第031話 ポーションIII
「【始めに魔力ありき】?」
“えぇ。”
俺の問いに彼女はうなずいて答えた。
詳細を聞くとラン君の故郷では【錬金術】を使って物を製作するときは必ず大なり小なりの差はあれど【魔力】を込めて作るのが必須と言っていい基本なんだそうだ。
ちなみに魔力を使わないで作る物は単に【化学】と呼ばれるものに分類されこれは魔力を使わないで自然界の反応を利用して作るものらしい。
そういった意味では【ロルフ草】を使った製作方法は彼女にしてみたら【錬金術】薬品では無く【化学】薬品に分類されるものらしい。
“ところで【ロルフ草】に魔力流し込んで作る方法で作ったらどうなるのでしょう?”
確かに…実に興味深い提案である。
「カーリ君、製作部の連中のうちポーション関係のものを呼んできてくれ、そしてカーリ君も魔力持ちだったな?
なら今日は受付は他の者に変わってもらってこっちの方を手伝ってくれ。
それとラン君との話が終わるまでは緊急のときを除いて面会等は断ってくれるように言っといてくれ。」
「判りました!」
「うむ!なにしろ『実験と検証は基本』だからな(笑)」
“確かに(笑)”
カーリ君があわてて部屋から出て行くのを見ながら私とラン君はそれぞれ笑いを浮かべていた。
◇
カーリ神が関係者を呼び【ハイル草】でのポーションの作り方を再度見せてからしばらく部屋の中は練習する人の悲鳴が一杯だった。
「うーー…また途切れてしまいました…」
「さ、最後までなんてとても魔力が持ちません(泣)」
「細く長く、細く長く…」
なんか呪術の呪文のようにそこかしこから聞こえてくる悲鳴と泣き言…
まぁ、そのなんだ…頑張れ…
要は慣れだ!
そう!慣れるしかないんだ!!
と、心の中で応援しておくことにした。
だって、皆目が死んでゾンビみたいに怖いんだもん!!
怖くて声なんてかけられません…
さてゾンビな職員達はとりあえず置いておいて…
こちらは『実験』と『検証』の開始です。
【ロルフ草】で魔力を使って作ったら?
【ロルフ草】と【ハイル草】を混ぜて作ったら?
ポーションでは無く傷薬を魔力使って製作したら?
等々…
結果から言おう。
ランも知らない回復系のポーションが2種類と軟膏が1種類、ブースト系のポーション1種類が完成した。
途中からあれもこれもと薬草や他の薬に使う植物やらが増えたがそこは聞かないで欲しい…。
正直やりすぎたと思っているところだから…。
ギルマス喜び部屋駆け回り、狐(カーリ神)はソファで丸くなる…
ついでに背後にはギルド員のゾンビが大量生産中…。
回復系
【強化ポーション】
種別:アイテム(薬:ダメージ回復)
評価:★★★★★★★★☆☆
素材:ロルフ草(×3)+蒸留水
回復力:80 (+50)
製作者:ラン
【追加効果】
高品質化:+50回復量増加
【コメント】
(ロルフ)ポーションの強化型
【ポーションプラス】
種別:アイテム(薬:ダメージ回復)
評価:★★★★★★★★☆☆
素材:ロルフ草+ハイル草(×2)+蒸留水
回復力:130 (+50)
製作者:ラン
【追加効果】
高品質化:+50回復量増加
【コメント】
(ハイル)ポーションと(ロルフ)ポーションの混合ポーション
【ヒール軟膏】
種別:アイテム(薬:ダメージ回復)
評価:★★★★★★★★☆☆
素材:ハイル草(×2)+オリーブオイル+蜜蝋
回復力:20/min MAX80 (+50)
製作者:ラン
【追加効果】
高品質化:+50回復量増加
【コメント】
(ハイル)軟膏と(ロルフ)軟膏の混合軟膏
1分間に20回復、最大回復値まできたら効果が切れる。
ブースト系
【怪力の薬】
種別:アイテム(薬:ステータスブースト)
評価:★★★★★★★★☆☆
素材:ハイル草+乾燥マグワード+フルサ青苔+蜂蜜+ 蒸留水
効果:8分間(+5分)+STR10
製作者:ラン
【追加効果】
高品質化:5分間効果延長
【コメント】
STR系のブーストポーション
どれもゲームでは存在していなかったものだ。
あのゲームは複雑怪奇なためもしかしたらプレイヤーが見つけていないだけでシステムとしてはあったかも知れないが…
そもそも軟膏なんて存在もしていなかった。
さらにブースト系は食事の追加効果であり薬品関係ではなかったはずだ。
今回作った物は製作レベルで言えばスキルレベル20までの初心者錬金術程度のスキルレベルであり材料も街近辺で取れる簡単なものだ…
“(もし見逃していたというならプレイヤー全員間抜けということですね…)”
少々気が抜けた思いでそんなこと考えていた。
ちなみに後ろのゾンビの中には一部生気が戻ってきた者がいるようで…
「や、やっとできましたーー!」
「やっと出来た…もうダメボ…」
等々声が聞こえてきている。
もっともいまだ大部分は出来ないで目が死んでいるようだが…
なんか魔力コントロール用のアイテム作ったほうがいいかな…
魔力チャージ系のアイテム改良で済むし…
少し考えた後「まぁ、ついでだし…」というわけで今だ踊っている人とソファーで丸くなっている人をほって置いて四次元ポシェットから【シルバーリング(分裂)】と【魔法陣用書き込み棒】を取り出す。
【シルバーリング(分裂)】は少し凝っていて内リングと外リングに分かれるつくりになっている。
20分ほどかけて内リングの外側に魔力調整用の魔法陣回路をびっしり【魔法陣用書き込み棒】で書き込む。
かなり細かい作業のためいつの間にか踊りをやめたり丸くなっていたのを背を伸ばしていたりしてこちらをじっと見ていた2人に気がつかないまま作業を進める。
回路の書き込みが終わると一度人差し指に付け魔力を流してみて確かめる。
必要以上流れないのを確認すると内リングに外リングをはめ【彫金】スキルの整形魔法で一体化し魔法陣が見えなくなる作業をした後もう一度指にはめ込み確かめる。
“うん、こんな物かな…”
ランが【鑑定】スキルを発動しながら使いこご地を確かめているといきなり横からの声が…
「ランちゃんその指輪何?」
“わ!びっくりした…カーリさん寝ていませんでしたっけ?”
「そのことはいいからその指輪何?」
“えへへへ♪
錬金アイテム製作補助用の指輪です♪
正確には魔力制御訓練指輪ですかね。”
「訓練?」
“そう、あんな人たちの量産は嫌ですから…”
そういって後ろを指すラン。
そこには一部蘇りつつある者もいるが…基本的には死屍累々状態のゾンビ化したギルド員達がいた。
【魔力調整の指輪】
種別:装備品(指輪:生産補助)
評価:★★★★★★☆☆☆☆
素材:シルバー
効果:8分間 魔力2だけ連続放出
製作者:ラン
【追加効果】
高品質化:3分間効果延長
【コメント】
生産時に最低魔力を放出し続ける。
最初に魔力チャージ(最大50)を行うと効果中魔力を一定放出し続ける。
ポーション類もそうだが最後に爆弾投下(笑)
次できれいに収まるのでしょうか?




