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元木 10 2回目のお題スゴロク

ということでまたまたやります。

以下順番順です。

菊池茜(2年·女·アハハ)

常盤詩音(1年·女·トッキー·あっはっは)

菱川秋陽菜(3年·女·ヒナヒナ·ふふふ)

隈坂薫(3年·男·カオルン·アッハッハ)

元木光一(2年·男·コーイチ·ハハハ)

千葉夏実(1年·女·なっちゃん·フフフ)

筑紫美冬(3年·女·ミフユン·あはは)

今作品中1番なげぇです。

「2年連続1番手ー、ほいっ」


 茜の出目は2。


『変顔

 面白ければ+1』


 茜が変顔を躊躇なく披露し+1。

 隣の千葉を確認すると笑っていたので少し安心した。

 次の常盤の出目は3。


『けん玉世界一周

 大皿まで成功+1

 小皿まで成功+2

 中皿まで成功+3

 全部成功+4』


 常盤は小皿まで成功させ+2。

 秋陽菜先輩がサイコロを振ると4が出た。


『生麦生米生卵

 3回連続で言えたら+1

 途中で噛んでも

 最後まで言い切ること』


 秋陽菜先輩が噛まずに言い切った。

 若干ゆっくり気味だったので、隈坂先輩の指摘で少し揉めるも+1。

 次の隈坂先輩の出目は1。


『たけのこ、たけのこ、

 ニョッキッキ

 ミスした人は−1、1回勝負』


 常盤と千葉は2人ともルールを把握していたのでそのままやることに。

 全員の掛け声から美冬先輩が「1ニョッキ!」で抜けた直後、茜と常盤が「「2ニョッキ!」」と被りそれぞれ−1。


「ちょっと! トッキーのせいだよ!」

「いやいや、そっちのせいでしょ。私2番目スタートってことで2ニョッキしたんですから」


 その理屈だとたけのこニョッキする度に美冬先輩が−1になるだろ。


「順番は関係ないでしょ! ていうかトッキーの方がほんの少し後出しだったからね!」

「いやいや、同時でしたよ。つまりそっちが悪い」

「なんで同時だとアタシのせいなの!?」


 2人が責任を押し付け合っているが無視してサイコロを振る。出目は5。


『なんでもいいので

 ものまねをしろ

 上手ければ+1』


 古賀先輩と越後先輩にウケたゴリラの全力ものまねをやると爆笑だったので+1。

 千葉が笑ったままサイコロを振り1を出した。


『たけのこ、たけのこ、

 ニョッキッキ

 ミスした人は−1、1回勝負』


「「1ニョッキ!」」俺と千葉が被りそれぞれ−1。

 7番手スタートの美冬先輩がサイコロを振る。出目は4。


『生麦生米生卵

 3回連続で言えたら+1

 途中で噛んでも

 最後まで言い切ること』


 美冬先輩も秋陽菜先輩の真似をして、若干ゆっくり気味に噛まずに言い切った。当然許容され+1。

 1番手の茜に戻り出目は1。


『けん玉世界一周

 大皿まで成功+1

 小皿まで成功+2

 中皿まで成功+3

 全部成功+4』


 茜は大皿まで成功し+1。かなりギリギリで。

 下手くそなのは変わっていないようだ。

 常盤の出目は3。

 

