第026話 【閑話】 ランのストレス解消法
これはランが王都に来る少し前のお話。
ランの一般知識の足りなさにカールド夫妻が危機感を覚え徹底的にその知識を詰め込んでいた。
【ラン】というか【真市】は基本勉強がそんなに好きではない。
しかし今回のことはこの世界で必要なため覚えなくてはいけない。
が、勉強嫌いの【ラン】にとって必要なこととはいえ毎日しているとストレスがものすごい勢いで貯まる。
どこかで抜いておかないとかなりやばいくらいに…
当初は迷宮都市にでも行って迷宮でストレス発散でもと思ったのだがカールドに却下された。
そもそも迷宮に入るのに冒険者のDランク以上無いと入る許可が下りないらしい。
そんな訳で却下されたラン、食料や魔石取りの時に主に魔眷属相手に八つ当たりしてストレス発散を行っていたがどうもスッキリしない。
まぁ、ラン的にはゴブリンもオークも【弱者】の分類のため巣ごとまとめて相手しても対した発散にはなっていないのだ。
そんなある日行商に来ていたレギオスさんにある情報を教えてもらえた。
『最近は西街道ばかり皆が使うのでその街道に盗賊団が複数現れた』
ある意味商人にとっては危険な情報だがランには向こうから格好の獲物が出てきてくれたことになる。
そうランはこう思ったわけだ…
“(ストレス発散の獲物み~っけ♪)”
ランに狙いを定められた盗賊団たちの不幸がここに始まった。
西街道…エルシア村の50kmほど西を通る街道である。
元々は漁村をつなぐ街道であったが王都自体が海岸沿いにあるためそれほど海産物を商いにするものが少なく整備もあまりされて無いゆえに大きな街道とはいえなかった。
しかし8ヶ月ほど前にエルシア村を壊滅的被害を与えた災難のため多くの商人や旅人がこちらの街道を使うようになりだした。
しかし元々使うものが少なかったため宿場場も整備されておらずほとんどが野宿をするの事になる。
それに目をつけたのが盗賊達であった。
眠りの時間見張りは少なくなる。
その時間帯に徒郎を組んで襲えば楽に襲うことが出来る。
そんな訳で比較的人数の多い盗賊団が複数出現することになった。
現在ランが部屋で見ているのは無人偵察機(TACOM)から送られてくる映像を見ている。
この偵察機、じつは少し前に自衛隊でテストが済んだばかりでまだ部隊配備の始まっていないものである。
本来ならF-15戦闘機から発射されるのだがこちらの背嚢収納スペースのカタログにはなぜか陸上から発進できるタイプが載っておりそれを今回使用している。
まぁ、正直言えば謎仕様の機体である。
本来は航空機からうんぬんは無視しよう、俺が知らないだけでそういう研究もされていたのかもしれないし。
問題はこの機体の制御技術にGPSが深くかかわっているはずなのにこのGPS衛星がひとつも無い世界でなぜか地球のGPSより詳細なデータを得られるこいつは何なんだと…
なんとなくだが深く突っ込んじゃいけない気がするので無視しよう…
映像には商人が襲われ雇われている冒険者達と必死の撤退戦をしている場面が映っている。
さすがにアメリカの無人機みたいにTACOMには攻撃機能が無いため見てるだけしか出来ない。
どちらにせよ現場はここから50km以上離れていて助けることは出来ない。
それにどうやら荷物は捨てざる終えなかったようだが全員逃げることは出来たようだ。
