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第027話  麹菌採取

第027話  麹菌採取



【ラン】の中身が日本人である【真市】である以上ランの食事の好みはどうしても日本食が基本となってしまう。

【真市】自身は調理師の資格も持っており喫茶店といえども飲食店を経営していたため【調理】に関してはそれなりの知識とプライドもある。

が、その知識もこと日本食に関してはこの世界ではあまり役に立たない。

なぜなら日本食に使われる調味料や材料の多くが【酵母菌】や【麹菌】といったものを必要とするものが圧倒的に多いからだ。

そしてこの世界【酵母】はともかく【麹】なんて使うものは無いので【真市】が一番欲しくてたまらない【醤油】や【味噌】といったものが作れる可能性がかなり低いのだ。

すなおに言えば【麹菌】除けば全て揃うのにだ…。


ここで普通なら諦めるのだがランの諦めの悪さは天下一品。

なにしろOWOのゲームの中でも【麹菌】を探し出した実績がある。

ランはある意味食い物が絡むととことん諦めが悪くなる。


だが今回はゲームで使った水田作りからは初めて米の栽培をし籾に濃い緑のカビ玉がつき「稲麹」または「稲玉さま」と呼ばれるそれを採取しその中から【黄麹菌】だけを分離・培養するという気の長い作戦は使えない。

そもそもこちらにどれくらいいられるのか判らない上に陸稲すら見つけていない段階でこの作戦は取ることができない。


ではどうするか?

実は【黄麹菌】を採取するだけならもっと簡単な方法を【真市】は見つけていた。

ただ目的の【黄麹菌】が取れるかは確実性には欠けるみたいだが…。


実は日本で室町時代にこの方法が確立されているそうだ。

やり方は簡単である。



【麹菌採取法-自然種付け法-】


1・米粥を作り3日ほど放置しておく。


2・赤青白黒黄などのいろいろなカビが生育している中から黄カビだけを採取し新しい米粥にその採取した黄カビをつけその上にくぬぎを焼いてつくった木灰を薄くふりかける。


3・2の作業を10回以上行えばほぼ確実に麹菌の採取が出来る。


灰をまぶすのは【黄麹菌】以外がアルカリに弱いから灰を薄くまぶすことによって他のカビの繁殖を抑える効果があるらしいです。




まぁ、色々理屈はあるが簡単に言えばこんなところである。

もっともこれは日本の風土だからこそ出来ることであるかもしれない。

なにしろ外国で試した記録なんて見つからなかったのだから。

【黄麹菌】であっても目的の菌とは違う可能性もかなり高い。

また日本でこれをしても失敗することもかなりあったようだし。

ゆえに今まで行っていなかったのだが今回日本食食べたさに我慢しきれなくなり行うことにした。

アルス大陸西部の空気中にランの求める【黄麹菌】の品種があることを願って。


まずは米が手に入らない。

ゆえに代用として大麦の一種【レイフン大麦】を使用。

ここでは主にエール(ビールの一種)作りに用いられている品種である。

他にも【ピーカン麦】と言われるのがこちらでは主としてエール作りに使われるそうだがこの前日本に帰ったとき【ピーカン麦】が日本のビールに向いていると判りあるだけ送れと言われたので買ったのは全部送ってしまった。

なぜこれを使ったかと言うのは特に理由はなく偶々市場で地球に送る麦の各種購入したところこれが一番安く何かに使えるかと思い一部保管していただけだったりする。

まぁ、手元にあったのがこれだからとりあえずこれで試してみるかと言う程度でしかない。


とりあえず大麦でお粥を作り錬金用の機材のひとつシャーレに幾つか分けて机の上に放置しておくことに。

とりあえず捨てられてしかなわないので宿の女将には話を通しておいた。


そして麹菌採取の作業以外はランクポイントを貯めるためアルバイト。

王都の地下水水道に潜り検査と排除なんていうのもやった。

本来なら一通り回って終わりのはずがいつのまにやら秘密基地を地下に作って巣くっていた変態紳士の集団と対決!駆除する羽目になったりとか…


王都北部にある元貴族様の持ち物だった屋敷の掃除を不動産屋に頼まれて行ったら幽霊屋敷だった(ランが知らないだけで王都では有名な幽霊屋敷だった)為幽霊の出現にパニックになったらランが持てる能力全開で光魔法ランク5の【ピュリフィケイション(浄化)】なんて発動させ一気に屋敷の土地全体を浄化させたものだから各神殿が大騒ぎ。

元々各神殿が浄化できずに放置されていたものを一介の冒険者が解決してしまっては立場が無い。

しかも【退治】ではなく【浄化】。

暴走状態とはいえランのチート能力全開の浄化である。

土地はまるで神々に祝福を受けたような神々しい場所になってしまったから大変だ。

現在各神殿がその土地取得をめぐって争っているという。

不動産屋がお茶菓子持ってランに御礼に来た。

なにしろ土地の価格が各神殿の意地の張り合いでものすごい勢いで値上がりしているとか…。


とどめに…

これはギルドポイントとは何も関係ないが…

地下水路で変態共を全員捕縛できたわけではなかった。

その残りに首領が残っていたのがややこしくなった。

変態共は秘密基地を破壊され後がなくなったらしい。

やぶれかぶれで王都全域の女の子を拉致誘拐しようとした。

深夜にそれをしたわけだ…

捕り物で当然王都全域がうるさくなる。

そして昼間疲れて寝ていたランにはそれが我慢できなくなった。

自衛隊の装備をフル活用して変態共の新アジトをつきとめ強襲!