『左隣の人と

 あっち向いてホイをして

 勝った人が+1』


 常盤が秋陽菜先輩に勝ったが、秋陽菜先輩は穏やかに笑っている。今回は最後まで笑っていられるだろうか……。

 秋陽菜先輩が笑顔のままサイコロを振る。出目は3。


『好きなポーズで

 ウインクする

 可愛かったら+1』


「えーと……こんな感じかな?」


 秋陽菜先輩が両手でハートを作ってニッコリと笑いながらウインクした。


「はいはい◯◯+1+1」


 隈坂先輩が隣の秋陽菜先輩を見向きもせず雑に◯を出し、判定が出る前にサイコロを振った。出目は3。


「◯〜」茜。

「◯だな」美冬先輩。

「◯でいいんじゃないすか?」常盤。

「◯ですね」俺。

「……◯」千葉。

「なんかみんなリアクション薄くない?」


『生麦生米生卵

 3回連続で言えたら+1

 途中で噛んでも

 最後まで言い切ること』


 隈坂先輩はゆっくり言ったにも拘(かかわ)らず噛んだ。


「アハハハハ、カオルン先輩ダサ〜」

「うるせぇ!」

「隈坂先輩、今のはないっす」

「うるせぇな!」

「次俺ですね」


 出目は6。


『赤巻紙青巻紙黄巻紙

 3回連続で言えたら+1

 途中で噛んでも

 最後まで言い切ること』


 普通の早さで噛まずに言い切った。


「アハハハハ、これじゃ余計にカオルン先輩のダサさが目立ちますね〜」

「だからうるせえっての!」

「俺+1ですね。次千葉だぞ」


 千葉がサイコロを振り出目は5。


『左隣の人と

 あっち向いてホイをして

 勝った人が+1』


 千葉と美冬先輩があっち向いてホイをして、結果は千葉の勝ち。


「くそー、負けたー!」

「千葉+1ですね」

「あっはっは、チビッ子対決は千葉の勝ちっすね」

「チビッ子対決ってなんだ!」

「アッハッハ、確かにチビッ子対決だな!」

「アハハハハ」

「常盤も隈坂も茜も笑うな! くそ! 次私だな!」


 美冬先輩の出目は2。常盤、千葉と同じマスへ。


『左隣の人と

 あっち向いてホイをして

 勝った人が+1』


 今度は美冬先輩と茜があっち向いてホイ。結果は茜の勝ち。


「ミフユン先輩ありがとうございま〜す」

「くそー! なんで勝てないんだー!」


 悔しがっている美冬先輩も可愛いですよ。


「次アタシ〜。点数増えたあとなのにアタシの番〜」


 茜がゴキゲンにサイコロを振る。出目は4。


『好きなポーズで

 ウインクする

 可愛いかったら+1』


 左目の前に左手で横向きのチョキを作り「キラッ」と言いながらウインクした。

 ……なんか腹立つな。

 これは✕でいいだろう。


「✕だな」と自分が最初に判定を出した。

「だよな。俺も✕」隈坂先輩も✕で続く。

「私も✕で」常盤も✕。早くも✕がリーチ。

「えー? ◯でいいんじゃない?」秋陽菜先輩は◯。

「私も◯でいいと思うぞ」美冬先輩も◯。

「……◯で」千葉が◯を出し、結果は◯ということに。

「危なー! トッキー判定厳しいよ!」

「いやいや、さっきの菱川先輩と比べたら✕ですよ。それに男子2人も✕なんですから、私だけ責めないでくれません?」

「この2人はアタシの魅力がわかってないからね」

「私もわかりませんけど?」

「なんだとー!」

「次私っすね」


 怒る茜を無視して常盤がサイコロを振る。出目は6。


『次の自分の番が終わるまで

 空気イス

 成功で+1』


「空気イスか。ま、余計ですね。次どうぞ」


 常盤が空気イスを始めた。

 次の秋陽菜先輩の出目は3。


『左隣の人と

 腕相撲をして

 勝った人が+1』


 開始前話題に出ていたマスを踏んだ。

 秋陽菜先輩の左隣は隈坂先輩だ。


「隈坂君とか〜」

「菱川と腕相撲かよ……」

「カオルン先輩緊張して手汗びっしょりになってたりして〜」

「なってねぇっての!」

「あっちでやろっか」


 2人が場所を移動して腕相撲が始まった。

 3秒足らずで決着し秋陽菜先輩の勝ち。

 これは…………。


「えー! カオルン先輩負けてるじゃん!」

「秋陽菜勝っちゃうのかよ!」

「うわー、隈坂先輩弱いっすね」

「くそ……」

「……ねぇ隈坂く〜ん。今のは私に点数くれるためにわざと負けてくれたんだよねぇ〜?」


 さて、果たして……。


「……いや、本気でやった」


 隈坂先輩が俯(うつむ)きながらボソッと答えた。

 つまり……。


「ってことはヒナヒナ先輩マッチョ?」

「茜ちゃ〜ん、誰がマッチョなのかなぁ〜?」

「あ、いえ、なんでもないですー……」

「ほら次隈坂君だよぉ〜。早くサイコロ振ってね〜」


 隈坂先輩が落ち込みながらサイコロを振る。出目は4。

 そのマスは……。


『好きな人がいる+1

 学年も言う+2

 クラスも言う+3

 フルネーム言っちゃう+4』


「……いねぇ」


 隈坂先輩がうなだれながら再びボソッと答えた。

 ……なんかすみません。


「えー? カオルン先輩好きな人いるんじゃないんですか〜?」


 おいやめろ。


「いねぇよ……」

「……もしかしてフラれました?」


 抉(えぐ)るな。

 なんでこういうときだけ鋭いんだこいつは。


「……次行ってくれ」

「……ドンマイですよカオルン先輩」


 惨めになるからやめてやれ。


 明らかに隈坂先輩がダメージを受けているが、庇うのも怪しまれるかもしれないのでとりあえずサイコロを振る。出目は1。


『次の自分の番が終わるまで

 空気イス

 成功で+1』


 常盤に続き空気イス開始。


「千葉、次行ってくれ」


 千葉がサイコロを振る。出目は4。


『左隣の人と

 腕相撲をして

 勝った人が+1』


「またチビッ子対決っすね」

「だからそれやめろ常盤!」


 千葉と美冬先輩があっち向いてホイに続いて腕相撲で第2ラウンド開始。


「今度は負けないぞ!」


 と意気込んでいたが美冬先輩が再び負けた。


 「ふぬー!」と最後まで抵抗していた顔が非常によかったと思います。これはもう点数あげてもいいんじゃないでしょうか?


「なっちゃんにも負けるってことはミフユン先輩最弱レベルですよ〜。小学生にも負けたりして〜」

「うるさいな! 小学生相手なら勝てるわ!」

「千葉+1ですね」

「次私だな! それっ! 6だ!」


 俺と同じマスですね。

 

『次の自分の番が終わるまで

 空気イス

 成功で+1』


「空気イスか。次茜だぞ」

「アハハハハ、3人空気イスしてる〜。ほいっ……5だ。おっ!」


『次の自分の番が終わるまで

 空気イス

 成功で+1』


「アハハハハ、アタシも空気イスだ〜」

「4人同じマスですか。多いっすね。ま、私次で終わりっすけど」


 常盤がサイコロを振る。出目は1。


『サイコロが出た目の数だけ

 左隣の人から、点数を1奪う

 自分の場合は−1』


「お、けっこうラッキーなマスですね。おまけに7人なんで自滅ないし」

「トッキー、6だけは出さないでね〜」


 と茜がお願いしたが出目は6。


「ちょっと! なんでよりによって6なの!?」

「あざーす。これでやっと空気イス終わりか」

「常盤+2で茜−1だな」

「次私だね」


 秋陽菜先輩の出目は5。


『次の自分の番が終わるまで

 語尾にニャンを付ける

 成功で+1

 喋らないのはNG』


「わかったニャン。次隈坂君ニャン。はい隈坂君、サイコロだニャン」


 笑顔で隈坂先輩にサイコロを渡した。

 【あざとい】としか感想が出てこない。

 隈坂先輩がサイコロを振る。出目は1。


『たけのこ、たけのこ、

 ニョッキッキ

 ミスした人は−1、1回勝負』


 美冬先輩·茜·自分が空気イスのまま、秋陽菜先輩がニャン状態で、美冬先輩の掛け声からスタート。


「たけのこ、たけのこ、ニョッキッキ!」

「……1ニョッキ!」少し間があったが常盤が抜ける。

「2ニョッキ!」千葉も立て続けに抜ける。

「3ニョッキ!」美冬先輩が空気イスのまま抜ける。

「4ニョッキニャン」直後に秋陽菜先輩も抜ける。

「5ニョッキ!」間髪を入れずに茜も抜けるが、その勢いで空気イスをやめてしまっている。更に「あ! 被った!」と隈坂先輩が嬉しそうにゲームを止めた。


「あれ? アタシ被ってないですよ?」

「いや、菱川がニャン言ってる最中に被っただろ」


 隈坂先輩が指摘する。言われてみればそうだった気がしなくもない。

 通常は誰かが「ニョッキ」と言い終わった直後に言い始める。しかしそのせいで今回は「ニャン」と被ってしまったのだろう。いつものルールではあり得ない被り方だ。


「え!? それアウトなんですか!?」

「俺たちが1年のときにこれで筑紫と俺がアウトになったからアウト」

「えー!」

「そういえばあったなそんなこと。あのときは隈坂がニャンニャン言ってて面白かったなぁ」

「お前だって投げキッスしてただろ」


 それ見たかったんですが!

