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第028話 麦麹菌培養

麦麹作り実は3日ほど遅れた。

詳細はここでは明かさないが…

簡単に言うとランの昇進試験が予定より早まりこの3日程の間に行われたのだ。

当然筆記試験はとにかく実技試験が普通に終わるわけがなく…

いや、実技そのものはある意味ギルドの上層部の予想通りに終わった。

その後の休憩時ランがあるものを出したために冒険者ギルドどころか国すら上に下にの大騒ぎがおきた。

詳細は後日に明かされるだろう…

少しだけ種明かしをするとランの作った【魔道具】もどきが原因だ。

正確には【魔法】関係は一切使われていない。

(製作時には使われているが品物自体には魔法はまったく関係ない)

日本のある製品を模倣して作っただけである。





“つっ、疲れた…”


たかが【弁当】だけで国を挙げて(正確には騎士団)が大騒ぎであった。


“ぜ~~ったいに教えてあげない!!”


そう宣言して逃げたのだが…

あれだけ執着を見せたものを果たして諦められるは疑問である。

『奪い取る』という戦法できたらたとえ相手が騎士団といえども叩き潰す気だが対価を示して教えて欲しいときたらはたしてどうすればよいのか迷ってしまう。


まぁ、それは置いておくとしよう。

とりあえずは【麦麹】が先決である。


やり方そのものは難しくない。

「麦を炊いて麹菌をつけて麦全体に繁殖させる。」

文に書けばこれだけですんでしまう。

だがこれを大規模でするとすごい管理がめんどくさい。

まぁ、今回は個人消費分だから少なくていいけど…。


この世界に来て驚いたのは料理の中に『蒸す』という料理がほとんど無いこと。

ごく一部の地方ではあるらしいがほとんどそのような方法を知らないらしい。

当然【蒸し器】なんて調理道具は存在しない。


まぁ、なくても何とかなる、ということで鍋と金ザルを取り出し鍋に水を底に張り中に金ザルを淵に引っかかるように置き(その為大きさを選んで買っている)洗った麦を入れて蓋をして火をつける。


もちろん宿の女将に台所を借りて薪代は払っている。

女将は新しい料理かと興味シンシンで後ろからガン見していて正直怖い。


空焚きしないように時々鍋に水を足しながら麦が飴色になるまで蒸し続ける。

ただすなおに言えば…【暇】である。

約1時間ほどかかるのだが…

別にじっと監視していなければいけない訳でもない…。


簡単なクッキーでも作るか…

とりあえず実験と言う感じで…


“女将さん!ちょっと部屋に荷物取りに行ってきます。”

「はーい、火は見とくよ。」

“お願いします。”


材料は…とりあえず基本のものでいいか…

バター・砂糖・小麦粉(薄力粉)は1:2;5の割合で。

とりあえず50:100;250でいいだろう。

あとは卵ひとつに…とりあえず基本で作るならこれだけでいいか…

おっと食用油忘れてた。


“女将さんありがとー。”


横でシュッシュッ言っている蒸し器代わりの鍋の横でレッツクッキング。




【揚げクッキー】


1・小麦粉をまずふるいにかける。

簡単に言えば水分で固まっているのをバラス作業です。

2度ほどすれば完璧です。


2・ふるいにかけた小麦粉に砂糖・バター・卵を混ぜ合わせる。

最初は少々粉っぽいですがよく混ぜ合わせると一塊になるのでガンバ!


3・2の塊を薄く引き伸ばす。

大体5mmくらいです。


4・クッキーの型で抜き取る…でも型が無いので普通に包丁で四角く切り分けます(笑)

地球なら是非型抜きでいろいろな形に切り抜いてください。子供が喜びます。


5・170℃前後の油で揚げる!

焦げ目がつかない程度にあげてください。

ここで3の工程で生地を厚くしていると芯が生の恐れがあります。


6・油をきったら完成!



焼かずに揚げるのがポイント。

ドーナツより少し固めのクッキーと言った感じに仕上がりです。

なんでもアメリカで一時はやった作り方らしい。

実にカロリーの多そうな作り方だがさらにこれに砂糖をまぶすという事まですると…

甘い代わりに…ものすごく高カロリーおやつの完成である。


揚げただけでもそれなりの気がするのにそれにさらに砂糖まぶしたら…

まぁ、砂糖振りかけてないほうならいいが…

地球での運動量で考えるとちょっと遠慮したい(笑)


こっちの人は一般の人でもどこぞのアスリートだ?と言いたくなるような運動量誇っているから大丈夫だろう…

一部の金持ち様は除いて…。


食用油は植物性の物は【オリーブ油】しか見つからなかった。

【ゴマ】や【大豆】あたりはあるかと思ったんですけどね…発見できませんでした。

効率悪いが今度【圧搾方】で【大豆油】に挑戦してみようと思う。


ちなみにこちらの【オリーブ】、地球のものと大分成分の偏りが違うみたいで地球の物より【高血圧への効能・効果】が高いことが確認され先日10回に分けて1トン分向こうに送った。

