第013話 正体不明の少女
あの村にあやしい奴が…
-王都リホン 王国冒険者ギルド本部-
冒険者ギルド
各国の首都にそれぞれの国の本部が存在し、また各国のギルドの利権・情報等を統括する統括本部がアイア教国第三の都市ジュテームにある。
(アイア教国冒険者本部は首都ホルンにありお互い干渉しないように別の都市におかれた)
よく間違われるが統括本部が最上位にあるのではなくあくまで各国のギルドとの利権・情報等を共有し冒険者の活動を国をまたいで行いやすくする為の事務的組織である。
ギルド本部のギルドマスター室。
そこで今ギルドマスターであるロンドはは月間の収支報告を受けていた。
「この3ヶ月間違いなくエルシア村・ヌーベア村から魔物・魔眷属の討伐依頼は来てないのだな?」
「はい、当ギルドには討伐依頼どころかエルシア村にいたっては採取依頼もありません。」
「ふむ…おかしなもんだな…ルシナンの支部からの報告では春から秋にかけて天候が良かったためにアルスト山の魔眷属が大量に発生、特にゴブリンは今年大量に生まれたらしく東側のコロニー群から巣別れしたゴブリンたちが溢れていると報告が来ているのだが…」
「はい、間違いありません、ルシナンの支部はではこのところゴブリンをはじめとする魔眷属の退治依頼が多くそれをこなす為、迷宮に入るものが少なくなっていると報告があります。」
簡単に補足しておく。
アーネルランド2番目の巨大地下迷宮が存在するアルスト山のふもとには2つの村と1つの町が存在する。
(1番目は王都の北部200kmほど先に存在する複数の川が合流する地点でちょっとした湖ともいえる場所の川岸に存在する。近くにはヴァミエイロという要塞都市が存在する)
山の南側に存在する町は迷宮都市ルシナン。
人口は約1800人前後、他に冒険者1500人弱前後を抱えているこの国の中堅クラスの町である。
地下迷宮の常設入り口が山の南側にあるためここに町ができ冒険者が集まっている。
山の北側に存在する村がヌーベア村。
人口は約500人前後。
イスガニア帝国との窓口になる街のひとつエルワークスに行く街道の途中にありかつアルスト山からも少し離れているために安全と思われておりイスガニア帝国から来る人の王都の玄関口としての宿場村の役割を果たしている。
そして西側にあるのがエルシア村。
人口は39人。
元々は150人ほどの村であり王都から迷宮都市ルシナンか港町アルトダに行くには丁度中間にあるためヌーベア村ほどではなかったがそれなりに栄えていた村だった。
また王都に作物を供給する村のひとつとして重要な村だったが半年前の魔物襲撃事件により壊滅に近い被害を受け住民が流失。
また商人や旅人たちも危険を恐れ通る道を西側の街道に変えたため訪れる人も少なくなり近いうちに消滅するのではないかと心配されている。
「エルシアから依頼が無いのはすでに村の体裁をなしていないのか?」
「いえ、先日のギルド定例会議では商業ギルドの報告の中にワーマス商会からエルシア村からの依頼が報告されていましたから健在なのでしょう。」
「商業ギルドを使うような依頼?あんな小さな村でそれだけのものが必要なのか?」
普通は商会だけで済むものがその商会だけで手におえないとき商業ギルドを通してその商品を持つ他の商会の支援を受けることが出来る。
