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第019話 王都へ!

「おーい準備できたか?」

“ばっちしでーす!”

「でわ、出発するぞ!」


行商の馬車の荷台に乗って元気良くよく叫ぶ女の子は当然ランである。

周りには馬に乗った冒険者達4人が囲み護衛している。

荷台の中にはランの他にカールドと2名の冒険者が、そして業者席にはこの馬車の持ち主である商人のレグオスが座っている。


“レギオスさん、便乗しちゃってすみませんね。”

「なに、いつもあれだけの魔石を売ってくれているんだからこれくらい安いものさ。」

「そりゃ、普通高く売れる王都や街で売るから行商じゃあんな数手にはいらんもんな。

それを考えたら王都までのたかが5時間弱の便乗なんて安いものだろう。」


左前を馬に乗って進むギヌスという名の冒険者が笑いながらレグオスにそう言う。


「知ってるかお嬢ちゃん、お嬢ちゃんがいつも売っている銀2枚で売れる魔石、あれ王都に行けば普通に銀3枚で売れるぞ。」

“へー。”


ニヤニヤしながランにそう言うギヌス。

対してレギオスは少々焦り気味だ。


“まぁ、普通が銀3枚ならレギオスさんの買い取り価格妥当だと思うよ。”

「へ?」


ランの答えにギヌスは少々驚く。


“だってレギオスさんだって手間隙かかっているじゃない。

それに王都等に持ち込まずそこで売るということはその価格でも売るほうは元は取れると判断しているからでしょ?

だって私なら毎回王都に売りに行くなんて面倒だからまとめて買い取ってくれるなら少々安く買い叩かれようがそのほうがいいもの。

すごく安くで買い叩かれるなんてあこぎなことされたら怒るけど、まぁ、そのくらいならレギオスさんの手数料ぐらいで納得できる金額だし。”


ランの答えにレギオスはほっとする。

ギヌスにいたっては少し感心したようだ。


「しかしあれだけの数集めるのも大変だろう、そう考えたら安く無いか?」

“え~…ゴブリンやオークの巣2個か3個潰せば直ぐだよ?”

「「「「「え?」」」」」


ランの答えに思わず聞き返す全員。

カールドは少々頭を抱え込んでいる。


“大体1つの巣を1人で潰すのに30分くらい。

魔石や巣の中から使える物集めて回収してゴブリンとかの遺体を処分して埋めるのに30分てとこかな…

合計で1つの巣潰して処理するのに1時間くらいかな…”

「「「「「……」」」」」


言葉の出ない冒険者達。

彼らの認識で言えばDやCクラスの6人パーティで1つの巣のゴブリンを退治するのに1時間ほどかかる。

ついでに戦利品集めで30分ほどかかり、死体は大抵放置しておく。

放置しても彼らの認識では他の獣が食べたりして処分してしまうと認識しているからだ。

ランにしてみたら病原菌の塊になるものを放置しておくなんてとんでもない話だがこの世界ではこれが普通の認識であった。

ついでに言えば巣であるコロニー潰しに慣れたランは最近では全作業終えるのに30分かからなかったりする。

まさに敵の種族的な癖や性質を覚えた上でもっとも効率的だと思う方法で排除している。

というより大抵脳天1発、そうでなくても3発も撃ち込めば倒せるのだ他の人より圧倒的な速さでコロニー潰しを行える。

まぁ、剣と銃の差であろう。




さて、ここまでの会話で判るようにランとカールドは行商人の馬車に便乗させてもらって王都に向かっている。

春になって畑が忙しくなったり冬眠から覚めた獣や魔獣が増え忙しくなる前に冒険者ギルドで登録を済ませてしまおうという事になったのだ。

ちなみに最初は王都に行くのはラン1人の予定だったがさすがにラン1人では無理だと勝手に判断されカールド一家ジャンケン大会(ジャンケンそのものはランが教えエルシア村では皆普通に使っている)が開かれみごとにカールドが勝利した。

おかげで最初バイクか車使って王都近くまで行く予定だったのにそれが使えなくなった。

(まだ車やバイクは見せていないというか四次元背嚢やポシェットのことも話していない。)

代わりにいつもエルシア村に行商に来ているワーマス商会のレギオスさんの馬車に便乗させてもらえることになった。


「さっきから気になっていたんですがカールドさん、剣を直されたのですか?」


レギオスはカールドの腰に下がっている剣を見ながらそういった。

レギオスは昨年の春先に起きた魔獣の襲撃事件でカールドの剣が折れたのを知っていたので同じバスタードを下げていたため気になっていたようだ。


「あぁ、腕のいい鍛冶の職人がたまたま村に来てな俺の剣を打ち直してくれてな…さらに今ランが持っている剣も打ってくれたんだよ。」


この件に関してはカールドから厳しくランに緘口令がしかれていた。

とりあえず一家の話し合いでカールド夫妻が信用しているギルマスに相談するまで旅の鍛冶師によって作られたことにすることが決定していた。


「それは良かったですね、【遺跡破壊者】の異名を持つあなたがバスタードを持っていないとなぜか違和感がものすごかったですからね…」

“【遺跡破壊者】?”

