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第021話 ギルド壊滅(?)

“おりゃーー!”


ランは今冒険者ギルドの訓練所で無双をしていた…


ドゴーン!


地面に置いてあった的作り用の藁の中に吹っ飛ばされて頭を突っ込んで気絶している者。

地面に叩きつけられて伸びている者。

人が固まっているところに吹っ飛ばされてまとめて気絶している者達。

等々…


“ほら、次よ次、さっさと来なさいよ!”

「クソ!ガキのくせしやがって!」


若い男がランの簡単な挑発に乗って模擬剣もって突っ込むが振り下ろした模擬剣も半分身をずらしただけで交わされ顎先にパンチを喰らい脳震盪を起こしてその場に倒れる。


“なんだいなんだい!

あんなにギャーギャー言ってたのにもうおしまいかい?

子供相手にこんな人数がいてなにもできないなんて…

お前ら本当に冒険者かい?

いやいや、冒険者どころかキ○タマついてるかすら怪しいね(笑)

実は全員女だったりして?

おっと、こんな奴らと一緒にされたら女性の方が怒るよね。(大爆笑)”

「「「「「このクソガキがーーー!!」」」」」


ランの挑発に完全に頭にきた残り11人が一斉に襲い掛かるが…


“さっきから言ってるだろ!!

お前ら動き鈍すぎ!!

もう一度一から鍛えなおしてきな!!”


その瞬間スピードをあげたランは全員の腹にパンチを打ち込み、さらにまだ動けそうなものには腹を押さえて下がった顎を下から蹴り飛ばして全員を這いつくばらせた。


「おい…お前の娘は挑発がうますぎないか?」

「いや、さすがに俺もこんなのは始めてみましたよ…」


ギルドマスターのロンドとカールドの目の前の部屋の中にはランが中央に一人立っていてその周りに32人のD・E級の冒険者達が倒れていた。





そもそもの発端はランが王都に着いた時までさかのぼる。




王都に到着し入門のさい身分証明書の提示を求められたのだがランは持っては無い。

みんなはなんかギルドカードを提示している…

もしかして私だけ入れない?

そんなことが頭によぎったが銅貨5枚払えば入れるとの事…助かった…

ちなみに身分証明書であるギルドカードがあればお金は要らないとの事。

とっとと貰わねばいけないね。


本来ならこの後、レギオスの所属するワーマス商会の商館前まで行って解散なのだが【ロンギケプス】 の死骸のこともありこのまま冒険者ギルドに直行することになっていた。



ガラン!

ひときわ大きな音を立てて冒険者ギルドの扉が開く。

外から入ってきたのはギヌス率いる【白き剣】のBランク冒険者パーティのメンバーだ。

ギヌスはそのまま総合案内のカウンターに向かう。


「あらギヌスさんお帰りですか?お疲れ様です。」


にっこり笑顔の人狐族らしい美人の受付嬢がギヌスに笑いかける。


「カーリ、すまんがギルマス呼んでもらえないか?

少し面倒な事が起きた。」

「よろしいですが…少しお待ちください。」


そう言って奥の責任者らしい女性に報告に行く。

報告を受けて女性はしばらく奥に入るとカウンターに来た。


「ギルドマスターかお会いになるそうです。

奥の部屋にどうぞ。」

「おーい!カールドさん!あんたも一緒にに来てくれ!」

「わかった!」


そう言うとカールドはギヌスと共に奥に入っていった。

そしてランはというと…大勢の冒険者達に絡まれていた…


「きれいな顔したお嬢ちゃん、どうだい俺といいことしないか?」

「怖がってないで何とか言えよ。」


まぁ、絡むこと絡むこと…

ランとしてはめんどくさいのでまったく相手にせず知らん顔していた。

だがここの冒険者達はそれが気に入らなかったらしい。

次第に手までだそうとしていた。


ちなみに【白き剣】のメンバーはと言うと…ニヤニヤして見ていた。


「なんとか言えよ!」


ランが無視してるのがよほど腹が立ったのだろうランの襟首をつかんでこっちに向けようとした若い冒険者が…吹き飛んだ…

単純にランが足を払って相手の手首をひねりながら軽く投げただけである。

それが見事なほど飛んだ。


ランは投げた相手を一瞥もしない。


「てめぇーーー」


投げられた相手の兄貴分らしい男がランに掴みかかろうとしたがランはその相手の腹をアイアンクローのように掴んで「肉つきすぎ」の一言の元にこの相手も突き飛ばした。


そりゃもう周り連中怒った怒った。

だがランは涼しい顔でひとこと「タマナシ」と言うものだからさらに大激怒。


“ここ暴れにくいからもっと広いところ無いの?”