そして再び『とある町のガキ大将』が降臨する。

再び良い子には見せられない格好の縛り方で縛られ天井から吊るされ、真ん中の棒は皮が延びるように石付きの紐でくくられていた格好が出現。

襲撃者を見ていたさらわれた女の子達は『丸々した男の子のお面をかぶった唐草模様のマントをしたよくわからない人』といったという。

今回も騎士団は『とある町のガキ大将』が誰か特定できなかったという。


そしてそんなことをしながらも灰をまぶしそこから出てきた黄色いカビを採取しまた麦粥に植えつけて灰をまぶすという作業を15日ほど続けていた。

かなり根気の要る作業であった。



さて麹の方はどうなったかと言うと…

成功しました!!

神様(どこのどの神様までは知らないが(笑))ありがとう!!


いやいや【鑑定】スキルで【黄麹菌:アーネルランドコウジキン】と判定されただけでこれが求めるものなのかそれともただの有害な麹の名のつくカビなのかは試してみないと判るまい。

試す?

どうやって?


ふっふっふ…いい方法があるのだよ明智君…

甘酒をこの麹菌で作ってみればよいのだよ!

何?甘酒とは米で作るというのも知らんのかだと?

無知は明智君の方だよ!

麦(大麦)でも甘酒は造れるし日本では販売もされているのだよ!

ワッハハハハ!


………一人芝居はこれくらいにしてとりあえず甘酒造って確認してみましょう。


まずは麦で作るなら麦麹の製作からです。



【麦麹作り】


1・裸麦1kgを2~3回程軽く水洗いし、その後、裸麦を水に浸けます。


2・水につけておく時間は1時間前後。


3・水につけていた麦をザル等に移しよく水を切り2時間ほど乾燥させる。

(時折、麦の上下が入れ替わるように混ぜる)


4・麦の中心部がアメ色になるまで蒸す。


5・清潔な(煮沸消毒かアルコール洗浄した物を用意)トレイに移しうちわ等で扇ぎながら荒熱を急いで取る。この際にしゃもじなど出来るようにかき混ぜると早く熱が取れる。


6・麦の表面の温度が人肌程度(36度ぐらい)になったら麹を均一に混ぜ込む。

このさいより均一にする為に数度に分けて混ぜ込むと良い。


7・煮沸消毒したきれいな布に麹を混ぜた麦を載せて包み込み30~32度をキープし続ける。


8・麹を振りかけて約18~22時間後一度布を交換。

再び煮沸消毒した布に包みこむがこの時塊になっている麦を解きほぐしてから包み込むようにする。


9・麹を振りかけて約34~36時間後ぐらいにこの麹の塊が温度を持つようになるので布を開いて少し冷ましてやる。

ただし人肌温度(最大でも40度まで)をキープし続ける。

温度が上がりすぎてるときはかき混ぜて熱を放出させてやる。

逆に低いときはひとまとめにしてまた布でくるんだりすると温度が上がる。


10・麦全体に麹菌の菌糸が伸びて白くなり、甘い香りが強く出てくれば完成。



とまぁ、こんな手順だ。

なにが一番めんどくさいのは…やはり『温度管理』だろう。

が、【麹菌】採取のときはころっと忘れてたんだよな…。

【上級錬金術】スキル持ち固有の生産魔法【時間加速】の事を…。

【砂糖】生産の結晶化段階でも使ったのに何で忘れるかな…(悩)

でっかい入れ物でも無い限り魔法陣の上に載せられるんだから忘れるなよ…

それ覚えていたら15日もかけて作る必要なかったのに…

1日もあれば出来ていた…(苦笑)

温度も錬金の道具の保温器に放り込めばいいだけ。

さすが魔法のある世界便利だわ。

もっとも地球でも時間加速は出来なくても保温器具には事欠かない。。

コタツにホットカーペット、電気アンカなんていうのでやっているところもあったけ…。


そんな訳で実行です。

正直麹の量はネットで調べた限りバラバラ。

一番多いのが麦1:麹2の割合です。

ぶっちゃけ麦1kgなら麹2kg用意しろと言うことなんですが…

これって【作りやすい方法】なんですよね。

保温管理等きちんとできるなら麦1kgに対して麹8~10gなんてことも出来るらしいです。

てかそれで紹介されている所結構ありました。

なので私もそれで挑戦です。

というか…麹の培養量そんなに多くないのですよ…

所詮シャーレでの培養なんか理科の実験レベルですから。(笑)





それでは作るとしますか…


『ドンドンドン!』


煩いですね…なんですか?

飯の時間?

あぁ、麦麹の製作は明日にするか…



長すぎて1話に纏められなかった…orz

説明が長すぎた…

この続きは次回に持ち越しです。

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