 今回踏んだらやってくれます?


「あ、あれは3年の先輩たちが、やらなきゃ私が負けたときの罰ゲームを胴上げにするって脅してきたからやっただけだ!」


 胴上げが罰ゲームでそれが脅しとは?

 もしかして高いところ怖いとかですか?

 確かに美冬先輩を胴上げしたら高く上がりそうですもんね。


「美冬の投げキッスも面白かったよねぇニャン」

「面白かったってなんだ!」

「先輩方すんませーん、私たち全然ついていけませーん」

「そ、そうだな、こういう過去話は終わってからにするか。……いや、しなくていいな」


 俺は聞きたいですけどね。


「そういえば茜ちゃ〜ん、茜ちゃんのせいで私も−1なんですけどぉ〜?」

「今のはしょうがないじゃないですか! そんなルール知りませんもん!」

「それと茜、お前空気イスも忘れてるぞ」

「あ……」

「そうだ! 菱川もニャン忘れてるぞ! 今回のは完全に言ってなかっただろ!」

「あー! ……これも茜ちゃんのせいだからねー!」

「それはヒナヒナ先輩の自己責任ですよー!」


 グダグダになり茜と秋陽菜先輩が−1ずつで空気イスとニャンも共に失敗。

 自分の番なのでサイコロを振る。出目は5。


『全員から

 バーカバーカ

 言われる−1』


 ……このマスか。


 全員から「バーカバーカ」言われ−1。

 空気イスも終了し+1で点数は変わらず。

 次の千葉の出目は3。


『サイコロが出た目の数だけ

 左隣の人から、点数を1奪う

 自分の場合は−1』


「なっちゃん2は出さないでね〜」

「そんなこと言うとまた出るんじゃないすか?」


 しかし出目は3で常盤。


「うわ、私か」

「アハハ、残念トッキーでした〜」

「……常盤さん、点数もらうね」

「はいはい、さっき菊池パイセンからもらった分やるよ」

「千葉+1で常盤−1だな」

「次私だ。それっ!」


 美冬先輩の出目は2。


『全員から

 デコピンをくらう+1』


「う、デコピンか……。私デコピンイヤなんだよな……」


 俺は優しくやってあげますから大丈夫ですよ。


「しかも空気イスのままか……」

「アタシからいきまーす!」

「よーし……来い!」


 タンッ!


「いたーー!!」


 茜のデコピンがあまりに痛かったのか、空気イスをやめてその場にうずくまってしまった。


「ふっふっふ、ミフユン先輩の空気イスを強制解除させてやったぜ!」

「菊池パイセン容赦ないっすね」

「茜ちゃんがマッチョなんじゃないのかな〜?」

「アタシマッチョじゃないですよー! ミフユン先輩のおでこが脆過ぎるだけです!」

「なら次私ね〜」

「うう、秋陽菜か……」

「いくよ〜」

「……来い!」


 タンッッッ!!!


「いたーーーー!!!!」


 明らかに茜のデコピンより痛そうなリアクションなんですが……。


「やっぱりヒナヒナ先輩……」

「私がなに〜?」

「いえ、なんでもないでーす……」


 その後俺と千葉は優しめにやったが、隈坂先輩と常盤からも痛めのデコピンをくらい、美冬先輩が撃沈した。


「うぅ……先やっててくれ……」

「アタシいきまーす。ほいっ……3だ」


『次の自分の番が終わるまで

 語尾にニャンを付ける

 成功で+1

 喋らないのはNG』


「次は失敗しないニャン! 次トッキーニャン」

「へーい」


 常盤の出目は6。


『自己紹介タイム

 好きな食べ物、嫌いな食べ物

 趣味、好きな異性のタイプ

 全部言えたら+1』


「えー、好きな食べ物は寿司、嫌いな食べ物は納豆、趣味はスポーツ観戦、好きな異性のタイプは運動得意な人すかね」

「例えば誰ニャン」

「次菱川先輩ですよー」

「無視するなニャン!」


 秋陽菜先輩がサイコロを振る。出目は1


『異性を1人選び

 愛してるゲームをする

 勝った人+1』


「隈坂く〜ん、愛してるよ〜」


 一切前置きなしで前回同様隈坂先輩をターゲットに。

 おまけに今回は隣同士なので距離も近い。


「はいはい菱川+1+1」


 やる気0ですか。

 ウインクに続いてまた見向きすらしてないじゃないですか。


「カオルン先輩少しは頑張れニャン!」

「秋陽菜先輩+1ですね」

「常盤、千葉、一応説明しておくと、去年これやったときに隈坂は秋陽菜に瞬殺されてるんだ」


 美冬先輩、おでこまだ赤いですよ。大丈夫ですか?


「おい筑紫! わざわざ説明しなくていいっての!」

「あー、なんとなくわかります。隈坂先輩こういうのザコそうっすもんね」

「うるせぇな! 菱川以外だったら勝てるっての!」


 隈坂先輩が怒りながらサイコロを振る。出目は4。


『サイコロが出た目の数だけ

 左隣の人から、点数を1奪う

 自分の場合は−1』


「よーし、いいマス来た!」

「4は出さないでニャン」


 隈坂先輩がサイコロを振ると5が出た。


「うわ、また私すか」

「悪いな常盤」

「さっきアタシを無視した罰が当たったニャン」

「次俺ですね」


 サイコロを振る。出目は4。


『4マス戻る』


 ということは……。


『全員から

 バーカバーカ

 言われる−1』


 またか……。


「アハハ、また踏んでるニャン。バーカバーカニャン」

「バーカバーカ」

「バーカバーカ」

「バーカバーカ」

「バーカバーカ」

「……バーカバーカ」

「俺−1ですね。次千葉」

「……はい」


 千葉がサイコロを振り出目は4。


『全員から

 バーカバーカ

 言われる−1』


「アハハハハ、2人連続ニャン。バーカバーカニャン」

「バーカバーカ」

「バーカバーカ」

「バーカバーカ」

「バーカバーカ」

「バーカバーカ」

「……」


 千葉の表情が一切変わらないので、なにを考えているのか正直わからない。腹を立てているようには見えないが……。


「次私だな!」


 美冬先輩がサイコロを振る。出目は3。

 くっ……『ニャン』を通過してしまった……。

 

