元木 4 お題スゴロクチーム戦
ということでお題スゴロク再びです。
時系列的にはこちらが先ですが、ep.7小春2では踏まれなかったマスも出てきます。
同じアルファベット同士がペアです。
A菊池茜(1年·女·あだ名·アハハ)
A隈坂薫(2年·男·だるい·カオルン·アッハッハ)
B越後京華(3年·女·眼鏡副会長·キョンキョン·フフッ)
B元木光一(1年·男·カモフラ·コーイチ·ハハハ)
C菱川秋陽菜(2年·女·微笑·ヒナヒナ·ふふふ)
C但馬長次郎(3年·男·デカ雑用要員·マッチョ·ハハハ)
D筑紫美冬(2年·女·ミニ·ミフユン·あはは)
D古賀雪成(3年·男·威厳無会長·ユッキー·ははは)
但馬と元木がハハハで同じですね……。
こちらもゲーム開始から終了までなので長いです。
「点数係は私がやるわ」
「そう? なら越後にお願いするね」
「ええ。だから計算しやすいように私たちを正面にして。その代わりマスの内容は元木がその都度読み上げるから」
「そうだね、そうしようか。元木、お願いするね」
「わかりました」
越後先輩が自ら点数係を引き受けた。
流石に点数の操作はしないと思うが、それでもそれぞれの点数状況の確認をしながらゲームを進められるのはやりやすい。
先程の順番決めのときといい、越後先輩の強かさが際立つ。これはかなり頼りになる先輩かもしれない。
2人1組なので女子が1周してから男子が1周することになった。
茜→越後先輩→秋陽菜先輩→美冬先輩→
隈坂先輩→元木→但馬先輩→古賀先輩→
この順番で時計回りに進めていくため、わかりやすいようそれぞれ場所を移動した。
美古
但机机茜
秋机机隈
元越
まずは茜からのスタートだ。
茜がサイコロを振ると3が出たので1円玉を3マス進める。
『けん玉世界一周
大皿まで成功+1
小皿まで成功+2
中皿まで成功+3
全部成功+4』
「けん玉ね、はい茜」
古賀先輩が背後に置いていたダンボールの中からけん玉を取り出し茜に渡した。
「よし、ラッキーマスだ! ナイス菊池!」
「いきますね〜、ほいっ!」
玉は大皿に乗らずに落ちた。
「おいぃー! 下手くそー!」
「あー……ごめんなさいカオルン先輩」
「せめて1点は取れよぉー!」
「次私ね」
越後先輩がサイコロを振ると2が出たので10円玉を2マス進める。
『変顔
面白ければ+1』
……これはどうするのだろうか?
越後先輩が変顔なぞ到底やるとは思えないが……。
「…………元木、任せたわ」
俺?
「ちょ、それアリなんですか!?」と隈坂先輩が驚きながら反応すると「当然アリでしょ。これはチーム戦なんだから」さも当たり前のルールだと言わんばかりに越後先輩が返した。
「えぇー……」隈坂先輩は納得いかないようだ。
「まぁ、アリでいいんじゃない?」と古賀先輩。
「私もアリでいいと思います」美冬先輩も続く。
「私もアリでいいと思いますけど」秋陽菜先輩も。
アリ派が4票入った。越後先輩と同じチームの自分も含めると5票なので可決したも同然か。
「ならアリってことで進めよっか。チーム戦は始めてだし臨機応変にやっていこう」
「だったらけん玉俺がやればよかった……」
「ドンマイですよカオルン先輩」
「それお前が言うなよ……」
「ってことで元木、変顔お願い」
「わかりました」
当然断れるわけもないので、後ろを向き変顔の用意をする。変顔は得意なのでそこは問題ない。だが美冬先輩の目の前でやるのはどうなのか? しかしふざけたり馬鹿なことをするのが好きな素の自分を隠したまま相手と親しくなるのもどうかと思ったので、思い切ってやることにした。そもそも茜がいるのだから取り繕う方が違和感があるだろう。
ということで変顔を披露した。
結果、茜と但馬先輩以外にはウケた。
何故か但馬先輩はポカーンとしていた。
「フフッ、これは+1ね」
「次私ですね」
秋陽菜先輩がサイコロを振ると1が出たので100円玉を1マス進める。
『たけのこ、たけのこ、
ニョッキッキ
ミスした人は−1、1回勝負』
「なんだそりゃ?」
「え、但馬たけのこたけのこニョッキッキ知らないの?」
「知らん」
「元木と茜は知ってる?」
「はい、知ってます」
「アタシも知ってます」
「なら但馬にルール説明するからみんな少し待ってて」
