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聖女や攻略者と距離を置きたいので婚約者候補との関係を解消します。  作者: 九幻琴


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記憶が戻ったので、婚約者候補解消に乗り出しますわ

 朝起きたら前世の記憶が有りましたわ。


 長い長い夢を見て起きた気がしましたの。


 夢から覚める、うつらうつらする時間の間に気が付きましたわ。


 この世界が乙女ゲーム『ヴィゼリアの陰で花冠を掲げる』の世界であることに。


 そして私が悪役令嬢シャリア=グリンゴルドであることに。



 『ヴィゼリアの陰で花冠を掲げる』略して『ヴィゼ冠』という乙女ゲームは聖女が神殿に召喚されたところから話が始まりますの。

 召喚された聖女は『聖ヴィゼリア学園』という学校に通いますわ。

 そこで7人の攻略者と出会い、シャリアの苛めに耐えながら、3年間で卒業しますのよ。

 卒業パーティで攻略者たちとシャリアを断罪、聖女を虐めた罪で国外追放、家は没落しますわ。


 

 何故聖女を虐めたか、7人の攻略者は、シャリアの兄と、シャリアの婚約者候補なのですわ。

 その身近な7人を聖女に取られたのでシャリアは虐めたのです。



 シャリア=グリンゴルドは華やかな風貌に、翡翠の様な深い緑の瞳、豊かな金の髪にメリハリの効いた体つきの美貌の悪役令嬢ですわ。

 だからと言って美貌やわがままで6人も婚約者候補を持ったわけでは有りませんのよ。


 わが家が婚約者候補を募ったのは私が6歳のころ、王家、そして公爵、侯爵の高位貴族に10歳以下の令嬢が私一人だったのです。

 つまり、高位貴族たちの丁度良い結婚相手は私一人。下手に婚約者を決めようとすると、争いになりそうでしたわ。


 それで私の婚約者候補を広く募り、私が年頃になった時、その中から、私の望んだ者に嫁がせることにしたのですわ。持参金として国でも有数の穀倉地帯をつけてね。


 穀倉地帯が欲しい者、公爵家の嫁が欲しい者、それ以外の事情の者、上は王家から下は男爵家まで20名以上も婚約希望が殺到したそうですわ。その中から父親が選んだのが兄以外の攻略者6人でしたの。



 一人目は、アウグスト=ナリエ=アウスフィールド王太子。白金の髪にサファイアの瞳の王太子ですわ。

 理論より感情、猪突猛進、ちょっぴり俺様な王子様ですわ。

 

 二人目は、ファルコ=トミアセ侯爵子息。

 宰相の息子で時期宰相候補ですわ。青い髪にアクアマリンの瞳。冷静沈着、理論が行動原理の知性派ですわ。


 三人目は、アクテア=ドニントン侯爵子息。

 騎士団長の息子で、騎士希望ですわ。茶色い髪にアンバーの瞳。騎士道に沿う事が行動原理みたいで、既に騎士の様な人ですわ。


 四人目は、ジェレミー=オンジュ公爵子息。

 外務大臣の息子で女の敵ですわ。赤い髪にエメラルドの瞳。チャラくて女好き、毎日違う女性を口説いてますわ。


 五人目は、ハロン=シモーニュ伯爵子息。

 唯一の伯爵家からの婚約者候補で絵の天才ですわ。銀の髪にルビーの瞳。天真爛漫、絵を描く以外には興味も有りません方ですのよ。

 

 六人目は、イアン=モスコーニ公爵子息。

 普通の公爵家のお家の息子で、魔性の貴公子ですわ。黒の髪にブラックオパールの瞳、16歳。女性を無自覚に引き寄せますが、本人は無表情な女嫌いですわ。

 良く攫われそうになるので護身術は武門の家の子にも引けは取らないそうですわよ。



 この6人は聖女が召喚されると私から離れる様に、聖女に向かっていきましたわ。

 そして私は、聖女に侍る攻略者達の婚約者候補になりましたの。


 ですからその立場に立たないために、皆さんとの婚約候補の関係を終わりにしようと思います。

 万が一、残った方には聖女と関係を持たないように条件を付けさせてもらいますわ。


 そのためにも神殿と図書館に行かないと!