『全員から

 バーカバーカ

 言われる−1』


「アハハハハ、3連発ニャン! バーカバーカニャン」

「バーカバーカ」

「バーカバーカ」

「バーカバーカ」

「……バーカバーカ」

「バーカバーカ、チービチービ」

「おい隈坂! 今それ関係ないだろ!」

「違いますよ隈坂先輩、筑紫先輩はミーニミーニっすよ」

「常盤! お前さっきから私の身長イジり過ぎだぞ!」

「次アタシニャン」


 茜の出目は1。


『異性を1人選び

 愛してるゲームをする

 勝った人+1』


「カオルン先輩勝負ニャン!」

「また俺かよ! クソだるい……」

「……カオルン先輩愛してるニャン」


 茜が本人の中では可愛いと思った表情や声で言ったのだろうが、俺からすれば全然そうは見えない。

 果たして隈坂先輩には効いているのか?


「……菊池、愛してるぜ」


 隈坂先輩もらしくなく真剣な顔で茜に攻撃する。

 まさか名波先輩に告白したときそんな感じでやってませんよね?


「……愛してるよ薫ニャン」

「ぶふっ!」


 隈坂先輩が噴き出した。


「お前それ卑怯だぞ! なんだよ薫ニャンって!」

「アタシの勝ちニャン〜」

「隈坂ザコだな」

「隈坂君弱いね〜」

「先輩ザコ過ぎてカモられてるっすよ」

「くっそ……」


「フフフ」と隣で千葉が笑っている。あれで笑うということは意外と笑いの沸点が低いのかもしれない。


「ニャンも終わりなんで茜+2ですね」

「ニャン続けたいニャン」

「うぜぇからやめろ!」

「次私っすね」


 常盤がサイコロを振る。出目は3。


『サイコロを振る

 1·2·3→+1

 4·5·6→−1』


 常盤が続けてサイコロを振る。出目は4。


「うわ、また−か」

「トッキー−多いね〜」

「常盤−1だな」

「次私だね」


 秋陽菜先輩の出目は4。


『誰かにデコピンを

 くらわせる

 くらわせた人から

 点数を1奪う』


「光一君、今点数どうなってる?」

「人数多いんで順位順に言いますね。1位タイが+3で茜と秋陽菜先輩、3位が+2で常盤、4位タイが+1で隈坂先輩と千葉と美冬先輩、最下位は俺で0です」

「ん〜、どうしよっかな〜? ……茜ちゃんにしよ」

「うわー! アタシかー!?」

「3位以内に入れればいいから4位を狙う手もあるけど、4位が並んでるから2位の茜ちゃんを狙いま〜す。去年のお返ししてあげるね〜」

「くそー……」


 茜が椅子に座って目を瞑りデコピンに備える。


「いくよー」

「はい!」


 タンッッッ!!!


「いったーーーい!!! ヒナヒナ先輩のデコピン痛過ぎるんですけどーーー!!! コーイチのと同じくらい痛かったんですけどーーー!!!」


 おい、それはいくらなんでも流石に盛り過ぎだろ……。


「茜ちゃ〜ん、私と光一君が同じなわけないでしょ〜? 嘘言っちゃダメだからね〜?」

「むちゃんこ痛いよーーー!!!」

「だよな茜。私もくらったからわかるぞ!」

「次隈坂君どうぞ〜」

「茜−1で秋陽菜先輩+1ですね」


 隈坂先輩がサイコロを振る。出目は6。


『自己紹介タイム

 好きな食べ物、嫌いな食べ物

 趣味、好きな異性のタイプ

 全部言えたら+1』


 好きな異性のタイプ……。


「あー、好きな食べ物はおせち料理、嫌いな食べ物は苦い野菜系全般、趣味はゲーム、好きな異性のタイプは………………あーーーーー…………白銀花凛」


 それ誰ですか?

 名波先輩と似てます?


「白銀花凛ってあのアイドルのっすか?」

「まぁ……そう……」

「へぇー、カオルン先輩あんな感じの子がタイプなんですね〜」

「あぁ……まぁ……」


 歯切れ悪過ぎません?

 もしかしてまだ引きずってます?


「それより私はおせち料理の方が気になったんだが」

「私もそっちの方が気になったかな。おせち料理って飽きない? 私元日以降は他の物食べたくなるなぁ」

「いやいや、おせち料理美味いだろ! 全然飽きねぇよ! 伊達巻とか栗きんとんとか雑煮も美味いしあんこ餅とかずんだ餅も美味いし!」

「甘い物ばっかじゃないすか。私も菱川先輩と同じく飽きます。千葉は飽きねぇ?」

「……私もおせち料理好きなので飽きません」

「だよな! おせち料理美味いよな! あれ正月しか食えないのもったいないと思うんだよ! 外食でも食えないし!」


 ものの数秒で饒舌になりましたね。


「私から話を振っておいて悪いが進めるぞ。おせち料理の話はまた今度な」

「隈坂先輩+1。次は俺ですね」


 サイコロを振る。出目は4。


 もういいっての……。


『4マス戻る』


「アハハハハ! コーイチ3連続だー!」


『全員から

 バーカバーカ

 言われる−1』


 3ターン連続で全員から「バーカバーカ」言われ−1。

 次の千葉の出目は5。


『サイコロを振る

 1·2·3→+1

 4·5·6→−1』


 千葉は5を出し−1。

 美冬先輩がサイコロを振る。出目は3。

 くそっ……『投げキッス』も通過してしまった……。


『誰かにデコピンを

 くらわせる

 くらわせた人から

 点数を1奪う』


「光一、今点数どうなってるんだ?」

「順位順で1位が+4で秋陽菜先輩、2位タイが+2で茜と常盤と隈坂先輩、5位が+1で美冬先輩、6位が0で千葉、最下位は−1で俺です」

「2位が3人いるのか……。ならトップの秋陽菜にしよう」

「えー、私じゃなくて2位の誰か狙った方がいいんじゃない?」

「さっきのデコピンのお返しだ!」

「でも美冬のデコピン全然痛くなさそう」

「なんだとー! くらわせてやるからそこに座れ!」

「はーい」


 秋陽菜先輩が椅子に座ると、美冬先輩が気合いを入れた。


「いくぞ!!」


 ペシ


 なんですか今の?

