第012話 村の現状
とばしている3ヶ月ほどの説明です。
第012話 村の現状
あれから2ヶ月が過ぎた。
現在村の周りには大麦の種まきが終わり少し手の空いた男連中の手によって村壁が作られている。
長さ8m前後もある丸太の先を削り杭状にして3mほど地面に打ち込みそれを横に同じように別の杭を打ち込むことによって壁状態に仕上げていっていた。
丸太の切り出し及び乾燥はランの魔法でまかないいったんそれを全員で村に運び集積してらんの魔法で乾燥させる作業を2週間。
そして壁を作るために杭状にして打ち込む作業を2週間。
ようやく4箇所の門になる部分を除いて村壁が完成しようとしていた。
これで獣や魔獣からある程度村を守れるようになる。
さらにランの予測だと村が安全になれば絶対またこのルートを選ぶ商人達が出てくる。
その時港町アルシダならびに迷宮都市ルシナンに王都から商売で動く商人にしたらこの村は丁度中間地点に当たり場所的にも最適だ。
泊まる場所があるだけでもこの村に止まり村に金を落とすようになる。
ましてやそれになにかしらプラスアルファがあれば絶対にこの村はそれなりに潤うはずだ。
そのプラスアルファの部分にランは『温泉』を使おうとしていた。
10m掘れば泉のようにわいてくる『温泉』。
しかも温度は約40℃前後。
正直ポンプも使わずに噴出す温泉になんてご都合主義なと思わないでもなかったのだが…。
日本では昔からの保養地でもなければほとんど深い場所まで掘ってポンプでくみ上げねばならないからうらやましい限りである。
ランの『鑑定』スキルで見たところ無色無臭であるしほぼ間違いなく『単純温泉』であると思われる。
『単純温泉』は神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、運動麻痺、関節のこわばり、うちみ、くじき、慢性消化器病、痔疾、冷え性、疾後回復期、疲労回復、健康増進に効能があると地球では言われている。
正直『硫黄泉』など強烈な臭いのするものやその他の混ざり物がある温泉はお風呂に入る習慣の無い者達にとっては難易度が高いので一安心といったところだ。
本来王侯貴族や大金持ちで無いと家に『風呂』といった設備が無いこの世界で安い料金で『風呂』に入れるとしたらどんな反応を示すか正直ランにとっては楽しみである。
もっともその前にここの村人達で大実験するつもりだが。
そして『温泉』は『宿屋』であり『食堂』でもある建物に併設する予定である。
問題は管理運営を誰にさせるかである。
温泉はともかく宿屋などはこういった経験のあるもので無いと勤まらないであろう。
ランには無理であるので素直にカールド夫妻に聞いてみた。
返ってきた答えは王都に引越ししていった元宿屋の夫妻を呼ぶか王都で経験者を商業ギルドで紹介してもらうかしかないという。
ただ元宿屋の夫妻は奥さんが怪我のため王都の息子夫婦の元に言ったのだから無理だろうとのこと。
そうなると紹介してもらうしかないのだがこの村になじめるのかが不安。
そのまえに『危険地帯』のレッテルを張られているこの村に来てくれる人がいるかと言う問題もある。
これはとにかく訪ねてみるしかないな…
まぁ、念のために元宿屋の夫妻をたずねて誰かいい人いないか聞いてみるのも手かもしれないが。
ちなみに現在ランは村人たちから『村長宅の長女』認識状態。
これまで何度か別に建物建てて独立しようとしたが奥さんのアンヌさんと娘のマリちゃんに大反対されて挫折している。
少しでも強引に出ようとすると母娘そろって泣き落とし状態。
旦那のカールドさんに応援も求めても目線を逃がして『無理』と宣言された。
