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【第1章完結!】アリアドネ・コード─少女兵たちよ人類を奪還せよ─  作者: チャハーン
第1章 アリアドネの繭

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第31話 戦士

皆さん!私は人生で初めての快挙を成し遂げました

それはなんと!連載小説を一区切り書き終えたことです!

(動きが止まった……?エレンが何かした、のか?)


 リリスは飛び上がり、エレンの元へ跳ねた。上手く状況を飲み込めなかったが、今はそんなことを気にしている余裕はない。呆然と立ち尽くすエレンの手を引っ張る。

 引き寄せるとベヒーモスから距離を取った。


「エレン、今のうちに離れるよ!」


 ベヒーモスはまだ死んだわけではない。エレンの不思議な力によって次の行動を封じられてはいたが、リリスの見立てだと一瞬固まっただけだ。すぐにでも動き出し、彼女たちを襲うだろう。

 一秒でも早くこの場所から離れ、形成を立て直す必要がある。


「エレン……エレン!」


 エレンの瞳から光が消える。先程の力の代償か、エレンの体から急速に力が抜けた。リリスは腰に手を回し片腕で体を支える。右脚のリグが火花を散らすが、それでも構わずに飛ばす。

 一瞬のうちに距離を取るとリリスは車の陰に隠れた。手元でバッテリーと弾薬の残りを数える。正面から戦うにはやや不十分だったが、エレンの力をまた借りることが出来れば話は変わってくる。


「エレン、聞こえる?」

「っ……はい。聞こえます」

「良かった。私は今からあいつを倒してくるから、調子が戻ってきたら、さっきの不思議な力みたいなのをまた発動して欲しいの」

「力……?その、私……実はあれがなんなのかわからなくて」


 リリスは一瞬考え込むと、エレンの頭を優しく撫でて微笑む。


「そっか、じゃあ見守ってて。私は強いからさ」


 リリスの言葉にはそこはかとなく自信に満ちていた。エレンはその手の温もりに、心の氷が溶けていくのを実感する。リリスは車の陰から飛び出すと、煙幕を次々と投げていく。ベヒーモスは飛んでくる煙に一瞬視界を奪われ暴れ狂う。

 その隙を逃すほどリリスは甘くない。体の下に潜り込み時限爆弾を突き刺した。爆発は見事にダメージを与え、装甲を叩きつける。体内へのダメージは計り知れない。


「こっちだ化け物!」


 リリスは壁を駆け抜けながら注意を引く。途中、地面に落ちていた武器を拾う。一般兵が使っていた銃だったが、リリスたちが使うそれと威力は大差はないようだ。

 むしろ軽すぎるため扱いづらく感じる。

 ベヒーモスがその巨体を振り回す度に、地面に落ちていた武器は吹き飛ぶ。幸運にも他の兵士が使っていた大量の武器が飛んでくる。リリスは遠慮なく受け取り、弾を撃ち尽くすと捨て、また新しい銃を贅沢に使う。


「ははっ、面白いもの見つけた」


 壊れた戦車から転がった戦車砲だ。彼女の腕とほとんど同じ太さの砲弾を手に取ると腕に抱える。傍に落ちていた手榴弾のベルトも肩に回す。


 エネルギー低下の警告音が耳に鳴り響いた。流石に飛び回りすぎたかとリリスは反省する。しかし常に動き回っていないとベヒーモスに追撃されるだろう。リリスはにやりと笑う。


「エレン!お願い!」


 リリスの合図と共に、エレンは右手を伸ばした。ベヒーモスが咄嗟にエレンの方に振り向く。車ごとエレンを吹き飛ばそうと突進する。リリスはさせまいと手榴弾を投げつけて再び注意を引いた。

 ピンを抜いた手榴弾は見事な弧を描き、ベヒーモスの瞳の真ん前で炸裂する。

 眩い閃光と共に外殻が散り散りに、ベヒーモスの動きが止まった。


 その隙をエレンは逃さなかった。瞳が白銀に輝き、彼女の周りの大気が激しく震える。エレンの叫びは瞬く間にベヒーモスの耳に入り、行動を支配した。


「……動かないで!!」


 言霊となったエレンの叫びは、まるでベヒーモスを凍りつかせたようだ。咆哮をあげようとした口が痙攣し静止する。リリスは全エネルギーを脚部に集中させベヒーモスの前に立った。

 左腕に抱えた砲弾を、迷いなく口の中に突っ込む。続けて手榴弾からピンを抜き、同様に投げ入れる。


「デザートも堪能してね!」


 リリスは急いでその場から離れるため、鼻先を力の限り強く蹴った。少し経った時、金縛りが解けたベヒーモスが再び動き出す。リリスとエレンに向かって走り出し、その肉体をぶつけようとした時だった。


 ベヒーモスの体内では、エレンの抑止力より何十倍も強い力が一瞬のうちに膨れ上がった。家々を震わせる轟音が辺りを包み込み、体を内側から粉々に破壊する。

 肉片と火炎を撒き散らしながらベヒーモスの体は爆発四散した。巨大な爆風の柱が立ち上り、一つの生命をこの場所から完全に消し去った。


「……やった、の?」


 火の粉が舞い落ちる背景を背に、力を使い果たして膝から崩れ落ちそうになったエレンをリリスが間一髪で抱き抱えた。


「あぁ、私たちが勝ったんだよ。エレン」

「良かった……です。本当に……」


 過呼吸になりながらエレンが言う。リリスは誇らしげに笑い、エレンの乱れた髪を軽くかきあげる。リリスの優しい声を聞いてエレンは安心したように小さく微笑み、そのままゆっくりと目を閉じる。


「私……リリスさんのような強い兵士に憧れてたんです。全然役に立てそうになくて……でも、でも、ようやく……」

「エレンは立派な兵士……いや、『戦士』になった。自分の意志を持って戦う、とても立派で……カッコイイよ」


「うれしい……な……」


 エレンの口元が満足気に綻んだ。極限まで張り詰めていた精神の糸が緩む。リリスの言葉という最高の賛辞を得て、リリスの腕の中に小さな重みが預けられた。

第1章はもう1話だけ続きます

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