当然手数料も取られるため価格は跳ね上がるが希少なものや逆に大量に物を仕入れるときなどに使用される。
「これはワーマス商会の護衛をしているギヌスのパーティからの報告ですがエルシア村は現在復興作業の真っ最中だそうです。おかげで釘や細かい物が足りずかなり仕入れのために注文が入るらしいです。」
「あの村にそんなお金どこにあるんだ?」
「魔石や塩漬けの肉、動物の皮等との物々交換が多いらしいです。ただその他にも特に魔石の買取が多いとか。」
「そんなに多いのか?」
「はい、往復で交換のと買取のあわせて毎回C~Fランクの物が60個ほど取引されているようです。」
「毎回か?」
「はい、毎回です。」
ロンドの問いに答えるギルド職員。
犬の耳がピンとたってとてもプリティーな美女の人獣族さん。
「毎回60個って…カールドだけでは無理だろう…どんな冒険者達が根城にしているんだ?」
「いや、それがですね…ギフス達の話によると毎回売りに来るのは10歳くらいの女の子だとか。」
「女の子?だれだ?」
「それが村人の話によると村長宅の長女だとか…」
「長女?確かあいつの家の娘は7歳か8歳だったろ?」
「そうなんですか?金髪で碧眼のかわいい女の子らしいですよ。」
「金髪?あいつの娘は母親似の明るい茶色だったろう…だれだその子?」
「さあ…」
「調査の必要がありそうだな…だれかCクラス以上で手が空いてるやつがいるか?」
「ならばレウリーがよろしいかと、この前の依頼から1週間既にあいてますからそろそろ仕事探しに来る頃でしょうし。」
「レウリーか…うむ、調査系ならあいつも能力発揮しやすいしな…よし、レウリーを呼んでくれ!ギルド直轄依頼だ!」
「わかりました。」
-SIDE OUT-
-レウリー SIDE-
最初この仕事をギルドから受けたときはちょろい仕事だと思った。
ゴブリンの件にしてもたまたま北と西に行かずに南に集中したんだとしか思っていなかった。
こんなちょろい仕事で成功報酬半金貨5枚なんてちょろすぎる。
なんて思っていたんだが大間違いだった。
今俺の目の前でナイフをこちらに突きつけながら見ているガキは恐ろしいガキだった。
こいつは何者だ!?
ギルドの依頼のため待遇もよく俺はエルシア村近くまでギルドの馬車で送ってもらえた。
馬車はそのまま王都に帰る。
まぁ、帰りは商人の一行に混ぜてもらうとすることにしよう。
確か3日に一度の割合で商人が通っていると聞いた。
まぁ、それが無理なら歩けばいい。
王都なんてどんなにゆっくりあるいても3日でつける。
少し朝早くにつきすぎたかと思ったがこういった村は朝が早い。
日の出の前に住人が畑の世話を始めたり料理の用意を始めたりしていた。
正直言ってにおいに負けそうだ。
腹が減った…
硬い黒パンと格闘しながら村長宅を見張ること1時間。
村長宅から金髪のガキが出てきた。
なんか緑色したこまかな模様がえがかれた服を着ているが…ってズボンもかい…
しかも手に持っているジャケットらしいのもその模様…
なんなのかね…この村ではあんな模様がはやっているのか?
なぜかガキ1人で山に入るようだ。
もっと複数じゃないのか?
それともただの野草取りか?