こちらでも各家庭でオリーブオイルを作ったりするらしいのである程度買うのは珍しくないがさすがにまとめて1トンは目立ちすぎるので分けて別々の店で購入し送ったのだ。

ちなみに苗も売っているのを発見(やはり家庭菜園みたいにして育てる家庭があるらしい)5鉢ほど購入して地球に送った。

これでどんな結果を出すかは向こうの研究者しだいだろう。



「へー…お菓子を油で煮るんだね」


女将の言葉は別に間違っていない。

そもそもこの世界【揚げ物】がさほどある訳ではないのだ。

【オリーブオイル】なんかは【植物水】に分類されている。

【水】だから【煮る】の認識だそうだ。

ちなみに動物から取るラードは鍋の底やフライパンに塗りつけたりして焦げ防止程度にしか認識されていない。

正直非常にもったいないと思う。

カールドさん宅で鳥型の魔物肉を使った【から揚げ】を披露したときは3人揃って無言でがっついていた。

速攻でおかわり要求が出たのでおかげで【から揚げ】をいくつ作る羽目になったことか…


“えぇ、私の祖国では油で【煮る】ことを【揚げる】って言うんですけどね。

こういった【揚げ物】の料理、結構色々あるんですよ。”


そう言いながらひとつつまんで食べてみる。


“ひさしぶりに作ったけど…まぁまぁかな…もう少し生地を練ったほうが良かったかな…”


齧ってみたクッキー片手にそんなこと言ってると横からすごい目線が…

ふと横を見てみると…女将さん以外に冒険者達がなぜか入り口から覗き込んでいる。

ち、ちょっと怖いかも…


“た、食べます?”


「「「「食べます!!」」」」


女将さんに聞いたのだがなぜだか入り口付近に集まっていた冒険者達が答えてきた。

とりあえず女将さんに1個わたして残りを冒険者達に差し出すと…


「それ俺のだ取るんじゃねぇ!」

「馬鹿野郎俺が先に目をつけていたんだ!」

「お前らに渡したんじゃねぇ!俺だけに渡したんだ!!」

「ふざけた事言ってるんじゃねぇ!」

「なにお!」

「やるか!」

「やらいでか!!」


なぜか喧嘩を始めた冒険者達を尻目に女将さんと意見交換。


「これお腹に貯まるようでいいね。

しかも砂糖かけたほうは甘くて美味しいし。」

“外動き回るときの携帯食代わりに使われていたという話もありますからね。”

「なるほど冒険者なんかには間食用に向いてるかもしれないね。

それでこれのレシピはもらってもいいのかい?」

“かまいませんよ、私じゃそんなに作れませんから専門家に任せたほうがいいですし。”

「嬉しい事言ってくれるね。」


しかも会話している間も喧嘩は収まらず。

とりあえず麦も飴色になって蒸せたようだから部屋に撤退することに。

道具を片付け女将さんにお礼を言った後そっと2階に移動した。

部屋の扉を閉めるとき下から「いつまでも厨房の入り口で邪魔しているんじゃないよ!」とどなり声が聞こえたがこちらは既に避難完了済みである。



机の上に笊をのせパットの上に麦を移し変える。。


“あとは麹菌を植えつけて温度調節しながら繁殖させるだけと”


まぁ、その繁殖させるための作業が本来ならそれなりにめんどくさいだがそこは魔法世界。

錬金用の時間加速用の魔法陣が存在する。

ちなみに【料理】スキルでみ似た料理魔法が存在するのだがMPそれなりに使うし疲れるのでランは主に時間加速は魔法陣さえ準備したら楽な錬金の物を使用している。

魔法陣もすでに書き込んである布があることですし…。


煮沸殺菌した上にアルコール消毒したトレイの上に蒸した麦をのせ団扇でパタパタ仰ぎながら36度ぐらいまでさめるまでしゃもじで切る様に混ぜながら温度を下げていく。

下がったらいよいよ麹のふりかけである。

ちなみに【真市】が地球で調べた限り麦に対して2%の麹があれば出来るそうだ。

ただやはり麦に対して2倍の麹を振りかけているサイトが多いのは作りやすさのためだったのだろう。

もっとも1kgの麦を蒸かしたが2kgもの麹は用意できないので(なにしろ理科の実験レベルの培養しかおこなっていないのだから)今回は20gの麹菌で挑戦することにした。

錬金魔法陣もあるから失敗しないだろうが…

(大抵は長時間の温度管理で失敗するらしいが時間加速なら温度は下がる前に終えることが出来る)


綺麗な消毒した布に入れて再度トレイの上に置き時間加速を開始する。

約28時間分加速させた後、一度布を開き中身を確認。

問題がなければ新しい消毒した布に広げなおし固まった麦の塊を一度解きほぐした後再度布でくるみ再び時間加速開始。

再び約28時間分加速させ中身を確認中身は少し黄色が掛かった白い胞子がびっしり付きほのかな甘い香りが漂っていた。

念のため【鑑定】スキルで確認とって見ると…間違いなく【麦麹【黄麹】】と表示されている。

どうやら成功したようだ。

現実ではまる二日に及ぶ作業の上温度管理がそれなりに厳しいものだがさすが魔法世界。

加速魔法陣を使えば都合20分程で終了した。


後は甘酒造るだけであるが…

元々甘酒目的ではなく他のものを作りたいから麹作って効果が間違いないか確かめるだけの甘酒だったのに妙に時間が掛かりすぎている。

しかも明日からちょっとしたイベントの為1週間ほど甘酒作りできないしな…

まぁ、ランクEになっての初めての任務(しかもギルド個人依頼と言う破格の任務)だし気合入れるか。


甘酒は勝利後でもいいだろう…負ける気ないし…ケーーッケッケッケ!!



とりあえず明日は早いから今日はさっさと寝よう…

可笑しい…最低でも甘酒作りまで行く予定だったのに行かなかった…

やっぱり暇にあかせて作った揚げクッキーが原因か?(笑)


同時進行で書いている2つ話を放り込む為に既に昇進試験を終了させました。

話は前後しますが次回に昇進試験の話を入れる予定です。

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