     ◇◇◇◇◇




 外出の後にお父様の執務室に突入ですわ。


(コンコン)「お父様私ですわ。」

「入れ」


 執務室に入りますわ。


「なんだ。」


 話は聞いてもらえそうですわ。


「私、夢を見ましたの。聖女が召喚されて、お兄様と婚約者候補たちが彼女に愛をささやいて、 家は没落、私は国外追放されますの。」


「それで?」


 夢の話は聞き流しますわよね。


「図書館と神殿に行ってきましたの。」


「ほう。」


 机に両腕を載せて手を組みましたわ。

 興味を持ってくれた印ですわ。


「そこの情報によると、聖女の召喚は周期的で、来年召喚される確率が高いのですわ。」


 図書館と神殿に残っていた資料から、召喚年を調べてみたらそうでしたの。


 「なるほど。」


「高位貴族の結婚相手の女性がもう一人出るのでしたら、今の婚約者候補の制度は悪手だと思いますの。」


「そうだな。」


 お父様が頷いて下さいましたわ。


「それで、聖女が来年召喚されそうだから、婚約者候補制度を解消。と言うのはどうでしょう。」


「そうだな。解消の際迷惑料として、婚約者を選んだ際、相手に結納として送ろうと思っていた宝石がそれぞれにある。それとある程度の現金を贈ろう。

 それで、解消に頷かなかった家が出た場合はどうする?」


「正式な婚約への条件をいくつかつけようかと思います。一人に絞る以上、その方が聖女に靡いては困りますし、実際に靡かなかったとしてもそう見える行動をとられることも困ります。私が浮気をされた婚約者の立場が嫌いと言う事で、そういった条件を付けるつもりです。また、相手にも条件は有るでしょうからそちらもつけます。

 正式には貞淑の誓いとギアスを使ってそういう事が出来ないようにしたいのです。

 それを嫌って断って下さるなら願っても居ない事ですし。」


 ある程度無理なく断りたくなる条件を付けたいのですわよね。

 あ、貞節の誓いとは神殿で誓うもので、夫婦以外が触れ合った時、みだらな思いを持っていると天罰が下るものです。最大級の誓いですと、情状酌量の余地のない状態で事に及ぼうとした場合、黒焦げになるそうですわ。

 ギアスとは「~をしてはいけない」と言う形で行動を縛って、逆らうと痛みが走る魔法ですわ。なんでも動くのも大変な痛みだとか。


「なるほどな。個人の条件が出来上がったら、儂の方へ回しなさい。家同士の条件をすり合わせよう。それから、穀倉地帯の持参金は、普通の婚約ならば、無しとする。」


 あら、これで解消への条件が増えましたわ。家同士はお父様にお任せしますわね。


「お父様、お願いしますわ。それと、全員の条件が決まりましたら、しばらく……一月ほど試用期間を設けたいのです。本当に条件を履行できるのかどうか。」


 多分、家から無理やり押し込まれている方は、履行しにくいと思いますの。


「分かった。当然お前も履行しなければいけない。それは分かっているな。それで、試用期間をクリアした者が複数いたらどうする?」


「選ぼうかと。複数と婚約は出来ませんから。それとも他に方法が?」


「わしが選ぶ。相手の話し合いで選ばせる。なども有るが、お前が選んでもいいだろう。出来ればそうならぬようにな。」


「はい、全員が辞退してくれるよう頑張りますわ。」


「よし、婚約の条件はどんなものだ?」


「それは……」


 この後、それぞれの条件を話しました。

 苦笑はされましたが許可は出ましたわ。

読んでいただき有難うございます。

もしも少しでも面白いと思っていただけましたら、

★を少しでもいただけますと、喜びます。

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