 軽くおはじき飛ばすくらいの弱さでしたが。


「今ので終わり? 全然痛くなかったけど?」

「ま、まて! 今のなし! 今のはちょっとミスって……」

「でも当たったから終わりね」

「えぇ……」


 美冬先輩がしょんぼりしている。

 しかし本気でやったところでノーダメージのような……。


「美冬先輩+1で秋陽菜先輩−1ですね」

「次アタシ〜。ほいっ!」


 茜の出目は4。


『誰かにデコピンを

 くらわせる

 くらわせた人から

 点数を1奪う』


「アタシもさっきのお返しでヒナヒナ先輩狙いま〜す」

「えー、また私なのぉ〜? そもそもさっき私が茜ちゃんにデコピンしたのは去年のお返しなのに、また私がお返しされるっておかしくないかな〜?」

「いいから座れ秋陽菜! 茜、本気のくらわせろ!」


 先程のデコピンに納得いかなかった美冬先輩が、茜を使って恨みを晴らすつもりなのだろう。


「はぁ……茜ちゃんのデコピン痛いからイヤだなぁ……」

「ヒナヒナ先輩、人のこと言えないでしょ! くらえ!」


 タンッ!


「いたーーい! もーう!」

「ふっふっふ、ミフユン先輩の仇を取ってやりましたよ!」

「よくやった茜!」

「茜+1、秋陽菜先輩−1ですね」

「次私っすね」


 常盤の出目は1。


『身長体重発表

 言う→女子+2·男子+1

 言わない→女子−1·男子−2

 嘘は私刑!!』


「身長170cm、体重60kgでーす。こんなんで+2とか超楽っすね」


 何故なら女子は普通言わないからな。


「お前初対面のときもそれ言ってたけど、よく堂々と言えるな。女子って体重言うの抵抗あるもんなんじゃねぇの?」

「私はないっすよ。身長なんか見れば大体わかるし体重も平均なんで。体重言えないやつは平均超えてんじゃないすか?」

「そうとは限らなくね?」

「常盤+2だな」

「あ、そういえばミニ会長の身長はおいくつですか?」

「言うわけないだろ! なんだミニ会長って!」

「チビッ子会長の方が良いんじゃね?」


 常盤と隈坂先輩による美冬先輩へのイジりが続く中、秋陽菜先輩が「次私の番だね〜」とサイコロを振った。出目は6。体重の話題に移るのを警戒していたのだろうか?


『右隣の人とサイコロ勝負

 出目が大きい人が+1

 引き分けは2人とも−1』


「私先に振るね」


 秋陽菜先輩の出目は5。


「5なら勝てるかなぁ〜?」

「いきまーす」


 常盤の出目は6。

 これで秋陽菜先輩はあっち向いてホイに続いて常盤に連敗。


「あざーす」

「……ふふ、また私の負けだね」


 ちょっと笑顔引きつってますよ?

 大丈夫ですか?


「常盤+1ですね」

「次俺」


 隈坂先輩の出目は4。


『身長体重発表

 言う→女子+2·男子+1

 言わない→女子−1·男子−2

 嘘は私刑!!』


「えーと、身長は171cmくらいか? で、体重はーーーーー………………52kgくらい」


 軽。


「え! 52kg!? カオルン先輩それホントですか!? 嘘はダメですからね!?」

「そうだよ隈坂君、嘘は私刑だからね!?」

「いや、本当に52くらいなんだが……」

「ホントかどうか保健室に量りに行きましょ! アタシ確認してきます!!」

「待って、私も行くわ!」

「いや、本当なんだが……」


 隈坂先輩が茜と秋陽菜先輩に強制連行され生徒会室を出ていった。


「これは少し中断だな。トイレ行きたいやつは今行ってこいよ」

「……私行ってきます」


 千葉がトイレへ行き、美冬先輩と常盤と自分の3人になった。すると常盤がとんでもないことを言い出した。


「秋陽菜先輩の体重絶対52kg超えてますね」


 おいおい……。

 こんな話をしていると、もし本人に知れたら……。


「だよな。私もそう思った。だからあんな過剰にリアクションしたんだろ」


 美冬先輩もこの話乗るんですか!?


「筋力なくて軽いから隈坂先輩は菱川先輩に腕相撲負けたんすよ。だから52kgってのは本当で、菱川先輩の方が筋力あって体重重いんすよ」


 おいおいおいおい……。

 男子の俺もいるのにそんなはっきり言うのか……。

 こいつやっぱりとんでもないな……。


「だからあんなに秋陽菜のデコピン痛いんだな、納得だ。それで確か茜の体重は光一が121ポンドって言ってたよな? あれ本当か?」

「たぶん本当ですよ。55kgってたまたま人づてに聞いたので」


 聞いたといっても、真衣の口が超軽量級なので勝手にダダ漏れしてただけですがね。


「55kgか。だから茜もあんなリアクションしてたんだな。そういえば光一、お前今日口数少ないよな? どうかしたか?」

「いえ、別にどうもしてないですよ。点数の計算間違いをしないよう注意してて会話に入っていなかっただけです。十分楽しめているので気にしないでください」


 本当はあなたの百面相を堪能してただけですが。


「そうか、ならいいが」

「ところで筑紫先輩は体重リンゴ何個分ですか?」

「それ逆に馬鹿にしてるだろ!!」

「さーせん、リンゴ何個分かは身長で聞くべきでしたね」

「だーーかーーらーー!!」


 常盤が美冬先輩をイジり倒していると千葉が戻ってきた。直後に3人も戻ってきたが、茜のテンションが明らかに低い。


「……カオルン先輩51kgだった。おまけに制服込みで51kgだった……」茜が俯きながらボソッと言った。


 あーらら。


「こんな軽いってことは筋肉全然ないから私にも腕相撲負けたんだよね〜。だから別に私が力持ちってわけじゃないってことだよね〜」秋陽菜先輩が笑顔で言った。


 いえいえ、力持ちだと思いますよ。

 俺は絶対口には出しませんがね。


「菱川先輩、もしかして体重私と同じくらいっすか?」


 なんでわざわざ聞くんだこいつは……。


「私60kgもないけどぉ〜?」


 相変わらずの笑顔攻撃ですけど、たぶんそいつには効きませんよ。


「……カオルン先輩、そんなにガリガリだからフラれるんですよ」


 おいやめろ!