というランの言葉にギルドの奥に訓練所があるからそこでなら暴れられるよとギヌスの仲間が言ったのがいけなかった。

ギヌスの【白き剣】のメンバーもランが強いのは承知していた。

ただ体型からスタミナや力は差ほどでもと思っていたのがいけなかった…

ぞろぞろ怒る連中を引き連れて訓練所に行くラン。

まぁ、冒険者をなめているところがあるから洗礼でもと思っていたのだ。

泣いたところで助ければいいだろうと…


結果は冒頭の通り…

32人の下級冒険者が軒並み一時的とはいえ潰された。

ギルマスたちが騒ぎを聞きつけてやってきたときにはもうほとんど終盤であり手の付けられない状態だった。

あげくにランはかすり傷ひとつおっていない状態。

しかも明らかに手を抜いているのがマルわかり。

なにしろ息一つ乱れていないのだから。


「ラン殺していないだろうな?」

“殺す価値なんかこのタマナシ共にはない。”


カールドの言葉に即座に返すラン。

それを聞いてうなずくカールド。


「ならいい。

ギルドに登録する作業するから受付にもどれ。」

“はーい”


ちなみに今回のことでランは【冒険者】とい者達の価値をさらに下方修正している。

現在のところ【丁稚以下、いてもいなくてもどうでもいい連中】まで落ち込んでいる。

これまでの村での生活を基準としたランの価値にしてみれば【冒険者】というものは世の中さほど必要無いという感じである。

魔物に対しては村の若い連中を訓練して自警団組織を作り上げるだけで大抵間に合う。

それでも無理なときは篭城して国の騎士団の助けを待つのスタンスでいいと思っている。

だから村の防御を強化した。

そしてそこに【冒険者】の入り込む余地は無いと考えている。

現在の所ラン的には一部の者達を除いて【冒険者】=【公園の浮浪者】の認識である。

いれば雑用に便利だが別にいなくても世の中回ると考えている。

というより働く意欲のある冒険者はギヌス達の様に商人の護衛したり遺跡にもぐったりしているはずだ。

ここで屯しているのは他人のおこぼれ狙いの者だろうと認識していた。

実際はそんなことは無いのだが…。


その為だろうか…すでに他の冒険者を見るランの眼はかなり冷たい。


「では、ランさんこちらで登録手続きをいします。」

“はい、よろしくお願いします。”




「お前らどうして止めなかったんだ?」


ギヌスは驚いて固まっていた仲間に尋ねた。


「い、いや彼女、だいぶ【冒険者】という職業を舐めていたものだからつい…」

「つい何だ?」

「ちょっと怖い目にあったら変わるかなと…」

「それだけか?」

「あんな可愛い子が俺達を頼ってくれたら嬉しいなと…」

「はぁ…」


ギヌスは仲間達の言葉を聞きため息が出た。


「お前達気が付いてなかったのか?」

「何をですか?」

「彼女…恐らくだが【騎士団】もしくはそれに類するのものの経験者だ。」

「あんな小さい子がですか?」

「彼女の申告どおり16歳なら最大で1年は経験しててもおかしく無いだろう。

それに多分だが1年どころじゃないぞ…

当人隠しているつもりだろうが中堅どころクラスの経験者かもしれん。」

「何を根拠に?」

「足音だ。」

「足音?」

「あぁ、【騎士団】といえば閲兵式などで見られる集団行進が見ものだがあれ、足と手がきれいにそろうほど錬度が高いものなんだ。

だがそう簡単には揃ってくれない。

あれは何年も訓練してようやく揃うもんなんだよ。

お前達にあれできるか?」


ギヌスの問いに全員首を横に振る。


「あの訓練を受けた者はちょっとした癖が出来るんだ。

歩くとき背筋をピンと伸ばして歩く。

まぁ、このあたりは普段の人でもいるだろうがもうひとつの癖はそうは無い。

…あれの訓練すると無意識のうちに前や横の人の足に自然とあわせて歩く癖が出来るんだ。」

「「「「「え?」」」」」

「彼女はカールドさんと歩くと必ずと言っていいほど歩幅をあわせて歩いている。

しかも足の着地の瞬間まですべてだ。

見ている限り完全な無意識でやっている。

あれは長年そういった訓練で染み付いているものだろうな…」

「「「「「…」」」」」

「さらに【ロンギケプス】の襲撃の時は反対の湾のほうを向いていながら真っ先に気が付いた。

馬で周囲を警護していた俺達より早くだぞ?

しかも弓がまったく効かなかったように硬い皮で覆われているあいつを一番薄いところを狙ったとはいえ一撃で切り落としている。」


馬車からギルド職員の手によって中に運ばれている【ロンギケプス】を見ながらそう言う。

レギオスが「私が先に予約入れているので私が買い取りますからね!」とギルド員を追いかけながら叫んでいる。


「しかも俺は【居合い】なんてもの始めて見たよ。

確かあれは刃が曲線描いているやつでしか出来ないって聞いていたんだがな…

カールドさんに聞いてもあの人が教えたんじゃなくてあの時始めて知ったとか言ってたしな。」

「「「「「……」」」」」

「彼女、【さらわれ人】だろ。

どこから闇の精霊に連れて来られたのか知らないが…

多分、ここにいた馬鹿共よりずっと経験者だろうな…

もっとも、あれを見てたらそれの感想も自信なくなるが…」


受付ではランが受付嬢のカーリの頭の狐耳を目をキラキラさせて触らしてもらっていた。


「「「「「「…いいな、あれ…」」」」」」


難攻不落で有名だったギルド受付カウンター担当ののカーリー嬢もランのキラキラ目攻撃には陥落した模様。

とりあえず暴れました…

なんでこうなった?

これ一番まともなバージョンなんですよ…

ボツ群の中にはギルドの建物崩壊したのもあったし王国騎士団と王都の中で馬を使ったチキンランまで起こしたものもあったんです。


なんというか…暴走したら止まらないキャラクターです。

いや、わかっていたんですけどね(笑)

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