第018話 属性実験
少しランは実験してみることにした。
何を?
魔法の【適正属性】だ。
カールド夫妻との勉強で『魔法には適正属性がある』と言われたことが気になったからだ。
ラン達が遊んでいたVRMMOの『One in the WORLD Omlin』は日本にアクセスしてきたこちらの神(ザーファ神)からのデータでこちらの世界を模倣したものだ。
現実とゲームの差のため多少の違いはあれど基本は同じのはず。
ゲームでは得意・不得意(好き嫌いの差程度)はあれど【適正属性】なぞ無く基本的には【属性魔法】スキルさえ上げていれば全属性が使えた。
他にスキルレベル50になると派生する個々の属性を鍛えることによって威力があがったり特殊な属性魔法が使えたりすることはあったが基本【属性魔法】スキルさえ上げていれば各属性の1ランクごとに2つの魔法は普通に使えた。
1ランクごとの残りの3つは属性スキルを上げなければいけなかったが…
アンヌさんは【適正属性】は【水】で魔法は11種類使えるという。
なんで魔法が使えるのに宮廷に勤めなかったか聞くと…
『あんな陰険な所は嫌い!』
と力いっぱいバックに炎をあげて宣言して見せたのでそれ以上は聞けませんでした。
はい、正直あの時のアンヌさんが怖くてマリちゃんと抱き合って震えました…。
話は戻して…
とりあえず11種類の内容を聞くとランク2までの10種類全部とランク3が1種類と言う内訳でした。
そう、これを聞いたとき疑問に思ったわけですよ。
少なくともゲームでの属性魔法の基本習得条件はと言うと…
『【属性魔法】スキルを上げていれば各属性の1ランクごとに2つの魔法を覚える』
『各属性の専門スキル分岐は【属性魔法】スキルを50レベルに上げたら発生』
『各属性1ランクごとの残りの3つは各属性スキルを上げることで覚える』
と言うものでした。
このゲームの条件に当てはめれば、アンヌさん1ランク5つの魔法全部をランク2まで習得していることからすでに【水属性】の専門スキル持ちと言うことになります。
そして専門スキルは『各属性の専門スキル分岐は【属性魔法スキル】を50レベルに上げたら発生』と言う条件により既に【属性魔法】スキルは50以上無いと話が合いません。
そして【属性魔法】スキルが50以上あるのならば『【属性魔法】スキルを上げていれば各属性の1ランクごとに2つの魔法を覚える』の条件に従い各属性魔法のランク5までそれぞれ2つずつ使えなければ話が合わないことになる。
つまりアンヌさんは私の知識に従えば火・風・土・光・闇のランク5までの50個の魔法と水のランク3の魔法1個・ランク4と5の魔法4個が使える条件にありながら習得していないという私からしてみれば恐ろしく変な覚え方をしていることになる。
もちろんゲームとこの世界では似ているといってもまったく同じではないのだから習得条件も違うかもしれない。
だけども魔力の量はともかく魔法の習得レベルを上げることができるのなら…
『私目立たなくてもすむかも』
…どうやらランは自分の為に周り人間のスキルレベルを上げて自分が目立たないようにする気のようです…
あー…こほん!
とりあえず可能性があるのなら実験あるのみです。
使えて不便と言うことはありませんので…
そ、それだけですよ?
本当に…
さてそうは言っても魔法なんていうのは感覚的なもの。
『こうだ!』なんていうやり方は実は無い。
ランである私としたら魔法なんていうのはスキルレベルが上がれば勝手に使えるようになるものだったのでそれの使い方を教えるとしたらどうやってなのか正直悩む。
この世界では魔法初心者にどうやって教えているのか知りたいところである。
“(やっぱりこの世界にも投稿小説みたいな魔法の家庭教師なんて存在がいるのでしょうか?)”
