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第033話 実技試験

棒倒し

それは過酷な競技。

過去には重軽傷者150人出したこともあり決められた場所と王室審判団の元で以外することを禁じられた競技。

現在では最大の物は【建国祭】で行われる全騎士団総当たり戦による試合が有名である。


ギルドマスターに説明されたそれは過激さでは防衛大学の【開校祭】の上を行くのではないかと思ってしまう内容だった。

てか、こっちの世界は100人対100人の試合でしょ?

それで150人の重軽傷者ってどんな試合したのかそっちのほうが気になってしまう。

負傷率75%ってなんなのさ…



試験をのことを聞いたあの日から4日たった。

え?筆記試験はどうしたかって?

過去問題書き写しての一夜漬けならぬ二夜漬けでクリアーしましたとも。

半分くらい知らんことだったから正直危なかった…

討伐部位なんて討伐依頼もしたこと無いのにどの魔獣や魔眷属がどこなんて知ってる訳無いだろう!

あぁ、とにかく無理やり頭に詰め込んで零れ落ちないうちにガーーーっと書いたよ。

それから一夜たった今日じゃ1/3くらいもう記憶から零れ落ちてるさ…

高校生時代以来だよ…一夜漬け勉強なんてしたの…


まぁ、そんなことは置いておいて…

現在私の周りには大勢の冒険者達が集まっている。

最大のランクはBランクから私という例外を除いてEランクまでの冒険者が106名。

この中で1試合に参加するのが100名。

6名は交代要員だ。

この数も競技ルールで決められているらしい。

そしてリーダー役のBランクの冒険者カールさん(ちなみに冒険者仲間からは【大帝】と呼ばれている)が競技ルールのおさらいと注意事項の説明をされている所だ。

ちなみにランは3試合中第一試合のみの参加となる。


防大での競技では参加者がそれぞれ細かな分担が与えられていたのだがここではそうではないらしい。

【攻撃】と【防御】の2班のみ。

さすがに【防御】班にはいくつか役割分担されている者達もいる。

棒を支える係りや迎撃をする係りくらいは…。

ちなみ防大ではこれが実に細かく分けられている。

チームによって呼称の仕方や役割も細かく分ければ違うのだが基本的には以下の通りに分けられていた。


【攻撃班】

スクラム – スクラムを組んで相手チームの防御陣と組み動きを封じる、また突攻の踏み台となる

突攻 - 棒をあらゆる手段(主に飛びついて自重で)倒す

遊撃 - 攻撃全般支援


【防御班】

棒持ち - 棒を支え続ける係り

上乗り - 棒の上に乗り、跳んでくる突攻を蹴り落とす

サークル – 棒を囲んで防御としての壁になる

イージス – 能動的に機動しスクラムを無効化する防御系スクラム、イージスシステムからの名

キラー – 攻撃側の遊撃と同じく自由な形で攻めてくる敵を妨害する


このうち【上乗り】の最上位は指揮官がなることが多い。

ちなみにこの【上乗り】を複数棒に取り付けると重くなって不利なのだがチームによっては多いチームも存在する。


とまぁ、こんな感じで分けられていたのだが…こっちのは大雑把過ぎないか?

まぁ、いいけどさぁ…


私は攻撃班に配置された。

自由に攻撃して良いそうだ。

ちなみに【魔法】・【アイテム】の使用は禁止だそうだ。

【魔法】も肉体強化の魔法も禁止らしい。

ただ【技】は使って良いそうだ。


ちなみに【技】とはゲームのなかでは【技能スキル】と呼ばれていたものだ。

単純に【スキル】と呼んでいたことのほうが多いが。

【技能スキル】の【二段跳び】や【大跳躍】なんてものがそれにあたるが【ウエポンスキル】も【技】の範疇に入るらしい。

武器をもって攻撃は論外だが【格闘】スキルはこれに当てはまりすぎる物が多すぎる。

ちなみにランのメイン攻撃スキルは【格闘】と【短剣】である。

負けず劣らず【片手剣】・【両手剣】が育っているのは愛嬌だろう。

もっともこちらにきて一番威力を発揮しているのは【射撃】スキルではあるのだが…。

こちらに来て銃による制圧をメインにしているせいかなぜか【射撃】スキルがアホみたいに順調に育ってきている。

まもなくメインの【格闘】・【短剣】スキルと並びそうなのだが…

ゲームに戻ったときこの数値が反映されるのか微妙に気になったりしていた。


さて相手のチームの騎士団は第二王立騎士団、通称【ローエングラム騎士団】。

なんとなく【薔薇】の香り漂う名前だが気のせいだと信じたい。

リーダーの騎士団長がこれまた若くなんと20歳ぐらい。

そして金髪なんだわ…。

姉がいてアンネなんたらとかいう名前だったら私は笑い死するぞ。

しかも幼馴染の有能な副官までいたりしたら…

王様に是非とも排除するように進言したくなる。(笑)

ちなみに私は同盟派です!

