第五話:星を駆けるオーロラ、前世の残響2
二人の乗る「オリゾン」がさらに宇宙の深淵へと進むにつれ、周囲の空間の空気が、張り詰めたノイズとなって激しく震え始めた。
第四惑星・火星と、第五惑星・木星の狭間。
かつて高度な文明を誇りながら一瞬で消滅した惑星「オルテリウス」の死体——小惑星帯の領域が、目の前に迫ってきたのだ。
「シャンテ、本当に来るぞ……! 捕まって!」
ティアンが華奢な身体を前に乗り出し、その小さな両手を虚空へと突き出した。
彼の放つ守護の神力が、オリゾンの周囲に強固な光の結界を展開する。
その直後、粉々に砕け散った無数の岩石の隙間から、夕方の市場で明日を信じて店じまいをしようとしていた民の焦り、一日の終わりの帳簿を閉じようとしていた義務感——オルテリウスの民たちの、途中で断ち切られた強烈な日常の執着(残留思念)が、激しい逆風の電波となって襲いかかってきた。
空間をバグらせる不穏なスクリーンの残響が、嵐のような圧力となってオリゾンを激しく揺らす。
必死に盾を支えながら叫ぶティアンの背中に向けて、シャンテはオリゾンの床に膝をつきながらも、ハッとした表情でアンテナを澄ませ、突っ込みを入れた。「……違うわ、ティアン! 待って。これは、未練の力なんかじゃない!」「えっ……!?」ティアンが驚愕して振り返る。「何を言ってるんだい、シャンテ! これはもうとっくに存在しない惑星に住んでいた人たちの残響なんだよ!? この星にしがみつく未練じゃなかったら、一体何だって言うのさ!」激しいノイズの逆風を受けながら、シャンテはアステロイドベルトの彼方を見つめ、静かに、しかし確信を込めて指摘した。
「くっ……なんという未練の力だ……! でも、俺の盾は絶対に破らせない!」
必死に盾を支えながら叫ぶティアンの背中に向けて、シャンテはオリゾンの床に膝をつきながらも、ハッとした表情でアンテナを澄ませ、突っ込みを入れた。
「……違うわ、ティアン! 待って。これは、未練の力なんかじゃない!」
「えっ……!?」ティアンが驚愕して振り返る。
「何を言ってるんだい、シャンテ! これはもうとっくに存在しない惑星に住んでいた人たちの残響なんだよ!?
この星にしがみつく未練じゃなかったら、一体何だって言うのさ!」
激しいノイズの逆風を受けながら、シャンテはアステロイドベルトの彼方を見つめ、静かに、しかし確信を込めて指摘した。
「彼らはね、突然飛来した巨大な彗星が衝突して、何が起こったのかも分からないまま死んでしまったのよ。
だから……この人たちは、自分が死んでしまったことさえ気づいていないの。
これは未練じゃなくて、明日も当たり前に日常が続くって100%信じていた瞬間の、ささやかな記憶がそのまま凍りついて流れているだけなのよ!」
「自分が、死んだことさえ……」




