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理香

「いらっしゃいませー、…そのままお帰り下さいませー」

「ちょ、理香さん。俺客なんですけど…」

「お前来んなよ!」

「もう少しで理香さんバイト終わりですよね」

「はぁ!?なんでお前私のバイト終わる時間知ってんだよ!」

「それは秘密です。それよりほら、俺一応客なんで席まで案内して下さいよ。理香さんのバイト終わる時間まで俺何か食べてるんで」

「…ちっ、こっちだよ」

「うわ、客に対する態度じゃないですよそれ。よくクビにならないですね」

「そりゃお前に対する態度だからな。おら、ここだ。さっさと座れ。で、注文は?」

「いや、早いっす」

「さっさと決めろ」

「えーと、じゃあミニチョコレートパフェで」

「ミニチョコレートパフェ4つだな」

「いやいや、4つは無理です。普通に1つでお願いします」

「はいはい、チョコレートパフェ1ね」

「いや、ミニでお願いします」

「チョコレートパフェ1つだな」

「なんでミニじゃないんですか。わかりましたよ、そのかわり理香さんが作って持ってきてください」

「うちにそんなサービスはねぇ」

「あと、理香さんのファミレスの制服姿似合ってます」

「うるせぇ!」


スタスタ


はぁ…あの野郎、ふざけんなよ。こっちはバイト中だっつの。つーかこんな格好見られたのがけっこう恥ずいな…。今度来やがったらおぼんでブッ叩いてやる。



あいつの対応をバイトの後輩の小牧にぶん投げ、他の仕事をこなしてバイトを上がった。店の外に出るとあいつが待ち構えていやがった。無視してさっさと歩いて家に帰る。


「ちょっと待ってくださいよ、理香さん。家に帰るんですか?」

「そうだよ。ついてきたらストーカーで訴えるぞ」

「いえ、俺も家帰るのに方向全く同じなんで」

「くそ、屁理屈言いやがって…」

「いやいや、事実なんで」


どうせ勝手についてくるんだろ。…帰り道暇だしな。会話くらいなら歩きながら付き合ってやるか…。


「お前も歩きなのか?」

「はい。理香さんが自転車乗れないの知ってるんで徒歩で来ました」

「馬鹿にしてんのか?」

「してないですよ」

「…お前こんな私のどこがいいんだよ」

「どこって…大体全部好きです。俺理香さんの鼻くそなら平気で食えます」

「は、はぁ!?鼻くそ!?なんで急に鼻くそなんだよ。どっから出てきた」

「いや、この前理香さんが中学までは鼻くそ食ってて、高校まで鼻くそほじってたって聞いたんで」

「ちょ、おま、…そんなん嘘に決まってるだろ!つーかそんなの誰に聞いたんだよ!まさか禄斗か?」

「そりゃあいつしかいないでしょ」

「あの馬鹿が言うこと簡単に信じるなよ」

「いや、あいつ常にふざけてますけど、ほとんど嘘つかないんで」

「ほ、ほとんどだろ…つく時もあるっての…」


中学まで鼻くそ食ってたのも、高校まで鼻くそほじってたのも本当だ…。当時なんかクセになってたんだ…。あの頃の私はどうかしていた。もちろん今はしてない。当時1人の時だけやるようにしてたし、あいつにそんな質問もされてないはずだ。なんであの馬鹿にバレたんだ?


「まぁ嘘でも本当でもどっちでも大丈夫です。俺はどんな理香さんでも受け入れられるんで」


こいつが私のことを好きなのは、おそらく刷り込みみたいなもんだ。禄斗とこいつが同学年な上、お互いの家が近いときたもんで、昔から家族ぐるみで交友があった。だからガキの頃から私と禄斗とこいつの3人で遊ぶことも多かった。それのせいで少し年上の私がこいつの中の変な感情を刺激してしまったんだろう。


「お前の学校共学なんだから他の可愛い女子にしろよ。女子高生良いだろ女子高生」

「いえ、理香さん以外の女子は興味ないんで。あ、すいません、理香さん女子って感じじゃないですよね」


カチン


私だって女子だっつの!鼻くそほじってようが女子は女子だろうが!腹が立ったので反撃してやる!


「お前だってガキの頃、スカートの中覗きたくてテレビの画面下から見てたんだろ。うわー、恥ずかしい」

「う…、あの野郎…誰にも言うなって釘刺したのに…でもそれ理香さんを好きになる前の話なんで問題ないです」

「なにが問題ないだ変態が!」

「俺が変態なら理香さんはどうなんですか。散々鼻くそほじった手で客に食べ物出してるんですよ」

「あほか!あれからもう何百回も手洗ってるっての!」

「あ、鼻くそほじってたの認めた」

「てめぇ!!」


バンッ!

