小春 3
全員で机や椅子などを元に戻した後、会長から今後の生徒会の大まかな予定を知らされた。
「大体こんなもんだな。それと先程、来週の日曜日に10時から地域のゴミ拾いがあると説明したが、それぞれ昼食も用意してきてくれ。ゴミ拾いは午前中で終わるんだが、その後そのまま学校に戻り昼食を済ませたら生徒会室で今日のようにゲームをする」
「え、またやるんですか?」
「そうだよ〜コハルン。そしてみんなにはお題を考えてきてもらいます」
「菊池、まずゲーム内容を説明しないと駄目だろう」
「そうだね。コーイチよろしくぅ」
「まず答える者とお題を決める。そしてお題の4文字の言葉をルールに則り言えることが出来れば成功だ。ルールというのは最初にその言葉を2回言ったあと上2文字を2回言って下2文字を2回言う。そしてそれをもう1回繰り返す。例えばお題が『太陽』だとする。この場合
『たいようたいよう
たいたいようよう
たいようたいよう
たいたいようよう』
こう言えたら成功だ」
「たいようたいよう
たいたいようよう
たいようたいよう
たいたいようよう。
これで成功ですか? 早口言葉みたいですね。僕早口言葉苦手だから大丈夫ですかね……」
「リョー理解が早いなぁ。そしてそのお題を各自来週日曜まで考えてきてね〜」
「言い難いのだと面白いかもな。思いつかなければ別に適当な4文字でも構わないからな」
「菊池先輩、小さい『ょ』とかはどうするんですか?」
「あくまで口に出したときの4文字だからねー。『会長』はいいけど『諒太』はダメって感じかな。『コーイチ』も『なっちゃん』も大丈夫だよ」
「わかりました」
「なんで名前ばかりなんだ」
「なんとなく〜。てことでみんなよろしくね〜」
「今日はこれで解散だ。皆お疲れ」
先輩達より先に退室し藤澤君と下駄箱へ向かうことになった。
2人きりのときは毎回少し緊張してしまう。
「僕達のためって言ってたけどみんな楽しんでて良かったね」
「うん。夏実先輩とも仲良くなれたし」
「菊池先輩が1番はしゃいでたね」
「ふふふ、そうだったね。藤澤君は茜先輩のこと『菊池先輩』って呼ぶけど『茜先輩』って呼ばないの?」
「あー、それは……他の人に内緒にしてくれる?」
「う、うん」
「実はさ、母親の名前が『茜』なんだよね……」
「あー、なるほどね! たしかにそれは嫌かも」
「でしょ! これ言ったら菊池先輩に絶対からかわれるから言いたくないんだよね」
「『ほらー、リョー、お母さんですよー』とか言ってきそう」
「あはは、今の菊池先輩の真似?」
「う、うん、そう……」
「けっこう似てたよ」
「そう?」
「うん。今度本人の前でやってみたら?」
「ふふふ、どんな反応するかな?」
「どうだろうね。佐々木先輩も常盤先輩も笑ってくれそう」
「だね」
「次は佐々木先輩や常盤先輩とも一緒にやりたいよね」
「そうだね。私も佐々木先輩ともっと仲良くなりたい
な」
藤澤君と下駄箱で靴を履き替え駐輪場の方へ向かった。
私も藤澤君も自転車通学だけれど、藤澤君とは家の方向が違うので校門までしか一緒にはいられない。
でもこの短い時間が私にとってはとても幸せな時間なのだ。
「じゃあ、またね菱川さん」
「うん、またね藤澤君」
その日の夜晩御飯を家族と一緒に食べていると、テレビで動物関連の番組をやっていた
「キツツキが嘴で木を突くとき、実は人間にとっては脳震盪を起こすくらいの衝撃が脳に伝わっているんですよねぇ」
「そうなんですか!? そんな衝撃があるのにキツツキは大丈夫なんですか?」
「それはですねぇ……」
『キツツキ』
いいかもしれない。
生徒会のはなしは「ep.16 藤澤 1」に続きます。
今回のゲームに参加しなかった常盤はそこから出てきます。