機体の高度は8000mしかも全長5.2m、全幅2.5mの物だ、豆粒にしか見えないものであるから気がつかなくても仕方が無い。
ランが確認したいのはこいつらのアジトの位置である。
そしてそれは2時間後に判明した。
どうやら旧灯台跡地を利用したものらしい。
TACOMを回収し(村の近辺の街道舗装はTACOMの滑走路代わりにも使えたので楽だった)襲撃準備に入る。
戦闘服の上に防寒戦闘服外衣を着込みカワサキKLX250の偵察用バイクを準備する。
肩紐をつけたM4カービンをぶら下げいざ出陣。
ちなみにカールドさん達には街道見回りと言ってあります。
けして盗賊狩りとは言っておりませぬ…
40分ほど道無き草原を突っ走る。
オフロードバイクならではの踏破性能である。
1km程離れた場所でバイクを降りポシェットにしまう。
いまさらながらポシェットにバイクを仕舞う所を見ると青い猫型ロボットのポケットそっくりである。
“さてどうしましょう…制圧するのは決定事項として…とりあえず殺すのは無しの方向で…
18禁の行為をしている馬鹿は腹が立つのでモグ方向でいいですかね…”
双眼鏡でアジトを観察しながらそう呟く。
“とりあえず…ゴブリン達の制圧と同じ方法でいいかな…
どう見てもゴブリンより頭よさそうな奴らでもなさそうだし…”
見張りらしいのに酒のラッパ飲みをしている奴らや、小さな酒樽抱えて寝込んでいる奴もいるし…
どう見ても見張りがまともに機能しているようには思えない光景である。
襲撃がそんにうまく言ったのが嬉しかったのか、自分達が襲われる可能性をこれっぽっちも考えていないように見える。
とりあえず…ギリギリまで近づいて・・・
“とりあえず…寝とけ…”
象も一撃の麻酔弾を撃ち込み見張り2名を寝かす。
もっとも1名は元々酔いつぶれて寝ていたが…手加減無しである。
地上の建物部部はほとんど崩壊しているために見張りしかいないがどうやらある程度の空間がある地下が存在しているらしい。
ようは…ランの得意な密閉空間での…室内戦である。
そりゃもう、こうなったらあとはランのやりたい放題である。
この世界の盗賊は(地球での)現代の室内戦のノウハウ(騎士団でもそんな知識があるかは不明だが)なんてものは当然無いのでランに面白いように蹂躙されていく。
室内に閃光発音筒を放り込まれ光りと音で五感をめちゃくちゃにされ訳がわからんうちに麻酔弾で仕留められて行く。
たった5分で全部屋6室にいた盗賊18名は完全に無力化して強制的に夢の世界に旅立たされていた。
そして…ランの八つ当たりによるお遊びが始まる…
全員の静脈に念のため強力な催眠誘導薬を注射し4時間は起きないようにしておく。
まず盗賊達の身包み全部剥ぎ取る、下着も全部である!
そしていけない亀さんの縛りをして全員天井から吊るす。
そして丈夫な糸と1kgの石を用意し石に紐をくくりつけ男共の股間の【棒の皮】に縛りつけ皮が延びるようにぶら下げる。
あぁ、口は当然猿轡つきである。
騒ぐとうるさいから。
そして彼ら全員が起きた時に見える場所にわずかな燃え残りがあるようにして…すべての下着を燃やす!
汚物は焼却処理です!
ついでに装備は全部没収。
さてここまでやっておいてから本来の目的であるお宝回収である。
基本的に『お前の物は俺の物、俺の物も俺の物』の精神で根こそぎ回収である。
取られた人に返さないのかって?
