第五話:星を駆けるオーロラ、前世の残響3
ティアンは息を呑んだ。シャンテの言葉が、オルテリウスの悲しいバグの真実を射抜いていた。
彼らは世界を恨んでいるのでも、未練で彷徨っているのでもない。
ただ、日常の真っ只中で時間が止まってしまっているだけなのだ。
ティアンはシャンテが気づかせてくれた命の真実の重さを胸に、ハァハァと激しく息を切らしながら、さらに強固な防護の力でその健気な記憶の残響を包み込み、オリゾンを守り抜いた。
激しい電波の歪みがゆっくりと遠ざかり、再び宇宙に静寂が戻ってきたその時、彼らの眼前に、息を呑むほどに美しい、まだ誰もいない生まれたての青い惑星が姿を現した。
ティアンはハァハァと激しく息を切らし、ボロボロになりながらも、その小さな身体で宇宙の圧力を物理的にせき止め続けた。
彼の命がけの防護のおかげで、シャンテの繊静な愛のアンテナは、ノイズに汚染されることなく完全に守られていた。
「ありがとう、ティアン。私、大丈夫よ!」
シャンテは、母ヴィーナスの遺した条件と、7つの道具の重みをしっかりと胸に抱きしめ、前を見据えた。
ティアンの健気な盾に守られながら、ノイズの嵐が吹き荒れる小惑星帯の魔の領域を、二人は無事に突き抜けた。
激しい電波の歪みがゆっくりと遠ざかり、再び宇宙に静寂が戻ってきたその時、彼らの眼前に、息を呑むほどに美しい、まだ誰もいない生まれたての青い惑星が姿を現した。
第三惑星・地球。これから彼女たちが調律していく、生命の新しいキャンバスが、すぐそこに優しく輝きながら二人を待っているのだった。
第六話へつづく