 おまけになんでマジトーンで言うんだ!

 いつもどおりもっと明るく馬鹿みたいに言え!

 

「…………」


 なに落ち込んでるんですか。

 もう否定する気すらないんですか。


「……とりあえず隈坂先輩が+1で次は俺ですね」


 出目は5。ようやく脱出か。


『サイコロを振る

 1·2·3→+1

 4·5·6→−1』


 続けてサイコロを振り、出目は1で+1。

 次の千葉は2を出した。


『たけのこ、たけのこ、

 ニョッキッキ

 ミスした人は−1、1回勝負』


 秋陽菜先輩が「1ニョッキ!」千葉が「2ニョッキ!」で抜けた直後、茜と隈坂先輩と美冬先輩が「3ニョッキ!」で被り3人がそれぞれ−1。

 次の美冬先輩の出目は2。


『サイコロを振る

 1·2·3→+1

 4·5·6→−1』


 続けて美冬先輩がサイコロを振り、出目は2で+1。

 1番手の茜に戻り、ここから8巡目。

 前回は美冬先輩と古賀先輩のペアが8巡目でゴールしたが、今回はまだ誰もゴール可能な範囲にすら入っていない。

 茜の出目は5。


『校歌(1番のみ)を歌う

 +1』


 茜が前回同様生徒手帳で歌詞を確認しながら歌ったが、こちらも相変わらず下手くそ音痴のままである。


「お前去年も歌ったけど、1年間でなにも成長してねぇな」


 歌が上手い隈坂先輩からすれば聴くに堪えないレベルなのだろう。


「でも+1は+1なんで〜」

「茜+1ですね」

「次私ですね」


 常盤がサイコロを振り3を出した。


『右隣の人とサイコロ勝負

 出目が大きい人が+1

 引き分けは2人とも−1』


「私先にやりますわ」


 常盤の出目は2。


「うわ、2か」

「やったー、トッキーの番に点数ゲットだぜ〜」


 ウキウキでサイコロを振るも茜の出目は1。


「くそーーー! なんで1なんじゃい!」

「1あざーす」

「常盤+1だな」

「次私だね」


 秋陽菜先輩の出目は5。

 ようやくゴール圏内に入った。

 しかしマスは……。


『「点数ください」

 とお願いしながら

 10秒土下座+1』


「……」


 前回隈坂先輩はやりましたけど、秋陽菜先輩はやりますか? やりませんか?


「……点数くださいお願いします」


 やるんですか。

 しかも今マジトーンでしたよね?

 そこまでしてでも夏の運動部担当避けたいんですね……。


「アハハハハ、今回はヒナヒナ先輩の土下座だー!」

「菱川の土下座か。写真撮りてぇな」


 撮ってどうするんですか隈坂先輩。


「秋陽菜本気だな……」


 おそらく腕相撲もデコピンも本気でしたからね。


「土下座見ると頭踏みたくなりません?」


 なに言ってるんだ常盤!!

 お前やるなよ!!

 絶対やるなよ!!


「……フフ」


 おい千葉、隠そうとしてるが笑い声漏れてるぞ……。


「もう10秒経ったよね? はい次隈坂君だよ〜」


 切り替え早。

 もう笑顔じゃないですか。


 隈坂先輩がサイコロを振り出目は5。


『この中で

 1番タイプの人を言う

 +1』


 これは……。


「……消去法で千葉だな。おせち料理の素晴らしさもわかってるし」


 名波先輩と全然似てないですけどね。


「えー、アタシはなんでダメなんですか?」

「お前は普通にうざい」

「つまり顔は好みってことですか?」

「整形してから出直してこい」

「なんだとー! 失礼なー!」

「菊池パイセンが論外なのはいいとして」

「なんでアタシは論外なの!?」

「私と美冬先輩じゃないのはなんとなくわかりますけど、菱川先輩はどこがダメなんすか」


 だからなんでわざわざ聞くんだこいつは……。


「……見てたら大体わかるだろ」

「あー、まぁ、そっすね」

「それどういう意味かなぁ〜?」


 そういうところですよ。


「秋陽菜はクラスでは猫被ってるから男子から人気あるけど、生徒会室では本性出るからな」


 そうですね。

 全員周知済みです。


「別に私猫被ってないけど〜?」


 猫どころか仮面も被ってますよね?


「もういいだろ。元木、サイコロ振れ」


 隈坂先輩に催促されサイコロを振る。出目は5。


『2マス進む』


 つまり……。


『全員から

 ザーコザーコ

 言われる−1』


 全員から「ザーコザーコ」言われ−1。

 今のところ半分が「バーカバーカ」か「ザーコザーコ」なんだが……。

 千葉がサイコロを振り出目は2。


『右隣の人とサイコロ勝負

 出目が大きい人が+1

 引き分けは2人とも−1』


 千葉が先に振り5。

 自分は2。


「俺の負けだな。千葉+1」

「次は私だ」


 美冬先輩の出目は1。


『身長体重発表

 言う→女子+2·男子+1

 言わない→女子−1·男子−2

 嘘は私刑!!』


「……」


 どうするのだろうか? 前回は古賀先輩に任せたが……。


「……」


 かなり迷っている。


「……光一、点数教えてくれ」

「わかりました。ゴールも近いので全員がわかりやすいようようホワイトボードに書きますね」


 美冬先輩が長考している間にホワイトボードに点数を書いていく。

 順番順に茜+3、常盤+6、秋陽菜先輩+3、隈坂先輩+3、元木−1、千葉+1、美冬先輩+2、これが現在の点数。

 ホワイトボードには全員分苗字で書き、それを全員が確認する。


「トッキー1位じゃん! でもアタシも2位だ!」

「2位タイな。俺と菱川も2位タイだから3位以内は接戦だな」


 ここで美冬先輩が身長体重を言えば+2で2位に躍(おど)り出るが……。

 