もしいるのなら是非自分に【魔法の教え方】を教えて欲しいものである。
そんな事を思っていても仕方ないのでとりあえずネットのOWO攻略wikiに載っていたことを教える。
ゲームの世界でも【スキルを持っているのに魔法が使えない】なんて言う人も中にはいたのだ。
結論から言えば【固定概念の持ちすぎ】である。
人によっても色々あるだろうが漫画・アニメ・ラノベ等で『魔法はこんなものだ!』というイメージがその作品に影響されすぎて固定概念化してしまいゲームのシステムに合わなくなって使えないということが極少数だが発生していた。
かなりフレシキブルなシステムだったのにそれでも合わないのは【それしか認めない!】という強力な固定概念のせいでもあったのだが世の中まったく逆の人も存在していた。
すなわち【魔法なんてあるわけ無いものをどう想像しろと言うんだ!】というある意味先ほどの人たちとはまったく反対の方向で強固な固定概念が出来てしまっていた頭の固い連中。
主に団塊世代以上のじいさんばあさん連中である。
無いものをどうやって想像しろと?と言い魔法の存在そのものを頭から完全否定しているから魔法そのものが発動しない。
なら最初から魔法スキルなんぞ取らなければいいのに人と同じことが出来ないのは不公平だろうと自分のことは棚に上げてクレームを運営に上げる。
こればっかりは別に運営が差別しているのではないため頭の痛い問題ではあった。
でだ、なんでこんな話が出たかと言うとこの世界の連中は後者の頭の固い連中と同じではないかとランは考えたわけだ。
天動説が当たり前の時代に地動説を唱えても相手にされなかったように【適正属性】が固定概念化している連中にとって単に【向き不向き】の差ではないかと唱えたところで納得はいかないだろう。
ならば実験だと…
結果から言うと…
ランの予測通りこちらの世界の人間も普通に全属性が使えた。
まずは生活魔法から入ったのだが最初に6属性全部使えるようになったのは最初から魔法の使えたアンヌさんではなく…目をキラキラさせながらランのする事を全部見ていたマリちゃんであった。
マリちゃんにしてみれば母親のアンヌさんみたいに概念云々はまったく知らない上にどうでもよいことでありランお姉ちゃんが練習すれば出来るようになるといった言葉のほうが大切であり理屈云々より【こうすれば】【こうなる】という風に素直にやり方と結果だけを受け入れてやってみたら出来ましたという状態であった。
そしてランはさらにアンヌ達に教えている最中ゲーム中魔法訓練をかねた遊びをプレイヤー達がしていたものを教えてやらしてみた。
簡単に言えば【粘土細工】だ。
ただし直接触るのは禁止。
全部風・水・土・火の魔法だけで形を作りあげる遊びだ。
ちょっとしたコツを覚えれば土魔法だけで出来るものだが最初は光と闇を除いた4属性を使って遊ぶ。
もっともマリちゃんには手で持ってもいいとはいっておいたが。
そしてアンヌさん達に色々指導していると後ろで「キャッキャッ」と笑う声がするので見てみたらなんと1mほどの全長のある「琥珀」が完成していた。
その隣には同じポーズの見本である琥珀がいて…
うん、多少デフォルメされているとはいえ見事な出来栄えだった。
もう一度作ってもらったら水で柔らかくし風で大まかに形を整え土で細部を作り火で焼き固める。
うん、教えてないことまで…お見事でした。
この結果に俄然親として負けられないと思ったのかその日のうちにアンヌさんどころかカールドさんまで生活魔法とはいえ全属性を使えるようになってしまった。
素直に驚きである。
そんな訳で私も修行です!
巨大モフモフ琥珀ゴーレムを製作するのです!!
マリちゃんには負けないのですよ?!
「「まて!俺(私)達の魔法の訓練の続きのはどうなった?!」」
“モフモフの方が大事です!マリちゃん私はお姉ちゃんとして負けないのですよ?!”
「わ~い、遊びましょう♪」
ゲームの世界を基本にしながら【適正属性】なる設定が主人公以外はある世界ってなんかおかしく無いですか?
そんな小説が多いような気がするので自分なり回答を考えてみました。
いや、単に全員がそうならいいのですが主人公補正の全属性はずっこいというか…普通そんなのいればモルモット対象でしょう…