命あっただけめっけものなのです。
いや冷たいこと言っているようですがこの世界『盗賊は倒したものが全部戦利品としてとってOK』な世界なんですよ。
まぁ、よっぽど貴重なものや国家の持ち物を除いてですが。
そもそも誰が壊滅させたなんか当人が言わなければわからないのです。
まぁ、ひそかにこっちはここに盗賊団がいることタレこむつもり出すけどね。
死人出す気は無いので…
とりあえずこの後は北の軍港都市にでもタレこみいれて騎士団でも動かしてもらえば良いでしょう。
ある意味人質いなくて本当に良かった…
人質いたらめんどくさい事になってたし…。
さて金目の物は全部回収した。
このアジトに使われていた金属類も釘一本にいたるまで全部回収した。
(主にサーチのスキル使用)
あとは…ないかな…
とりあえず記念にラクガキの一つでも…
『俺の歌(ルビで【魂の叫び】)を聴けーー! byとある町のガキ大将』
うん、これでよしと♪
満足しながら外に出ると【探知】スキルに3kmほど先になにやら集団が写った。
なんかしらんけど顔合わせると不味そうなので反対方向からカワサキKLX250で離脱。
少し離れた丘の上で軍用双眼鏡で覗いて見ると…どうやら騎士団らしい集団である。
馬のって甲冑着てるんだから間違いないだろう。
しばらく観察してると灯台跡に入っていく。
どうやら襲われた商人が報告してこのあたりまで偵察に来ていたようだね。
とりあえず、こっちが見つかってもうるさそうなので逃げることにした。
いや~、大もうけだったわ♪
――騎士団――
「隊長!こっちにきてください!」
「どうした?」
灯台の跡地を調べに行ってた部下が呼んでいる。
「あれを…」
部下が指差す廊下の奥には…
天井から裸の男達が吊るされていた。
なんというか…見ててなんとなくだが人に絶対話してはいけないと思われる結び方で体を縛られて天井に吊るされていた…。
しかも男の大事な場所がある意味女に馬鹿にされる方向でひどいことに…
そして吊るされている男の中には賞金のかけられていた【シフォン団】のリーダーであるエルセク・シフォンの姿があった。
エルセクは元Aランク冒険者であり今まで逃げられてばかりいた。
賞金も金600枚という断トツの賞金首が吊るされているだけで放置されていた。
普通では考えられないことだ。
「いったい誰が…」
「隊長、こちらを…」
部下が指差す壁には…
『俺の歌(ルビで【魂の叫び】)を聴けーー! byとある町のガキ大将』
の文字が…
「「とある町のガキ大将」…いったい誰だ?」
騎士団にしては気になる名前だが彼らはついに最後までその正体を知ることはなかった。
それからあと1ヶ月でほぼ西の街道に出没していた盗賊団は『とある町のガキ大将』と名乗るものにことごとく殲滅され貯めこんでいた財宝を根こそぎ奪われた上に同じ格好で放置されているのを騎士団たちが見つけることになる。
しかもどの者達に聞いてもいきなりものすごい音と光りがしたと思ったら気絶し、起きたらいつのまにか騎士団が目の前にいたと同じことを言う。
結局そのものの正体が判らぬうちにほとんどの盗賊団が壊滅し事件は沈静化することとなる。
次に『とある町のガキ大将』が出現したのは3ヵ月後の王都であった。
――エルシア村のラン――
“あはははは、ぼろい!ぼろ儲けすぎるわ!!
これは絶対やめられないストレス解消法だわ!!”
【ラン実験工房】で馬鹿笑いしているラン。
そこにはかなりの数の貨幣と鉄等の金属類が積み上げてあった。
全部盗賊のアジトからの没収品である。
しかもいくつかの攻撃用【マジックアイテム】と【魔道具】、さらに生活用の【魔道具】もかなりの数ある。
簡単に言えば100件分の家を建ててそこに全部の生活用品取り付けてもまだあまる【魔道具】の数。
売ればかなりの資金になる…が、この村で新しい住人用に保管しておくことが既に決定済み。
攻撃用にいたっては全部ランが解析してコピーが作れるように図面まで書き上げてある。
なにより…お金がすごいことに…
ちなみにランはごく一部をもらっただけで残りはエルシア村復興金と書かれた箱に放り込んでいた。
けして人には言えない金、それでも不正を働いたわけではないのだがランのことを隠しておくとしたらどうしてもこのお金の出所も隠さなければいけなくなる。
カールドにとっては頭の痛い問題であった。
とりあえず連続【閑話】投稿です。
今回はランのエルシア村での資金稼ぎの裏の実情紹介。
実は村の強化に使った材料費を計算してみたらいくらランの魔法で大半済ませたとしても結構掛かることが判明。
ならば一攫千金方法ととして【ドラまた】作戦を実行と相成りました。
えぇ、某アニメ(原作ラノベ)の主人公ドラゴンすらまたいで通るお姉ちゃんの旅の資金稼ぎ方法を使わせてもらいました。
まぁ、あのかたほど非常ではありませんけど…
ある意味扱いはランのほうが酷いか?
まぁ、こんな裏事情もありランの懐は以外に裕福であり王都でとんでもないほど高価でも無い限り何買っても不思議ではない!
とまぁ、言い分けのための今回の話でありました(笑)