「……言わない」

「あれ、言わないんすか? 3位以内入れないかもですよ?」

「言わない」

「もしかして筑紫先輩平均体重超えてます? いや、小さ過ぎて対象のデータないから平均数値取れないっすね」

「んなわけあるか!」

「お前去年『体重は言ってもいいけど身長は言いたくない』って言ってたけど、身長なんて見りゃ大体わかるだろ」

「言いたくないものは言いたくない!」

「どう見ても140cmもないっすよね」

「だよな」

「うるさーーい!! 次茜だ!」

「アタシいきまーす。単独2位に上がるぜー!」

「美冬先輩−1ですね」


 ここからはホワイトボードで点数計算をしていくことにした。

 茜の出目は1。


『右隣の人とサイコロ勝負

 出目が大きい人が+1

 引き分けは2人とも−1』


「美冬先輩勝負だー!」

「私今日はあっち向いてホイでも2回負けてるし、腕相撲でも負けてるからな! そろそろ勝つぞ!」

「アタシ先攻ー。いけっ!」


 茜の出目は6。


「ふっふっふ、これは勝ったでしょう!」

「うぅ、負けか引き分けしかないじゃないか……」

「大人しく負けてくださいよ」

「くそー……」


 しかし美冬先輩の出目も6。


「ちょっとミフユン先輩! 道連れにしないでくださいよ!」

「なに言ってるんだ! 私だって−なんだからな! それに私これで0点になっちゃったじゃないか!」

「相打ち乙」隈坂先輩ニヤッと笑う。

「美冬ありがとね〜」秋陽菜先輩嬉しそうですね。


「やばいよー! ミフユン先輩のせいで4位に落ちちゃったよー!」

「次私っすね」


 常盤の出目は5。


『「点数ください」

 とお願いしながら

 10秒土下座+1』


 これは……。


「私やりませーん」


 だよな。


「えー! ダメだよトッキー! ヒナヒナ先輩も土下座したんだからここは土下座しないと!」

「やりませんって。私1位だし点数も余裕あるんで」

「くそー! トッキーの土下座見たかったのにー!」

「菊池パイセンが土下座してるとこなら幾らでも拝見しますよ」

「やるわけないでしょー!」

「次私だね〜。ふふふ、5以上出してゴールすれば私2位だ〜。今回は勝てそう〜」秋陽菜先輩が笑顔の中「菱川ー、上がっていいぞー」と現在3位の隈坂先輩も後押しする。「ダメー! 上がらないでー!」と茜が叫び「くそぅ、今回は負けかもな……」と美冬先輩は敗勢を受け入れている。さて、どうなるか。


 ゴキゲンな秋陽菜先輩が3位以内に入れる大チャンスの状況でサイコロを振る。しかし出目は2。


『サイコロを振る

 1·2·3→+2

 4·5·6→−2』


 因縁のマスが来ましたね。


「ここかぁ……」


 笑顔のまま秋陽菜先輩がサイコロを振る。


 6。


「…………」笑顔消えて素の顔に戻ってますよー。

「アッハッハ、菱川残念!」隈坂先輩今日1のゲスい顔。

「よーし! アタシ3位だー!」茜は浮上。

「まだわからないよね〜?」あ、笑顔復活ですか?


 次の隈坂先輩の出目は4。


『自分以外の誰かを

 1人選び+1』


 隈坂先輩がホワイトボードを確認し、他の皆も点数を確認する。

 茜+2、常盤+6、秋陽菜先輩+1、隈坂先輩+3、俺−1、千葉+1、美冬先輩0。

 隈坂先輩が迷っていると、女子3人によるアピールタイムが始まった。


「カオルン先輩、前アタシと同じチームだったんですから点数恵んでください! お願いします!」


 頭を下げた茜。


「隈坂君、私点数欲しいな〜。ダメ?」


 甘えた秋陽菜先輩。


「隈坂、私0点だから点数くれ! その代わり次の生徒会室の掃除当番代わってやるから!」


 交換条件を出した美冬先輩。

 

 必死ですね。

 1年の2人なんか一切欲しがってませんよ?


「うわー、上級生のくせにみっともないっすね」


 ほら、言われてますよ。


「……最下位の元木で」


 俺ですか?


「ありがとうございます」

「えー! なんでよりによってコーイチなんですか!?」

「ビリだからだっての。消去法だ消去法」

「でもコーイチと隈坂先輩は同じ男子なんだから、コーイチに点数あげるのマズくないですか!?」

「あ、忘れてた。ま、いいや元木で。1点あげても俺と3点差あるし」

「わかりました。俺+1ですね」

「ちぇー、アタシがそのマス踏んでもカオルン先輩には点数あげませんからねー」

「次6出さなきゃ踏めねぇだろ」


 自分の番なのでサイコロを振る。出目は5。

 前回誰も踏まなかったマスだ。


『ギャンブルタイム

 サイコロを3回振る

 1回目の出目の分だけ右隣の人から

 2回目の出目の分だけ点数を

 3回目1·2·3→+、4·5·6→−』


 ギャンブルとは書いてあるが、人数が7人なので踏んだ本人が対象にならないなんとも皮肉なマスだ。


「うげ、元木そのマス踏んだか……」


 隣の隈坂先輩が嫌そうなリアクションをした。確かに現在2位の隈坂先輩からすれば踏んでほしくはないだろう。


「1位のトッキーを−にしちゃえー!」

「そんなこと言ってると自分が−になるんじゃないすか?」


 これで美冬先輩の点数を+できればかなり喜んでもらえるのではないか? しかし逆に−で怒られる可能性もある……。そんなことを考えながらサイコロを振った。1回目の出目は3。つまり対象は……常盤か。