「あーそれはです・・・「まった!!」…(笑)」

「その話は勘弁してくれ…」

「「「「「あはははは…(笑)」」」」」

“ん???”


全員知っているということは有名な話らしいがどうやらカールドは触れられたくない話のようでこれ以上は誰も教えてくれなかった。


「カールドさん、その剣見せていただいても良いですか?」

「あぁ、いいぜ。」


そう言ってカールドはレギオスと御者役を交代し剣をわたした。

どうやらレギオスも商人らしく【鑑定】スキル持ちらしい。



 【バスターソード】


 種別:バスターソード(片手半剣)

 評価:★★★★★★☆☆☆☆

 素材:鉄

 攻撃力:32+5

 耐久度:500/500


 【追加効果】

 攻撃力+5



ゲームと違いこちの【鑑定】スキルはどんなに高くても【製作者】や【注釈】はどうやら見えないらしい。

このあたりはカールド夫妻に確認済みであるから安心して見せることが出来た。


「な、なんなんですかこの剣は!!」

「すげーだろう?(笑)」


レギオスの驚く顔におもいっきりドヤ顔のカールド。


「い、一体誰がこれを作ったんです?」

「驚くのはランが持っている剣を見てからにしな。

ラン!そいつを見せてやってくれ。」

“はい、レギオスさん。”


レギオスの言葉をさえぎりランの剣を見ろというカールド。

ランからそれを受け取って再び【鑑定】スキルで見てみる。


 【イーストバスタードソード】


 種別:バスターソード(片手半剣)

 評価:★★★★★★★★★☆

 素材:鋼+鉄

 攻撃力:43+5

 耐久度:800/800


 【追加効果】

 攻撃力+5

 STR+5 DEX+2 ACI+3

 【突き】時 攻撃力+10

 【斬る】時 攻撃力+8


「な、なんなんですかこの高品質…

しかもなんですかこの攻撃力??

もしかしてこれって【聖剣】とか【魔剣】の類ですか?」

「いいや、ただの【鍛造】で作られた剣さ。

ただ作り方がこっちの作り方でなく大陸東方の作り方らしいがな。」



レギオスの記憶通りならこの攻撃力は両手剣の【ファルクス】と呼ばれる両手剣クラスの攻撃力だ。

片手半剣でこの攻撃力とは正直めまいを覚える。

さらにこの追加効果群が凶悪だった。

彼が【聖剣】が【魔剣】と疑ったのも無理の無いことだろう。

ただし…彼の基準ではだが…


ちなみにランの基準で【ファルクス】の平均攻撃力は…評価3で65前後だったりする。

さらにゲームでランクラスの鍛冶スキル者がこれを作ると大抵よほど手を抜かない限り評価が6~8が出て攻撃力も70~73ぐらいに跳ね上がる。

ついでに言うと…ランがきちんと作ると評価はともかくなにかしらの追加効果が加わる可能性が大だったりする。


「東方の作り方ってどう違うのですか?

というよりこれの製作者って誰なんですか?

紹介してくださいよ!!」


レギオンがカールドに詰め寄るがカールドも笑って答えない。


「すまんな、当人との約束で名前は教えられないんだよ。

さらにその人はすでにイスガニア帝国に向かったからもうこの国からは出てるだろうしな。」

「そんな~…」


幌の上に乗り景色を楽しみながら下から聞こえる会話を聞いていたランは正直冷や汗物だった。

カールドは事前に決めた通りのことを言っているのだがいつばれるかと思うと気が気でない。


まぁ、なんだ…そんなドタバタはありながらも馬車はアーネルランド王国の王都リホンに向かって進む。

ランの鼻には日本にいた時に馴染んだ潮風の香りが漂ってきていた。

このままだとズルズルなんか閑話的な話が色々挟まりそうで強引に日にちを飛ばしてランを王都に放り込むことにしました。

とりあえずギルドとの誤解はどうするのか、カールドの元パーティリーダーとはどうするのか…なんていうのは一切決めておりません!

出たとこ勝負です!!


まぁ、その…絶対ギルド登録寸前でひと騒動起きるのは決定事項に近いものです。

内容までは書いてみないと判らないが…たぶんというより絶対なんか起こる…。

というよりそっちのほうが面白いから俺が絶対起こす(笑)


はてさて、無事にランはエルシア村に戻れるのか少し心配になってきた^^;

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