古賀先輩と秋陽菜先輩が但馬先輩にルールを説明していると、再び越後先輩が小声で話しかけてきた。
「作戦伝えるわ。早く抜けても+にならないし、全員で8人もいるからかなり被りやすいはず。だから私もあなたも最後までニョッキしない。いいわね?」
「わかりました」
少し待っていると但馬先輩へのルール説明が終わったが、始める直前に秋陽菜先輩が但馬先輩に耳打ちをした。なにか作戦を伝えたのだろう。
「じゃ、始めよっか。たけのこ、たけのこ、ニョッキッキ!」
「1ニョッキ!」すぐさま茜が抜ける。
「2ニョッキ!」間髪入れずに古賀先輩も抜ける。
「……3ニョッキ!」少し間を置いてから隈坂先輩。
「4ニョッキ!」菱川先輩も抜ける。
「5ニョッキ!!」立て続けに但馬先輩も抜ける。両手が揃っておらずきちんと上まで上げていなかったが、掛け声は大声だったのでセーフだろう。
「6ニョッキ!」美冬先輩も抜けたが、可愛いとしか感想が出てこない。
……。
これ負け確だな……。
待っていても結果は変わらないので7ニョッキする。
「7ニョ」「7ニョッキ」
越後先輩と被ってしまった……。
これは……。
「あ! 2人被った!」古賀先輩が指摘してきた。
「そこ同じチームですよね? なら−2?」と美冬先輩。
「だよな! −2ですよ!」隈坂先輩も。
「アタシもそう思いま〜す」茜も続く。
「私も同意見です」更に秋陽菜先輩も。
但馬先輩以外に−2だと攻め立てられた。
これで反論は流石に……。
「……そうね、私たちが−2ね」
どうやら受け入れるようだ。
「はぁ……なんであんた7ニョッキしたのよ……」
えぇー!!
俺が悪いのか!?
後出しで被ってきたのそっちでしょうに!!
「……すみません」
とりあえず謝ったが越後先輩の指示に従った結果がこれか……。
そして菱川先輩は但馬先輩に「私が抜けたらすぐあとに続いて」とでも言ったのだろう。
完全に明暗が分かれてしまった……。
「次私ですよね」
美冬先輩がサイコロを振ると5が出たので500円玉を5マス進める。
『なんでもいいので
ものまねをしろ
上手ければ+1』
「ユッキー先輩、これ誰が判定するんですか?」
「本人以外全員だよ。7人中4人が上手いと判定すれば+1だね」
美冬先輩のものまねか。
なにをするのだろうか?
非常に楽しみだ。
「私ものまねとかやったことないので古賀先輩お願いします」
……そうか。
そのルールがあるのか……。
そしてこのルールを最初に使ったのは……。
……。
「えーと……ニワトリのものまねしま〜す。コケー! コッコッコッコ、コケー!」
「全然ダメね、✕」
ちょ……越後先輩判定早過ぎませんか?
普通もう少し聞くでしょうに……。
そんなことを思った瞬間背中をトントンと叩かれた。判定を✕にしろということだろう。
「駄目ですね。少し羞恥心が見られます」
「えぇー! 元木も!? 判定厳しくない!?」
「私は◯です!」
同じチームの美冬先輩は当然はそうだろう。
他はどうなるか。
「ちょっと手抜いてますよね、✕で」隈坂先輩。
「私は◯でいいと思いますよ」秋陽菜先輩。
「アタシも◯で〜」茜。
「似てねぇ、✕!」但馬先輩。
結果◯3票、✕4票になった。
「えぇ……ごめん筑紫……」
「古賀先輩は悪くないですよ! 判定が厳し過ぎるだけです!」
「次俺ですよね」
隈坂先輩がサイコロを振ると5が出たので1円玉を5マス進める。
『好きな人がいる+1
学年も言う+2
クラスも言う+3
フルネーム言っちゃう+4』
「いないんで進めてくださーい」
「えー? カオルン先輩それホントですかー? ホントはいるんじゃないですかー?」
「なんで味方のお前がしつこく聞いてくんだよ! 本当にいないっての!」
「ホントのホントですかー?」
「うぜぇ! ほら次元木!」
「はい」
隈坂先輩に催促されたのでサイコロを振ると5が出た。10円玉を5マス進める。
『好きなポーズで
ウインクする
可愛かったら+1』
……これは俺では無理だろう。
「……越後先輩お願いします」
「は? 私イヤよ」
「でも俺じゃ点もらえないですよ。それに俺がさっき変顔やったんですからお願いします」
「無理」
「そこをなんとか」
「無理なものは無理」
……この先輩本気で勝つ気あるのか?
