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第016話 新魔道具

-アンヌSIDE-


夫は目を輝かせながら一度は折れた自分の愛剣を抱えている。

よっぽど嬉しかったのだろう。

その気持ち判らなくも無いが私としてはもう1本【バスターソード】の方が気にかかる。

『鑑定』スキルによると【イーストバスターソード】と名づけられているもう1本の剣…


3ヶ月前に主人が山から連れ帰ってきた子供の【さらわれ人】。

当人によるとすでに成人年齢を超えている16歳、それでも見た目は10歳ぐらいの女の子にしか見えない。

うちの娘のマリもすぐになついた。

今では昔から我が家にいる長女という扱いが村でも定着している。

しょっちゅう山に入り肉や山菜を我が家どころか村全体の分まで確保してくる狩りの名人。

しかも山に入るときはパトロールも兼ねて必ず魔眷属か魔獣を仕留めてきてくる。

おかげで村に彼女からお金が提供され同時に彼女の計画・主導による村の再建計画がスタートした。

3ヶ月たった今ではほぼ外回りと畑の区画割りは終了しそれぞれ新しい区画の位置にみんなが家を建て直しているところだ。

さすがにこればかりは全員いっぺんにすると住む場所が無くなってしまうので順番にしている。

それももうすぐ終わる。


春前には一度王都に行き彼女も冒険者ギルドで冒険者として登録する予定だ。


そんな彼女が今回2本の剣を作った。

1本は夫の折れたバスタードソードを打ち直したものだ。

今夫が喜んで持っているものがそれだ。

そしてもう1本が彼女の故郷の作り方で打ったというバスタードソード。


夫の剣もそうだが彼女の作った剣はバスタードソードとは思えないほどの威力が備わっていた。

私達の常識から見れば夫が持っているのは両手剣のカテゴリーである【ツーハンデッドソード】クラスの威力を出している。

おそらく彼女に【ツーハンデッドソード】を作ってもらったらその上のクラスの【グレートソード】系か【クレイモア】系の威力のある剣ができるのかもしれない。

いやもしかしたらそれ以上かもしれない。


さらに彼女の故郷の作り方で作ったというバスタードソードは脅威だ。

【鋼】を芯に入れてて作るというのがよくわからないがその作りで作られたこの剣は夫が今持っている物よりはるかに強い剣に仕上がっている。


彼女は私達が持つ武器を見て『よくこんな武器で魔物と戦えるね』と驚いていたがなぜ驚いたのかは彼女が作った武器を見ればよく判る。

彼女の基準からすればあまりにも弱く脆い物だからだ。


彼女がこの先何をするのかは判らない。

ただ今は我が家の【娘】であることが嬉しい。

彼女は料理も詳しい。

故郷の料理を色々話してくれたが残念ながら材料が無く作れないものが多かった。

それでもこの前行商人の方に頼んで取り寄せていた小麦粉と重曹・ヨーグルトを使って作ってくれた【パンケーキ】なる食べ物はマリにも受けとても美味しかった。

ただ当人曰く【重曹】ではなく【ベーキングパウダー】ならもっと美味しいのにと言っていたが。

【ベーキングパウダー】がどんなものかまでは判らない。

乳牛を飼えばヨーグルトは作れるらしいけどこれはうちだけでは無理ね。

こんど村会議で出してみようかしら?


-SIDE OUT-



-カールドSIDE-


「おーーーー!」


そこには既に半分諦めていたかつての愛剣の姿があった。

以前より銀色が増して輝くようになった愛剣の姿がだ。

思わず抱きしめて剣に頬ずりしようとしたら妻に止められてしまった。

さすがに刃物に頬ずりしたら大変なことになる…


現役で冒険者を職業をしていた時代、俺達夫婦はとあるパーティにしか所属したことが無い。

初めて組み最後であったパーティ。

パーティ名は『ベアーズ』。

男は皆、熊みたい体型のものばかりだった。

いや…あのパーティのリーダーに訓練つけてもらったら皆同じようになったんだよな…

おかげで昔の俺を知っている村の連中からは「どんな魔改造をした?」とか言われたしランちゃんと始めてあった時は完全に熊と勘違いされナイフ投げつけられかけたし…

いや、あの時はランちゃんが俺を人間だとすぐ気が付いて助かった…

少しでも遅かったら額にナイフが生えるところだった…(冷汗)


このバスタードソードは当時リーダーをしていたクラウンさんとサブリーダーだったロンドさんが選んで買ったくれたものだった。

当時ペーペーだった俺にいろいろなことを仕込んでくれた恩人達だ。

俺はいまだにあの2人には恩を感じているし頭も上がらない。

だからこの剣が折れた時申し訳なくてとても王都にはいけなかった。

王都には今もあの二人がいる。

とても顔向けが出来なかったからだ。

でもこれで堂々と胸を張って顔見世できる。

まずはギルドに行ってロイドさんと話をしなくてはな。

できれば復興した村に戦力置く意味でもなんらかのギルドの支援は欲しい。

そしてあとは…クラウンさんだが…

会うのは難しいかな…俺の事情は別にしても…

おそらく、くそが付くほどい忙しそうだし…

うーん…できれば会いたいのだが…

こればっかりはロイドさんに聞いてみるしかないな…

ランちゃんの事もあるから会って話は通しておきたいのだが…


-SIDE OUT-



-ランSIDE-


ランはカールド夫妻が色々妄想している間…

マリちゃんによそって貰いながら昼ごはんの討伐に忙しかった。

なにしろ昨晩・今朝と飯抜きの上鍛冶で体力を使い猛烈におなかがすいていた。


物欲しそうに見ている琥珀に「あい」と言って肉の1/3を分けてあげる。

「うにゃ~ん」

分けてもらった肉にかぶりつく琥珀を見て目を細めながらもパンを食べるのはやめない。


10分後ようやく満足しおなかをさすってさて風呂にでも行くかと思ったときふとポケットに入れっぱなしだった魔道具を思い出した。


“やっぱり生産者の夢だよね…『こんなこともあろうかと…』という台詞は…”


