ストーリー思い出すの頑張ります
その日の夜。
シュリは使用人に教えてもらった自室の豪華なピンク色のカーテンとリボンやフリルがちりばめられた、いわばお姫様ベットで横になっていた。
シュリは今日の出来事を思い返す。
「クリスチャーヌ・メルシアか…」
その名を口にした途端先程シュリの腕の中で静かに泣いていた少年の姿が浮かぶ。
クリスチャーヌ・メルシアはシュリが前世でハマっていたゲームのキャラの1人だ。
そのゲー厶の名前は
「セルヴァント・ボヌール」
シュリは1度このタイトルの意味を調べたことがある。
セルヴァントはフランス語でメイド
ボヌールは幸せを意味する。
(セルヴァント・ボヌールだよなぁ、完全に)
シュリは天井を眺めながらボソリつぶやき、自身が昔していた乙女ゲーム
「セルヴァント・ボヌール」のストーリーを思い出していた。
ゲームの主人公、アリスは17歳のときにメイドとしてメルシア公爵家に勤めることになる。
そして攻略対象達に出会うのであった。
攻略対象は全部で6人おり、全員性格がひん曲がっているのがこのゲームの特徴だ。
その中の1人がクリスチャーヌ・メルシア
紫檀色の瞳、つまりは強魔力保持者ということで公爵に気に入られ、養子として迎えられる。
しかし公爵は彼にばかり構うことになり、その影響で実子である2人の子を放ってしまい、兄弟によく思われていない。そして次第に使用人やメイドなどなど屋敷にいるものは皆彼を無視し始め、彼は孤独になってしまう。
そんな彼の孤独を癒してくれたのがこのゲームの主人公、アリスだった。最初はアリスのことを信じることが出来ず、アリスに無理難題を押し付けて彼女を試すようなことをする。窓から飛び降りろ、や床に落ちた食べ物を無理やり食べさせるなど実に酷い内容ばかりである。しかもバッドエンドはもちろんトゥルーエンドでさえアリスは彼とは結ばれない運命になる場合が多く、幸せになれるのはまさに「ハッピーエンド」だけだった。
さらに、バッドエンドでは死んでしまう。ヒロインにして最悪のフラグである。
もちろん他の攻略対象とも簡単には結ばれない。
アリスは実に不運なヒロインなのだ。
そしてアリスの次に不運なのがこのゲームの悪役、
「シュリ・メルシア」
シュリはクリスチャーヌと同じメルシア家の養子で紫檀色の瞳、誰もが見惚れる絶世の美女。それだけではなく、音楽や勉学など様々なことに優れておりまさに高嶺の花のような人物だ。性格もアリスが来る前はとても穏やかで真面目、明るいとは言えないがとてもお淑やかな性格であった。
しかし小さい頃からひそかに想いをよせていたクリスチャーヌに付きまとうアリスをあまりよく思っておらず、クリスチャーヌ編では、最初は冷たい態度をとるなどだけだったが、アリスがクリスチャーヌに思いを寄せているのを知り、嫉妬で酷い嫌がらせをする。
バッドエンドでは嫉妬心からアリスを自らの手であやめてしまい、アリスの死にショックを受けて狂ったクリスチャーヌに拷問をされ死んでゆく…
他にもアリスの攻略対象との恋愛のいざこざに巻き込まれ死んでしまう事が多い。
悪役らしい運命ばかりだ。
(このままだと私もアリスちゃんも死んでしまう…なんとかしないと!!!)
ストーリーをざっと頭の中で整理したシュリは自分と自分の大好きキャラクターの運命を改めて知り、青ざめる。
(やばい、メルシア家の人達をできるだけなんとかしないと。まず、クリスは孤独にしない!あの無愛想な性格直す。
ゲームでのシュリは想いを寄せてただけで兄弟達が怖くてなんにもすることが出来なかったけど、そんなこと気にしてられる余裕はない!明日から徹底的に付きまとうわよ。覚悟しなさい!)
シュリは拳を握り気合いを入れて眠りについた。