「うわ、私すか。なんでよりによって」

「ホントにトッキーじゃん! やっぱり土下座しておいた方がよかったんじゃない?」

「よーし! 常盤なら+でも−でも俺セーフだな!」


 隈坂先輩が一安心する中、2回目を振る。出目は6。


「6ですか。私0点か12点すね」

「いけコーイチ! 4か5か6出しちゃえー!」

「ふふふ、−出ちゃうかもねぇ〜」

「元木、大きい目出していいぞー」

「そうだそうだ! 人の身長イジるやつにはお仕置きだ!」


 野次が飛ぶ中、3回目を振る。出目は1。


「あざーす」

「ちょっとコーイチ! ここは4か5か6出す流れでしょうが!」

「無茶言うな」

「やっぱ土下座しなくて正解だったなー。しかも私12点で独走っすね」


 これで常盤の3位以内がほぼ確定した。

 しかし残った2枠はまだまだ全然わからない。

 千葉がサイコロを振る。出目は1。


『2マス進む』


 つまり


『全員から

 ザーコザーコ

 言われる−1』


 千葉が全員から「ザーコザーコ」言われ−1。だが相変わらず表情が全く変わらない。

 次の美冬先輩の出目は3。


『右隣の人とサイコロ勝負

 出目が大きい人が+1

 引き分けは2人とも−1』


「今度こそ勝つぞ!」

「チビッ子対決3回戦っすね」

「それもういいっての!」


 先に美冬先輩がサイコロを振り出目は3。

 続けて千葉もサイコロを振る。出目は2。


「ようやく勝ったー!」

「なっちゃんドンマイ!」

「3と2なんでミニで勝ちっすね」

「なんでもかんでもこじつけて私の身長をイジるな!!」

「美冬先輩+1ですね」

「次アタシー」


 菊池の出目は6。


『自分以外の誰かを

 1人選び+1』


「えー、誰にしよっかなー? 当然カオルン先輩にはあげないとしてー」

「ちっ……」


 現在点数は茜+2、常盤+12、秋陽菜先輩+1、隈坂先輩+3、俺0、千葉0、美冬先輩+1。

 そして茜、常盤、秋陽菜先輩、隈坂先輩、俺も含め5人が現在ゴール圏内なので、この1点が明暗を分ける可能性も十分ある。


「茜ちゃ〜ん、私に点数くれたらさっきのデコピン許してあげるよぉ〜。それにさっき茜ちゃんのせいでたけのこニョッキ被ったんだから、それのお詫びも必要だと思わないかな〜?」

「茜、さっきあっち向いてホイで負けてあげたんだから私に点数くれ! あと掃除当番も代わってやるぞ!」


 くれくれまたですか。


「えー……これ誰にあげてもアタシ危ないよねー……ならトッキーに1点あげる。有り難く受け取るが良い」

「あ、私っすか? あざーす」

「ちょっと茜ちゃん! あのデコピンのお返し覚えててよね!」

「デコピンマスもうないんで〜。トッキー5以上出して上がっちゃえー!」

「常盤ー、上がっていいぞー」


 3位圏内の茜と隈坂先輩に後押しされながら常盤がサイコロを振る。しかし出目は3でゴールできず。更にマスは……。


『ギャンブルタイム

 サイコロを3回振る

 1回目の出目の分だけ右隣の人から

 2回目の出目の分だけ点数を

 3回目1·2·3→+、4·5·6→−』


「うわ、またそこかよ……。さっさと上がっていいってのに……」

「そうだよトッキー、よりによってそんなマス踏まないでよ!」

「いやいや1位の私がすみませんね。しかしこれは楽しくてウキウキしますなー」


 だろうな。

 出目次第で他6人の2位浮上も最下位転落もあり得る上に、サイコロを振るのが1位独走中でギャンブル対象になってないお前自身なんだからな。


「1回目いきまーす」


 1。


 つまり対象は茜。


「アタシかー!」

「2回目いきまーす」


 4。


 これは完全に3回目で茜の運命が決まる。


「トッキー! 絶対に1か2か3出してよねー!」

「常盤さ〜ん、大きい目出していいからね〜」

「常盤、茜沈めていいぞ!」

「そうだー、うぜぇから−に沈めろー」


 茜を沈めろと、再び3年の3人が野次を飛ばす。

 対象が千葉だったらこうはなっていないはずだ。


「3回目いきまーす」


 4。


 茜終了。


「ちょっとーーー!!! さっき1点あげたのに、そのお返しが−4点っておかしいでしょーーー!!!」

「アッハッハ、菊池終わったなー!」

「茜ちゃん、罰が当たったんだよ。ふふふ」

「あはははは! 茜最下位だな!」


 上級生の皆さん楽しそうですねー。


「恩を仇で返すなんて酷過ぎるよーーー!!!」

「なに言ってんすか。既に12点持ってた私に恩着せがましく1点ぽっち寄越す先輩には−4点返して差し上げるのが妥当ってもんでしょ」

「そんな妥当聞いたことないわ!!!」

「フフフフフ」


 千葉も楽しそうだな。

 よかったよかった。


「茜−4。つまり現在−2点で最下位だな」

「くそーーー!!!」

「やった〜! これで私が3以上出してゴールすれば3位だ〜。常盤さんありがと〜」

「いえいえ」

「3以上出て。お願い!」


 秋陽菜先輩が再び大チャンスを迎えた。

 念を込めてからサイコロを振る。


「えいっ!」


 2。


 この人のサイコロ運死んでるな……。


『スタートに戻る

 −3』


 ご愁傷様です。


「なんでぇぇーー…………」


 秋陽菜先輩が膝から崩れ落ちた。


「ヒナヒナ先輩、アタシに罰が当たったとか言うから罰が当たったんですよ」


 お前も言ってたもんな。


「アッハッハ、菱川も脱落ー!」隈坂先輩ゲス顔再び。

「私3位浮上だー!」美冬先輩おめでとうございます。


 秋陽菜先輩が意気消沈してうなだれてしまった。

 誰も10円玉を動かさないので、千葉が一応2マス進めてからスタートに10円玉を戻した。


「よっし、俺だな! もう上がるぞ!」

「隈坂、4以上だぞー!」

「カオルン先輩もう1回ギャンブル踏んでー!」


 茜の願いも虚しく、隈坂先輩が5を出してゴール。


『ゴール

 +1』


 最終順位は1位常盤+13、2位隈坂先輩+4、3位美冬先輩+1、4位タイで千葉と俺が0、最下位は茜と秋陽菜先輩で−2。


「よっし!」

「やったな!」

「私断トツー」


 隈坂先輩と常盤がハイタッチし美冬先輩がそれに加われずにおちょくられている中、秋陽菜先輩は「私土下座までしたのに……なんで……なんで……そうよ、このサイコロのせいよ……」とサイコロを呪うかのように独り言をブツブツ呟いている。


 ……怖いんでやめてもらえます?


「おい! 手を降ろせ! ハイタッチできないだろ!」

「なに言ってんすか。高い位置でやるからハイタッチなんですよ」

「だよな」

「なんで勝ったのに最後まで遊ばれなきゃいけないんだ!」

「つーことで夏は俺と常盤と筑紫が文化部、他4人は運動部よろしくー」

「それ私が言うやつ!!」

菊池茜(中微強)

常盤詩音(大)

菱川秋陽菜(中強)

隈坂薫(中軽弱)

元木光一(大強)

千葉夏実(小)

筑紫美冬(極小弱)

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