「そもそも私ウインクできないし」
……嘘臭過ぎる。
「コーイチがやったら?」
「……ああ」
一応やってみたが笑われただけだった。
そして但馬先輩からは「お前、よくやるなぁ……」と呆れられた。
「次俺だな」
但馬先輩がサイコロを振ると6が出たので100円玉を6マス進める。
『好きなポーズで
ウインクする
可愛かったら+1』
「菱川頼む」
「えーと……こんな感じかな?」
秋陽菜先輩がニッコリと笑いながら顔の横にピースを作ってウインクした。
これは◯だろう。
こちらの先輩とは雲泥の差が出た。
「ヒナヒナ先輩可愛いー!」茜は◯。
「こんなん◯に決まってるでしょ……」隈坂先輩も◯。
「これは◯だよね」古賀先輩も◯。
「秋陽菜はそういうの抵抗無くできるからいいよなぁ……」美冬先輩はそう言いながら◯を出したが、正直自分は美冬先輩にやってもらいたい。
次の古賀先輩が2を出すことを祈る。
「◯ね」
◯の過半数が決定した途端に越後先輩が◯を出した。
なので自分も正直に◯を出す。
「俺も◯です」
「私たち+1ですね。次古賀先輩です」
「はいよ〜、ほいっ」
古賀先輩がサイコロを振ると6が出た。
くっ……。
『赤巻紙青巻紙黄巻紙
3回連続で言えたら+1
途中で噛んでも
最後まで言い切ること』
「あかまきがみあおまきがみきまきがみ、
あかまきがみあおまきがみきまきがみ、
あかまきがみあおまきがみきまきがみ。よーし!」
「ナイスです古賀先輩!」
「筑紫·古賀ペア+1ね」
越後先輩があっさり認めた。
これは指摘の仕様がなかったらしい。
「これで1周したね。次茜だよ」
「は〜い。ほいっ……6だ!」
『全員から
デコピンをくらう+1』
「えー! 全員から!? 男子もですか?」
「まぁ全員だからね。でも男子は手加減しよっか」
ということで1人ずつデコピンをすることになったが、何故か茜は目を瞑って待機している。この前ジェンガを崩してくらっていたときもそうしていた。
美冬先輩、秋陽菜先輩、越後先輩が順番にデコピンをくらわせ、古賀先輩も左手の小指でデコピンをした。但馬先輩が明らかに弱くやったあと自分の番が来た。
「次俺な」
「コーイチかー」
「くらえ!」
タンッッッ
「いったーーーい!!! ちょっとコーイチ!! 本気でやったでしょ!!」
「ハハハハハ!」
「先輩たち弱くやってくれたのにー!」
「俺がお前に手加減するわけないだろ」
「くそーー!! 覚えてろよーー!! これで終わりですよね! 次行きましょう!」
「いや、次俺のデコピンの番」
「あれ!? カオルン先輩味方ですよね!?」
「いやいや、『全員』だから一応俺も。ほら座れ」
「えー! 優しくやってくださいよ?」
「わかってるって」
タンッッ
「いたーー!! なんでー!? 味方なのにー!?」
「さっきうざかったからお返しだ」
「くそーー!!」
「フフッ、茜·隈坂ペア+1。次私ね」
越後先輩が3を出したので3マス進む。
『左隣の人と
腕相撲をして
勝った人が+1』
越後先輩の左隣は正確には自分なのだが、この場合は当然左隣のチームだろう。となると越後先輩対秋陽菜先輩か?
「……元木、あなたがやりなさい」
「またですか!?」
「ちょっと待て! 元木がやるなら当然相手は菱川じゃなくて俺だよな!?」
「……まぁ、流石にそれはしょうがないわね」
「だよな、ならいい。元木、勝負だ!」
「待ってください。俺も腕相撲には自信がありますけど、流石に但馬先輩には敵わないと思います。越後先輩が秋陽菜先輩とやった方が勝算ありますよ」
「私去年これで菱川と腕相撲して全然歯が立たずに負けてるのよ。この子こんなフワフワ可愛い雰囲気出してるけど意外と力強いの」
「ちょっと越後先輩、私別に力強くないですよぉ。越後先輩が非力過ぎるだけですから」
「違うわ。私が普通であなたが力持ちなのよ」
「そんなことないですよぉ」
秋陽菜先輩がニッコリと笑いながら反論しているが、逆にそれが何故か恐ろしく感じる……。この状態は早めに止めたほうがいいだろう……。
「わかりました、俺がやります」
と引き受けたが但馬先輩に瞬殺された。
「ハハハハハ、俺の圧勝だ!」
「参りました……。但馬先輩強いですね。これでも俺同級生相手にはほとんど負けたことないんですよ」
「ま、相手が悪かったな」
「……菱川·但馬ペア+1ね」
「点数ありがとうございます越後先輩。次私ですね」
秋陽菜先輩が越後先輩に笑顔でお礼を言いつつサイコロを振る。5だ。
『次の自分の番が終わるまで
空気イス
成功で1』
「但馬先輩、お願いしてもいいですか?」
「ああ」
「ありがとうございます」
「別にあなたでもできると思うけど?」
何故わざわざ喧嘩を売るんだこの先輩は……。
「でもこういうのは男の子の方が得意ですよね〜?」
「おい、それより『次の自分の番』ってのは俺か? 菱川か?」
但馬先輩が話題を変えた。
ナイスとしか言いようがない。
「えーと……マスを踏んだのは菱川だし、次の菱川の番の終わりまでにしない?」と古賀先輩。
「そうですね! そうしましょう!」美冬先輩も賛成する。
「アタシも賛成で〜す!」茜も。
「俺もでーす」隈坂先輩も続く。
どうやら空気を変えたいのは自分だけではないらしい。
皆先程までよりも大きな声で発言していく。
「俺もそれでいいと思います」
「ならそういうことで〜。次筑紫だね」
「はい!」
美冬先輩が4を出した。
いや、出してくれた!!