よって現在もランは居候状態である。
ちなみにランは基本よく食べるほうである。
『居候3杯目はそっとだす』という諺は実行したくないので自分の食い扶持は自分で稼ぐ。
元々資金稼ぎのために山に入って獲物をしょっちゅう狩りに行く。
目的は行商人に売りつける毛皮であり魔石である。
よって肉は基本全部カールドさん宅に自分の分として納めることになる。
この量がまたすごい。
なにしろカールド宅で肉が出るのは今まで1日~2日に1度の割合がご近所におすそ分けしまくっても毎食新鮮な肉が大量に使える状態である。
最近では腐らないように塩漬けした肉まで大量にありすぎて行商人に売る始末である。
ラン一人増えただけでこと肉類や山の果物やきのこ等が大量に手に入るのだ。
しかも狩りや山の偵察は全部ランが1人で効率よくこなしてしまう。
おかげでカールド夫妻は畑に専念できる。
ランが出て行ってしまうとまた減るわけだ…おかずの量が…
そりゃ、食事の量が増えるといってもそれ以上に獲物を家に持って帰るランは手放したくないわな…
ちなみにマリちゃんは近い年頃の子供が村にいないため『見た目』の年が近いランにピッタリ張り付いている。
そりゃもう…おもいっきりなつかれています…
基本獲物は狩り過ぎないようにしてはいるが『魔物』はほとんど村の安全とおぜぜの元のために容赦なく狩り倒す。
また『魔獣』のほうが肉としては美味しかったり値段が高く取引されていたりする。
白虎の『ホワイティー』や大型ニワトリモドキの『コケッコー』みたいにこちらに敵意がなく友好的なものはその対象ではないがそんな奴らはカールドさん宅にいる奴らしかいない。
というか他の『ホワイティー』や『コケッコー』とは遭遇したことがなかったりする。
会うのはこちらに敵意むき出しの『ゴブリン』や『ホブゴブリン』。
あとは豚の顔をした『オーク』なんかとも遭遇したことがある。
他は突然変種の魔獣とかである。
ランの『探知』スキルは現在半径4.5kmほどをカバーする。
そしてそのスキルに『魔物』反応があれば『魔石』狙いのために全力で仕留めに突き進む。
その為か『魔物』との遭遇率が異様に高い。
ほぼ毎回何らかの魔物を仕留めて動物変異体の魔獣の物は持ち帰ってきてゴブリンとかのどうしようもない魔物は魔石を抜き金属類の物を回収した後穴をあけその底で焼き払い埋めてくる。
ちなみに普通の狩人が魔物や魔獣に遭遇する率は3~4ヶ月に1回程度である。
大抵はお互い気が付かず離れた場所で遭遇しないものだ。
だが本来気が付かない距離でもランの場合スキルで発見し仕留めにこちらから近づくのでほぼ毎回遭遇していることになる。
おかげで最近の村の近辺はランが徹底的に狩るのでほぼ安全になっている。
ただそうなると野盗が出てもおかしくは無いのだがなにしろいまだ商人たちは警戒して西の街道を使用するためうまみが無いと思っているのか野盗は現れない。
いや、一度6人程度の野盗たちが出たのだが運の悪いことに出会ったのがランであったために即座にスタングレネード(閃光発音筒)と催涙スプレーで鎮圧され身ぐる引っぺがされた上に動物を捕らえる檻に放り込まれ王都に行商人に連絡してもらい引き取ってもらっている。
ちなみに役人が引き取りにくるまでの3日間食事なしの上に檻には『調子に乗るので餌をやらないように』と書かれた羊皮紙が貼り付けてあった。
まぁ、誰がやったといえばランがやったのだが…
後にこの話を聞いた新藤社長に『捕虜虐待にあたるのでは?』と聞かれたところランは『野盗は戦闘員として認められていないからジュネーブ条約の保護対象ではない』と言い切ったという。
“うっし!あともう一息!!”
