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聖女や攻略者と距離を置きたいので婚約者候補との関係を解消します。  作者: 九幻琴


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2/10

王太子、アウグスト殿下と婚約者候補解消ですわ

 本日は一人目の婚約候補解消の提案ですわ。


 一人目はアウグスト殿下ですの。

 王家ですから真っ先にお話ししないといけない方でしょう。

 私と同じ14歳です。我儘さや傲慢さはゲーム内より少し強くて、ちょっと子供っぽい感じですわ。

 いつも自分で何でも決めて、命令してくる方で、断られるなんて思っても居ないんですの。



「ようこそ、わが家へいらっしゃいました。」



 わが家の応接間で、赤いジャケットを羽織って、下のブラウスの第一ボタンも外して、椅子にどっかりと座り、黒いズボンに包んだ長い足を組んで、癖のある白金の髪をかき上げつつ、背もたれに体を預け、頭をそらしサファイアの瞳でこちらを見下ろしています。

 くつろいでいると言うか、とても堂々としていますわ。


 いつも主人か何かの様でしたから下僕の家とでも思っているのかもしれませんわね。


 聖女が召喚された時も、一目ぼれをした挙句、「お前は俺の女だ」って、しょっちゅう所有宣言しながら強引に連れ回しますの。

 誰に対しても命令して好きなように振り回すのかもしれませんわ。


 まあ、王家としても、殿下としても、わが家より、聖女と結婚したいはずなので、聖女が召喚されると聞けば解消するはずですし、最後だと思えば、この態度も許せますわ。



「それで用事は何だ。」


 一応お茶とお菓子は出していますが、そのまま本題に入るようです。


「婚約者候補を解消していただきたいのです。」


 なので私も直球で。


「何故だ?」


 アウグスト殿下は気だるげに首をかしげます。どうでも良さそうですわね。


「来年聖女様が召喚される確率が高いからです。」


 さっさと札を切ります。これで何とかなるはず。


「なんだと。」


 身を起こして聞き始めましたわ。


「そうなると私から聖女様に婚約を変更したい方も出ると思いましたので、婚約者候補の仕組みをなくそうと思いましたの。」


 アウグスト殿下も聖女と婚約したいのですわよね?


「ああ、お前は第2妃だな。」


 はい?


「なんですって!」


 なんで両方娶る前提なんですか。大体聖女に「妃はお前ひとりだ」っていう癖に!


「聖女が来るならば正妃は聖女だろう。良い事を聞いた。ではな。」


 そして立ち上がるとさっさと部屋を出て行きました。


「ちょっと、そんな話、おことわりですわ。」


 勝手に人を第2妃にしないで下さい!




     ◇◇◇◇◇




「……と言う事が有りましたの。」


 今は夕飯で、昼間にアウグスト殿下がいらした時の一部始終を話した所ですわ。


「第2妃だと、ありえんな。」


 お父様は苦虫をかみつぶした顔で断言しています。


「本当に、わが家を何だと思っているのかしら。」


 お母様も苦々しい顔で、声に怒りを含ませています。


「何を考えてるんだろうな。シャリア、無理を言われたら俺に言え、助けてやる。」


 お兄様頼もしいですわ。聖女が出てくれば、そっちに同じようなことを言うのですけれど。

 金の髪に翡翠の瞳の7番目の攻略者セルシオ=グリンゴルドですものね。

 

「有難うございますお兄様。聖女が正妃、私が第二妃なんてなりましたら、高位貴族令息の結婚相手を全部王家が持っていくので、兄さんの婚約者探しが余計に大変になりますしね。」


「そうだな。お前の婚約者探しはどうなっている? 家格は目を瞑るが、我が公爵家を切り盛り出来るものでなければいかんぞ。」


「こっちに飛び火か。探していますがなかなか見つかりません。」


「早めに見つけろ。シャリアとの婚約解消が成った者から婚約者探しを始める。お前の利点は今の時期だけだ。」


「はい、探します。」


 とか言ってますけれど、聖女が召喚された時点で婚約者はいませんでしたから、見つからないでしょうね。


「ねえ、シャリアねえさま。」


 弟のレリンがクリンとした若草色の瞳でこちらを見ていました。相変わらず私の癒しですわ。


「だい2ひってなんですか?」


「2番目のお妃さまってことだな。家だとお母様が正妃だ。お父様とお母様が仲良くしてるところに、新しくお妃さまになりましたって女の人が入って来るのが第2妃だな。」


 兄様が説明してくださいます。ちょっと偏っている気もしますが間違ったことは言ってませんね。


「いやです。おとうさまとおかあさまは、ふたりでなかよくしてほしいです。じゃまものはいりません。」


 ほっぺたを膨らませてレリンが怒っています。


「その邪魔者にシャリアがなれって王太子は言っているのさ。ひどいよな。」


「ひどいです。おねえさまは、じゃまものじゃありません。おねえさま、なりませんよね。」


 レリンが私に聞いて来ます。目に涙が浮かんでませんか。


「ええもちろん。邪魔者になんかなりませんわ。私は一人の人に愛し愛されたいんです。そんな人とは婚約も結婚もお断りですわ。」


「そうだな。王家には第2妃は断ると言っておこう。それに、お前の話ではまともに話は通っておるまい。明日にでも詳細を王家に伝えておく。」


「お父様、お願いします。」


 助かります。何せほとんど話をしないうちに飛び出していかれましたから。婚約者候補を解消したい事すら伝わっていないかもしれません。




 そして食事を食べ終え、部屋へ下がりました。

 

 何通かの手紙を書いてから、本日は終わりましたわ。

読んでいただき有難うございます。

もしも少しでも面白いと思っていただけましたら、

★を少しでもいただけますと、喜びます。

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