ボソっとそんな事をつぶやくとルーペと魔道具の『イグナイテッド(点火)』 の方を1個取り出し居間の床に胡坐をかいて座り込みのテーブルの上で調べ始めた。

ちなみに頭の上には琥珀が膝の上にはマリちゃんがお昼寝モードに突入しておりすでにお風呂に行く機会はどちらにせよ失せていた。


指輪横一列に書かれた文字。

こちらでは簡易魔方陣の一種と言われているが何のことは無い発動記号と終了記号の開いたにルーン文字が書かれているものだ。

魔法を普通な使う場合詠唱しいらない。

ただこの指輪には『イグナイテッド(点火)』の詠唱文らしいのが刻み込まれている。

これがある意味『簡易』と言われるゆえんだろう。

まぁ、確かに詠唱文そのままに書かれていずに暗号化されてはいるが簡単なものだ。

ゲームではすでに図書館においてこの手のマジックアイテム製作に関する本にはすでにこの暗号と解き方作り方が微細に説明されていた。

よってそのエンチャント系アイテム製作を専門としていたランに取っては難しいものではない。

なにしろ魔法陣製作のために専用のソフトを自分で作ってインストール(運営会社には許可済み・著作権習得済み)してたくらいだから。

ソフト『マジックスクエア』起動。

そして解読・翻訳した結果『火よともれ』と書かれていた。

ふうん・・・なら氷をつくりたい時は『水よ凍れ』とでも書けばいいのか?

…試すか…


ポシェット内部のゲームエリアから以前ゲーム内で練習用に大量に作り保管していたシルバーリングをひとつ取り出す。

書き込む道具はゲーム内で自分で作り上げた魔法陣用書き込み棒。

本来は宝石内部に多層魔法陣を書き込む道具なのだが今回はこれで代用。

高倍率の作業用ルーペメガネをつけて書き込み…

5分ほどで書き込み終了。

ゲームでは感じなかったがこれ意外に疲れる作業だ。


でわでわ実験実験…

左の人差し指にはめてと…


“(水属性ランク4)『フリーズ(氷結)』…”


あら魔力も流したのに何も起きませんね…

失敗ですか…魔法ならこれで空中や対象物体が凍りつくのですが…

うん?対象物体??

これはもしかして…

あわてて立ち上がり台所に立とうとしたところで…


ゴトン!!


「いた~い!」


あぁ…マリちゃん膝の上にいたの忘れてた!!

ごめんよ!!

必死に土下座してなんとか今度またパンケーキを作ることで許してもらいました。

ヨーグルトまた仕入れないと…

ちなみに琥珀は…土下座で頭が上下してもまったく落ちないでピタッとひっついたまま!

しかもそのまま寝てるし…

いったいどんな仕掛けなんだ?


さて気を取り直して台所でボールに水をはり再び居間に。


「お姉ちゃん何するの?」

“うん、ちょっとした実験なのですよ。”


そしてボールに張ったその水をに指輪をつけた指を突きつけ…


“『フリーズ』”


見事水は凍りついた。

とりあえず触ってみてもカチンコチン。

ひっくり返してみて取り出してもカチンコチン。


“うっし!検証成功です!!”


そのまま一度氷を流しに棄ててきてもう一度水をはり今度はマリちゃんに指輪をつけてもらって使ってみてもらう。


「えっと、これ付けてお水に『ふり~ず』って言えばいいの?」

“ええ、それでお願い。”

「『ふり~ず』!」


ガチン!

見事に水が凍りになりました。

うし!これて他人が使える以上普通に道具として使えることが実証できた!!

MPも1しか減ってない。

なんか魔道具って便利だよな。

自分のMP使うのに本来の魔法より制限が付くとはいえMP少なくて住むんだから。

ちなみに水属性ランク4『フリーズ』の使用MPは本来12である。


マリちゃんと何時の間にか起きた琥珀は氷をつついて喜んでいる。


うんうん、我ながら思いつきだけで良いものができました。

えんえんと何度も満足げにランがうなずいていると…


ガシャーーン!!

カランカランカラン…


後ろでなんか落としたような音が聞こえましたのでランが振り返ってみると…

そこには剣を落としたカールドさんとアンヌさんが驚いた顔でこちらを見ていました…


やべ…また私なんかやらかしたか?



-SIDE OUT-


今回の製作品


 【氷結のリング】


 種別:指輪(魔道具)

 評価:★★★★★☆☆☆☆☆

 素材:シルバー

 耐久度:250/250

 製作者:ラン


 エンチャント効果:

 水属性魔法『フリーズ』(弱)

作るもの作るものすべて規格外のものばかりのラン。

これを聞きつけた王室はランを捕まえて武器を作らせようと近衛騎士団をエルシア村に派遣する…

だが簡単に捕まる程、ランはそんなに甘くは無い!!

陸海空自衛隊の武器総動員して断固徹底抗戦の構え!!


次回『遠い過去からの記憶 エルシア村最終巨大人型兵器起動!!』

ランの明日はどっちだ!!



なんて嘘予告が出てくるような未来予想図しかこのままでは思い浮かばないんだが(笑)

暴走もとこかで歯止めかけてやらんと嘘予告が実現しそうで怖いです(笑)

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