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どうにかして頑張ります。

私は知っている。

目の前にいるこの少年のことを。

彼の名前はクリスチャーヌ・メルシア

私が前世でハマっていたゲームの攻略対象の1人だ。そしてこの男がどれほど危険な人物かも知っている。

ただ唯一知らないのは、彼が幼少期のときの見た目だけだった。





シュリは目を見開いて、ポカンとする。

ポカンとしたかと思えば次はボケーっとしてこう答えた。

「嫌です。行く場所ないし」

思いもよらない返事に驚いたのか、今度はクリスチャーヌがポカンとする。

アルネは思わず吹いてしまった

「プ……ははは」

アルネがお腹を抱えて爆笑し始める。

その目には笑いすぎたのか、涙が浮かんでいた。

「まさかそうきますか」

アルネが指で涙を拭きながら言う。

メイド達も思わず笑いそうになったが、クリスチャーヌをチラリみたあと笑いそうになった表情が一気にこわばる。

「僕にそんな態度をとるの?」

クリスチャーヌの表情が険しくなった。シュリの周りに黒い渦が出る。よく見るとクリスチャーヌがその渦を操っているように見えた。

だんだん広がる闇の渦にシュリは呑み込まれた。

「シュリ様!」

アルネが動揺している。なんとか渦の中に入ろうとするがアルネを渦が弾く。

すると暗い渦の中でチラリとシュリが見える。

彼女は微笑んでいた。

そして口が動く。

その口は ま か せ て と動いた。

どういう事なのか全く分からず、アルネただシュリを信じることしかできない。

(クリスチャーヌ様の魔力は、いくら私でもどうすることもできない。シュリ様・・・)

アルネは祈ることしか出来なかった。使用人たちは逃げていく。







私はこの少年を知っている。どれだけ凶暴なのかも。でも同時に私は知っている。この少年にはどう対応するべきなのかを。

クリスチャーヌ・メルシアはメルシア家の長男。長男と言っても血は私と同じく繋がっていない。紫檀色の瞳は強魔力所持者の証。それがゲームでの彼の設定だ。

そして私も紫檀色の瞳。シュリ・メルシアはあのゲームで出てくる。悪役として…

そんなことはあとにして、まず自分が今どうするべきなのか思い出すしか無かった。

クリスはメルシア家に来たが、血が繋がっていないのに当主に気に入られたことをよく思っていない周りが、彼を無視し続けた。

元々無愛想な性格だった彼は人への接し方がわからなくなり、

幼い彼を相手するものはだれも居なく、1人寂しくこのメルシア邸で暮らしていた。

いつしか魔力でものを言わせるようになり、自分にさからう者は力ずくで追い出した。

シュリはクリスチャーヌに近づく、ゆっくりと。

「来るな!」

クリスチャーヌはどんどん近づいてくるシュリに怯える。手を振りかざしてもっと渦を拡大するが、シュリには効かなかった。

(効くはずがないでしょ。私もあんたと同じ紫檀色の瞳なんだから)

そしてとうとうクリスチャーヌの目の前まで来た。

すると思いも寄らぬ行動をする。

「寂しかったんだよね。大丈夫、私はあなたを1人にはしないわ。」

シュリはクリスチャーヌに抱きついて彼の頭を優しく撫でた。

すると周りの渦が消えていき、いきなりクリスチャーヌがシュリの腕の中で静かに泣き始める。

床についていたはずの彼の手がいつしかシュリの背中に手を回していた。

(やっぱりクリスは寂しがってただけだったんだ)

シュリが安堵する。







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