頭の上に琥珀を載せながらランはレビテーションで運んできた石を並べていく。
『錬金魔法』で多数の石を練成しそれを正方形に整形して並べていく。
現在ランは村壁の作業をよそに宿屋になる建物の横に公衆浴場の建設に乗り出していた。
当初岩風呂の露天風呂にするつもりだったがアンフさんの大反対で頓挫。
反対理由は『人に見られる』だそうで…
壁も作るしといっても『うん』とは言ってくれなかったので野外露天風呂計画は頓挫。
ならば室内の風呂にするにしてもどんな風にするかと考えたところ一本の木材が目に付いた。
“そういや、こいつがあったな…”
木の名前は『クローフ木』。
地球で言うところの『檜』によく似た木である。
あまりにもよく似ていたので建物に使おうと確保していたものである。
“総檜風呂にするか…地球じゃそんな贅沢な風呂になんかはいったこと無いのに…”
とりあえず浴槽の土台部分とその他の部分は石で完成させることに。
もっともスベリ止め効果があるように多少は表面に細工を施しているが。
土台が完成真近になる頃、昼休みに入ったのか作業の手を休めて集まる村人達。
パンとシチューが皆に配られる。
肉がたっぷり入っているため皆さんにも人気である。
それでも日本人としてはもう少し柔らかいパンが食べたいものである。
いくら醗酵パンといえども大麦だとな…聞くところによると小麦のパンもあるそうだが小麦粉そのものが高いため(小麦を粉にするのは大麦より難しいとされている)貴族様や大金持ち専用のパンだとか。
ラノベとかネット小説では主人公が簡単にパン作ったりするが本来そう簡単ではないのですよ…
熊悟郎が小麦粉パンを食べたことがあるというので聞いてみたら『やわらかいが根性の無いパン』と表現していた。
それを聞いてピンときた。
それって『薄力粉』で作ったパンじゃないかと。
一度俺は家でパンを作るとき本来は『強力粉』で作るのを物は試しで『薄力粉』で作ったことがある。
(賞味期限が近いものが出てきたということもあったが)
結果まさに『根性が無い』というか『気の抜けた』と表現したくなるパンになった。
ためしに行商人のおっちゃんに依頼してパン用小麦粉を仕入れたことがある。
5kgで半金貨1枚、日本円でざっと1万円!!
高…!!
それで確かめてみたら間違いなく『薄力粉』であった。
ちなみに『強力粉』・『中力粉』・『薄力粉』等はタンパク質の割合とグルテンの性質の違いで分けられているもので粉の大きさや引き方は同じである。
では何が違うのかと言うとぶっちゃけ同じ小麦の種類であってもそれぞれ別の小麦だったりする。
日本での例を挙げてみるとすると…
『強力粉』はタンパク質の割合が12%以上のもので、主にアメリカ・カナダ産硬質小麦(パンコムギ等)を使用している。
『中力粉』タンパク質の割合が9%前後のもので、主にオーストラリア・国内産の中間質小麦 (ホクシン等)を使用している。
『薄力粉』はタンパク質の割合が8.5%以下のもので主にアメリカ産の軟質小麦を使用している。
他にも『浮き粉』だ『全粒粉』だとあるがこちらは製法が違うので省かせてもらう。
ついでに言えばこれらの鑑定は『鑑定』スキルで全部判る。
ていうかさ…ゲームの『鑑定』スキルとちがってえらく便利なんだが…
成分構成結果なんぞアナライザーでもあるまいし…どうやってスキルごときで調べるのか謎だ…
まぁ、それはそれとして王都に行くときはこの小麦も調べないとな…
日本に送る分も合わせてできるだけ種類手に入れないと…
できれば強力粉や中力粉になるものがほしい。
やわらかいパンもそうだが…うどんかお好み焼き食いたい…
となると鰹もひつようか?
王都で探さないといけないもの増えるな…
なんか夢広げてぼうっとしてたらとなりでは別の夢語ってるよおじさんたち…
あぁ、エール工房ですか。
だよな…仕事後に冷えたビールをキュッと一杯ってたまらんもんな…
そういやエールは常温が一番美味しいんだっけ?
確かビールはラカー製法でエールはエールビールって別物だったよな。
確か上面醗酵だっけな…
日本はビールのほうだからそれなりに知識はあるがエールの方は表面一片通り知識しかないからな…
作れる人間に任すか…とりあえず必要なもの仕入れてくるということで…
昼飯終わったし続きするかと。
今日中に何とか風呂場のところまで済ませたいしな。
そのあとは上の建物も作らないいかんし…
ここんとこ忙しすぎる!!
他のSSでは簡単にパン作りますがそもそも16世紀ぐらいまでヨーロッパでは大麦のパンが主体で小麦のパンが無かったのですが他の方簡単に小麦粉見つけてますよね。
薄力粉・中力粉・強力粉もどうやって見分けているのだろうか?
とりあえずこの話では【鑑定】スキルで解決することにします。
えらく便利なスキルだな、おぃ(笑)
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