「いたぁっ!」

思いっきりケツに蹴りをいれてやった。


「はぁ、まったくよぉ…。お互い恥の上塗りじゃねぇか。もうやめだやめ」

「俺は理香さんの蹴りくらうのも好きですよ」

「お前ドMかよ…」

「いえ、理香さんだからですよ。他のやつにされたらブチギレます。あと理香さんの泣き顔とか見たことないので泣いてるとことか見たいです」

「お前が死んだら泣いてやるよ」

「え、マジですか!?」

「そういう意味で言ったんじゃねぇよ。はあ…お前といると疲れるわ」

「俺は禄斗といると疲れます」

「それは私もだ。そういやあいつ今日なにやってんだ?」

「他のやつらとカラオケ行ってるはずです」

「そこのカラオケじゃないよな?」

「大丈夫ですよ、駅前のカラオケです。俺さっきまでそいつらと駅前で遊んでたんで」

「もしかしてその中に佐々木ってやつもいる?」

「え、理香さん佐々木知ってるんですか?」

「ああ、けっこう前に禄斗がうちに連れてきたことがあって、その時チラッと見たんだ。あのイケメン君だろ?」

「…そうですね。そのイケメン君です」

「お前じゃなくてイケメン佐々木君と付き合いたいわー」

「理香さんじゃ100パー無理です」

「なんで100パーなんだよ」

「100パーは100パーです」

「なんだ?もしかして嫉妬か?その佐々木君ってやつをイケメンなんて言ったからか?」

「違いますよ。まぁ、そんなこと言ってくる理香さんも素敵ですけど」

「お前、なんでもかんでもそういう方向に持っていくなよ…かなり気持ち悪いぞ…」

「いや、でも、俺も頑張ってるんですよ。ベースもけっこう上達してきてるし」

「確かにワムリグシャのベースのKITOYAカッコいいって言ったけどよ、お前がやってるの想像しても魅力0だぞ…」

「酷いっすよ、0ってことはないでしょ」

「お前だってさっき100パー言ってたじゃねぇか!」

「いや、まあ、すいません…。それより一応今年の文化祭で俺達のバンド、演奏する予定なんですよ」

「ボーカルいないんじゃなかったか?」

「助っ人ですけど見つかりました」

「まさか禄斗じゃないよな?」

「そんなわけないでしょ。あいつメチャクチャ音痴なの知ってますよね」

「当たり前だろ。そのくせ歌うのは好きっていうな。そういや今日もカラオケ行ってるんだったな」

「はい。あいつがいると理香さんに会いに来られないので、他のやつらを生贄に捧げました」

「生贄て」


こいつが私のことを好きなことは禄斗は知らない。そんなこと知られたら、こいつは散々禄斗におちょくられるだろう。もちろん私だって知られたくない。私だってあんなふざけた弟にいじられたくない。だからこいつは、禄斗が他のダチといる時にしか私に会いに来ない。


「お前ファミレス来る時、あいつになんて言って来たんだ?」

「用事があるから俺はカラオケパス、ってだけ」

「なら大丈夫か…お前、禄斗に私関係の質問くらってないよな?」

「されてないんで多分まだバレてないと思います」

「お前が私のことほっといてくれればいいだけなんだが」

「そんなこと言うならあいつにバラして理香さん道連れにします」

「それだけはマジでやめてくれ…バレるならせめて私が一人暮らししてからで」

「そしたら俺も理香さん家行けるんでありがたいです」

「お前に場所教えるわけねぇだろ」

「調べるんで問題ないっす」

「それマジのストーカーじゃねぇか!」

「なら一緒に住みましょう」

「うわぁ……」

「うわぁてなんすかうわぁて」

「お前と住むくらいなら禄斗と住んでる今の方がまだマシだわ…」

「でもあいつに嘘通じないせいで普段質問攻めとかくらいません?あれかなりウザくないですか?俺この前されたんですよ」

「話題変えるか黙ってりゃよかっただろ。お前もしかしてそんときにさっきのやつバレたんだろ」

「いや、そうなんですけど、理香さんが鼻くそほじってたって聞かされてテンパっちゃって」

「おい!」

「それに途中まで答えてたから黙るのも変だったし、あいつも同じことしてたもんだと勘違いして…」

「そういう時は最初から無視すりゃいいんだよ」

「あのときあまりにも暇だったんですよね…。理香さんはされたらどうしてんですか?」

「黙るかブン殴る!」

「ははははは、なるほど。俺も今度くらったらブン殴ることにします」

「ああ、殴れ殴れ。あれはマジでズルい。なんであいつって私らが嘘つくとわかるんだろうな…」

「なんでですかね…」

「………」

「………」

「たぶん私とお前だけだよな?」

「だと思います」

「………」

「………」

「とりあえず良かったな、ボーカル見つかってよ。でもどうせショボい軽音部のコピーバンドなんてたかが知れてるだろ」

「まぁ、それはそうなんですけど…でもボーカルのやつはめっちゃ歌上手いんすよ」

「へぇ。で、なんの曲やるかとか決まってんの?」

「1曲は決まってて、ワムリグシャのあのわけわからん曲です」

「あれやんのかよ…。私、あの曲の歌詞の意味全然理解できねぇんだよ…。しかもかなりマイナーな曲だろ。ワムリグシャ好きなやつでもあの曲知らないやつ多いぞ。でも音痴の禄斗が家でしょっちゅう歌ってんだよな…」

「あいつあの曲好きですからね。今日のカラオケでも絶対歌ってますよ」

「禄斗は意味全部わかってるらしいからな。お前わかる?」

「半分くらいなら…」

「なのに文化祭でやんのかよ…。それに聴いてるやつらポカーンってならないか?」

「なるでしょうけど、別にそれでいいんですよ。元々下手くその集まりですし」

「なんであの曲なんだ?」

「まぁ、ちょっといろいろあって」

「…別になんだっていいけどな。やんのはお前らだし好きにやりゃいいよ……そうだ、お前に1つ聞きたいことがあった」

「なんですか?」

「昔っからお前らお互い下の名前で呼び合ってただろ。でもけっこう前から禄斗はお前のこと夜長じゃなくて宮本って呼び始めたんだよ。またなんか始まったと思って無視してたんだけど、ずっとそのままなんだよ。あれなんでだ?」

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