄血さんもよろしくな。とりあえず街に被害はないと思うから安心させてやれ。あと大事な話があるから人払いしてくれ」
◇◇
ギルドマスターの部屋
アルフレッドとクライブ、ドランが座っていた。
「で、なにがあったんだ?」
クライヴは問う。
「まず魔獣な、ほんとは出てない。」
あっけらかんとアルフレッドは言う。
「はぁー!?そこ一番大事な所だろ!?じゃあなんであんな大規模な魔法を使った!?森が10キロ先までなくなってるんだぞ!」
クライブが食って掛かる。当然だ。
「あとあの魔法は俺はやってない」
「?貴方以外にあんなことができるとは思えませんが?」
あんな規模の魔法は人間には無理だ。だがアルフレッドならばあり得る。とドランは思ったが、違うと言う。
「ハルだよ。魔身機に乗せてな、そこまではよかったんだが。剣を思いっきり振ってみろって言ったらアレだ。炎の剣が巨大化してよ。いやー焦ったわ」
「この被害が剣戟の結果だと!?信じられん!」
「だから言ったろ、あいつは特別だってよ。魔身機もスイスイ乗りこなしてたぞ。自分の肉体より動かしやすいくらいじゃねぇか下手したら」
「で、あいつがやったとバレるといろいろマズいだろ。あいつまだ子供だし。だから魔獣がでて俺がやったってことにしとこうかなぁ、と」
「言いたいことは分かるが…」
最後まで言わせず、
「んじゃあとの事はよろしくな!頼んだぜギルドマスター!」
とだけ言って嵐のようにアルフレッドは去っていった。
「…ドランよ、とりあえず内密に頼む」
「言っても誰も信じないだろう」
「それも、そうか。やれやれだ、…」
ギルドマスター、クライブ・イーグルベルの一日は長い。
◇◇
次の日
「ハル、話があるからちょっとこい」
「…はい」
やっぱそうだよなー。
宿屋のおかみさんから聞いた話では、魔獣がでて冒険者が倒したらしい。
でもあの辺に居たのって俺と師匠だもんな…。
◇◇
街の外、森の手前
森がない…?なにがあったんだ!?
「めんどくせぇから簡単に言うぞ。コレをやったのはお前だ。お前が振り下ろそうとした剣が巨大化して、こうなった」
!?
「…これを、ですか…?」
これが俺の剣で…?
「いくら魔身機に乗っても普通はこんなことできねぇ。お前は普通の人間にはないなんらかの力がある」
厳しい顔で師匠が言う。
「なんらかって…化物じゃないですかコレ…」
こんなとてつもない力……
「だったら制御できるようになればいいじゃねぇか。安心しろ。俺はお前より強い。なんかあれば俺が止めてやる」
そう言ってアルフレッドは指を鳴らす。
晴天だったはずが暗くなり、見渡す限り雨が降りだした。
次に腕を振ると雨が止み、20メートル程の氷像が突然目の前に現れた。
さらに指を鳴らすと、大きな炎の馬が現れ氷像を一瞬で溶かしてしまった。
すげぇ…これが師匠の魔法…!
「過ぎた力は身を滅ぼす。だがしっかりと扱えれば、それはお前の力だ。大きな力は、誰かを守る事ができる力だ。」
「俺が力の使い方を教えてやる。んで俺を手伝え。いい加減一人で森の魔獣の駆除すんはめんどくさいんだ」
「…なんすかそれ。後ろが本音じゃないでしょうね?」
「…ありがとうございます。改めてよろしくお願いします、師匠。こき使ってください!」
不思議だな、さっきまで不安でいっぱいだったのに。
この人に出会えてよかった。
◇◇
帰り道
「あれ?魔獣って師匠が倒したことになってるんですよね?それを信じさせる師匠って、何者なんですか?さっきの魔法もとんでもないし。ランクは??」
ふと気になった事を聞いてみた。そう言えば師匠のランクとか聞いたことなかったしな。
「あ?俺はランクSSだ。だから俺が言えば信じるしかないんだよ。ちなみにハーフエルフだ。わかってると思うが普通の人間には魔法はあそこまで使えないからな。」
アルフはさも些細な事かのように答えた。
SS…!?最高ランク!?しかもハーフエルフ!?どーりで魔法の威力も多彩さも…納得…。
とんでもない師匠をもったもんだ…。
さて、ついに次でヒロインが出ます。明日か明後日までには更新します!




