第四話:二元論を超えた天裁、そしてアポロン系への旅立ち1
最高意思決定機関「テトラグラマトン」の大議事堂の中心に、アポロン(太陽)を巡る九つの生命惑星の巨大なホログラムが、荘厳な光を放ちながら静かに浮かび上がった。
第一惑星・水星。
第二惑星・金星——かつてシャンテの母が完璧に調律し、大いなる海へと還した、愛の記憶が眠る美しい星。
第三惑星・地球——今回、シャンテへ託される新星。
第四惑星・火星——オルテリウスの死体に最も近い最前線の星。
第五惑星・木星——遥か奥地に眠る巨大なガス惑星。
第六惑星・土星。
第七惑星・天王星。
第八惑星・海王星。
そして、第九惑星・冥王星。
すべての星は、独自の電気信号を持つ巨大な生命体として、一つの交響曲のように連動していた。
しかし、第四惑星の火星と、第五惑星の木星の狭間を見上げたとき、シャンテとティアンは息を呑んだ。
そこには、かつて美しく輝いていたはずの惑星「オルテリウス」の姿はなく、ただ粉々に砕け散った無数の岩石——小惑星帯が、星の死体として冷たく渦巻いていた。
そこから放たれる「まだ生きたい」「仕事を終わらせなきゃ」というその瞬間の生命の執着の電波が、すぐ隣の地球の環境をバグらせようと、目に見えない刃のように降り注いでいるのだ。
激しく火花を散らすシャンテ、ティアン、オルタンスの三人を見つめ、大神ゼウスはゆっくりと、全宇宙を揺るがすような重厚な声で裁決を言い渡した。
「オルタンスよ。お前の言う通り、肉体という境界線を持って生まれた生命は脆く、すぐに恐怖や欲望の情念に流される。
だからこそ、お前たち『オーディル神殿』の厳格な規律や管理も、彼らが物質世界で形を保って生き抜くためには、どうしても必要な盾なのだ。
お前の掲げる法は決して間違いではない。
人間が、生命が生きる以上、それもまた一つの厳たる事実として受け止めねばならん。
……お前には、第四惑星・火星の調律を任せる。お前の強固な規律で、オルテリウスの破片から最も近いその最前線の星を導くのだ」