とりあえずギルドマスターからはあのガキが最重要目的と聞かされているので後をつけるか。
山の麓まできたらなにやらじっと山を見つめて動かなくなった。
なにやってんだか…
あぁ…なるほど…やっぱり子供だね、おそらくここまで来たはいいが怖気づいたんだろう。
丁度村から離れているしあのガキ捕まえてちょっと脅してはかしてしまったほうが早いかもしれん。
うん、われながらいい考えだ、そうすることにしよう。
-SIDE OUT-
-ラン SIDE-
村を出る前から後をつけているものがいるのは『探査』スキルのレーダー上で判っていた。
村の外から村を観察しているようだったがパターンは『黄』表示だったしなにもやましいことをしている覚えが無いので放置していたのだが山に向かって移動を始めるとついてきた。
“(目的は俺ですか…)”
レーダー画面を注意しながらも山に行く道で頭の中は自分がどんなへまをやらかしたか考えてみたが…判らなかった…。
“(村の中ならともかく外に伝わるようへまはしてないはずですけど…)”
この2ヶ月カールド一家にこの世界のというかこの国の常識を叩き込んでもらったおかげで大きなへまはしていないと思う。
悩みながら歩いていたら山についてしまった…
しかたない…山の中でまくとしよう…
ここに来るまでに途中で拾った小石を数個手のひらの中で転がしながら考える。
とりあえず山に入る前に広域探査で獲物を探す。
えっと…中腹に『魔物』かな…反応1、あとは…またゴブリンがあの洞窟に巣を作ってるね。
場所がいいからか業と埋めずに残しておくとすぐあそこに巣を作るね…。
まるで○○○○ホイホイだね…。
こっちとしては効率いいから助かるけど…。
目の前にがけもあるから仕留めやすいし…。
その時『探査』スキルの目標のパターンが『黄』から『赤』に変わり警告音が脳内に鳴り響いた。
同時に隠れている草むらに向き小石を1個火の魔力をこめながら投げつける。
狙い通りターゲット手前に着弾。
地面に当たったとたん軽い爆発が起こる。
これって便利なんだよな…
たまたま忍者の漫画の真似事で『チャクラ』なんてものはこの世界に無いから (たぶん…) 変わりに風の魔力をこめてナイフを投げたら同じ結果になった。
興味が出て狩りの時に色々試してみたら小石を拾って『火』属性の魔力をこめるのが一番効率がよいことが判明した。
MP1使うだけで『ファイアボール』(MP4)の2/3の威力って効率よすぎるよな…
ただし投擲スキルに頼ることになるがそのあたりは不自由無いレベルはある。
そんなわけて最近は獲物の釣り用に大抵小石を常に3~4個拾っておくようにしている。
さて石が着弾して爆発した先には若い男がびっくりした顔でこちらを見ていた。
そのまま近づき89式多用途銃剣を目の前に突きつける。
“村からつけていたようだけども御用は何?”
少し殺気をこめて聞いてみた。
-SIDE OUT-
ガキ相手とどうせこの男は考えていたのだろう。
装備が整っているから冒険者か?とも思ったがこんなことするなら人攫い専門の盗賊の恐れがあるな…
マリちゃんが浚われてもかなわないし…前の盗賊と同じようにひん剥いて役人にわたすか…
「………」
こちらの問いかけにも歯がかみ合わなくてガタガタ言わせているだけで何も答えない。
しかたない…襲おうとしたこいつが悪いんだ…
始末してもいいがあとあと面倒が起こるのも嫌だから役人に突き出そう。
とりあえず…
“もう何も言わなくていい…寝とけ…”
そう言うと口の中でそっと聞こえないように呪文を発動させた。
闇属性魔法ランク2『スリープ』
目の前の男が簡単に眠る。
とりあえず何かの拍子で起きられるのも面倒なのでポシェットの中からレスキューキットを取り出し中から睡眠導入薬の入ったアンプルを取り出し注射しておく。
説明によるとこれで4~5時間は眠っているという。
このばに放置しておきたいのは山々だが役人にわたすと決めた以上、すくなくとも引き渡すまで生きていてもらわないといけない。
幸い明後日には王都に行く行商人が村に来る。
それまで前みたいに素っ裸にして檻の中に放り込んでおけばいいだろう。
あぁ、念のため風邪引かないように共同浴場の脱衣所においておこう。
きちんと『エサをやらないように』という羊皮紙またはりつけとかないとな…
はぁ、めんどくさい…
4日後王都の冒険者ギルドに騎士団から身元確認の問い合わせがありギルドマスターが行くとそこには素っ裸にされ動物捕獲用の檻に閉じ込められていたレウリーの姿があった…
「お前何しているんだ…?」
「めんぼくねぇ…」
さてついにギルドがランをの痕跡を見つけ出したようです。
はたしてランに平和な生活が送れるのか??
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