あのぐうたら指揮官最高です!

というかあの人と同じような将来の夢持っていた私としては共感を覚えるのですよ。

もっとも私にはあの人みたいな才能はかけらも持ち合わせていませんが…(泣)


さて、説明も終わり第一試合が開始されることに。

相手の騎士団もさすがに今回は金属鎧なんてつけておらずレザーメイル系。

もっともゲームのスベックがあればフルプレートでさえも飛び跳ねるんだが…

こっちの世界の人間にそんな人外の能力求めても無理だろうな…

ゲームのスペックの元になった大魔法文明時代の人間になら平気でやりそうだが…


とりあえず味方陣営の前で5分ほど様子見。

でだ、妙に相手の騎士団見てるとむかつくんだよな…

確かに味方の冒険者チームが圧倒的に不利だ。

なにしろこちらの攻めはほとんどはじかれて逆にこちらのガードの人間に被害が出始めてる。

がむかつく理由がそうじゃないことにようやく気が付いた。

とりあえず味方陣営に来る騎士団を蹴り飛ばしたりして様子見していたのだが来る奴、来る奴全部『イケメン』でやんの!

よく見てみると騎士団のほうはガードのほうも『イケメン』揃い。

しかも二十歳前後の者ばかりだから…


“こいつらジャニーズか…”


思わずボソッと呟いてしまう。

同時にどうしてこんなに腹立つのかが判ってしまう。

まぁ、その…『イケメンはモゲロ!』のポリシーに引っかかりまくっていたのだ。

そうなるとやることはただひとつ…

特にイケメンであるリーダーである棒にぶら下がっている貴族潰すことが正しいのであろう。

『一罰百戒 』

イケメンという罪を心優しいラン様が一人潰すだけで他の人間にわからせてあげよう…


そんな訳でターゲット、ロックオン!

目標:イケメンに胡坐をかく馬鹿貴族


時間もすでに10分過ぎた。

残りは5分も無い。

そんなわけでスキル【縮地】から【格闘】のウエポンスキル【跳虎脚】を連続発動!

一気に【縮地】で敵陣営の直前まで距離をつめその勢いを維持したまま【跳虎脚】を発動!

ゲームで鍛えられたこの世界の今の人間ではありえない脚力を発揮して一気にガード陣の頭上を飛び越えそのまま貴族に向かって強襲!

狙うは棒と見せかけてイケメン犯罪の貴族の金的だ!!

お家断絶に追い込んでやる!


いきなり部下のガードの上を飛び超えて攻撃に来た少女を見てローエングラムのぼっちゃんは驚いた。

しかし、そこは一応冷静だったはずのぼっちゃん。

棒を背後にするようにして自分の体をはさむことによって威力を殺そうとした。

本来ならそれは正しい選択のはずだ。

この競技は棒を倒すのが目的だからそれを守るのは正しい選択だ。

ただランの本来の目標が棒を倒すというダミー目的を利用したぼっちゃんの金的攻撃である。


そしてランの目的は完遂された。

棒とランの足に挟まれたぼっちゃんの大事なところはとてつもないダメージをうけ…その攻撃の勢いも止まらず棒を途中から叩き折りぼっちゃんごと数メートル先まで吹き飛ばした。


“うっしゃーーー!ビクトリーー!!”


ランの勝利宣言とともにぼっちゃんに駆け寄る騎士団達。

みごとに目を回しているぼっちゃん。


はたしてぼっちゃんの大事なところは無事だったのか?

今のところは不明である。

こうして【悪魔】の称号はグレートアップして貴族達にも伝わり本気で震えさせることとなる。

ゲーム内容を詳しく書いても面白くないので(主に俺の表現べたなため)さらっと流してしまいました。


とあれ、ランの行動原理はVR版時代と変わっておりません。

『イケメンモグべし!』

であります(笑)

なにせプレイヤーは年齢=彼女いない暦の40うん才の独身男性。

いろいろ諦めていとはいえ目の前にイケメンいたらあらゆる機会を利用して潰したくなるのが彼なりの正義なのです!(笑)

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