『次の自分の番が終わるまで
語尾にニャンを付ける
成功で+1
喋らないのはNG』
ありがとうござます、ありがとうございます。
……まさか古賀先輩には任せませんよね?
「う……わかったニャン……。次隈坂だニャン……」
よーーーし!!!
サービスタイム突入だーーー!!!
「アハハハハ、ミフユン先輩照れててカワイイー!」
同意、
同感、
そのとおり。
俺が言えない分お前が言え。
「茜うるさいニャン!」
「ふふ、怒ってる美冬可愛い〜」
「秋陽菜もうるさいニャン!」
そんなやり取りをしている間に隈坂先輩が6を出していた。
『誰かにデコピンを
くらわせる
くらわせた人から
点数を1奪う』
「おっ! ラッキー! 越後先輩、今点数どうなってますか?」
「茜·隈坂ペアが+1、私たちが−1、菱川·但馬ペアが+2で空気イス中、筑紫·古賀ペアが+1でニャンしてるわね」
ニャンしてる。
「なら菱川と但馬先輩ペアから奪うか」
「そうですね〜」
「ああ? 隈坂お前、俺にデコピンすんのか?」
「あ…………菊池、お前が菱川にデコピンしろ」
「了解〜」
「えぇ……私かぁ……」
隈坂先輩が但馬先輩にビビったため茜が秋陽菜先輩にデコピンをすることになったが、茜がやるからか但馬先輩はそれ以上は脅さなかった。
「いきますよー!」
「うん」
「くらえー!」
タンッ
「いたーい! 私この前もさっきも茜ちゃんに優しくやったのに!」
「ふっふっふ、ヒナヒナ先輩、それはそれ、これはこれですよ」
「もーう!」
越後先輩はざまぁみろとでも思っているのだろうか?
「茜容赦ないニャン」
「次私が茜ちゃんにデコピンするとき本気でやるからね!」
「ヒナヒナ先輩のデコピンなんて怖くないですよ〜」
そういえば先程秋陽菜先輩は越後先輩に対して非力過ぎると言っていたが、この前但馬先輩にくらわせたあの威力を見るにとても非力だとは思えない。ということは……。
「茜·隈坂ペア+1で菱川·但馬ペア−1ね。次元木よ」
「はい」
出目は3。
『サイコロが出た目の数だけ
左隣の人から、点数を1奪う
自分の場合は−1』
「また点数移動のマスニャン」
「これは2が出たら但馬先輩からではなく美冬先輩と古賀先輩のペアからということですよね?」
「うん、チーム戦だから8人じゃなくて4人と考えてやるべきだね。だから1·5なら菱川·但馬から、2·6なら俺たち、3なら茜·隈坂から、4なら元木たちが−1。それでいいよね?」
「はい、私もそれでいいと思いますニャン」
「そうね、そうしましょう」
越後先輩も賛成した。もし8人と考えるのであれば自滅はないのだが、これも反論の余地はない。
「では振りますね」
サイコロを振ると2が出た。
「うわぁ、俺たちか……」
「−1ニャン……」
背中をトントンと叩かれた。
よくやった! ということだろう。
「フフッ、私たちが+1、筑紫·古賀ペアが−1ね」
「次俺だな。菱川、サイコロ取ってくれ」
「はい」
空気イスをしている但馬先輩はその場から動かずに、秋陽菜先輩がサイコロを渡した。出目は4だ。
『異性を1人選び
愛してるゲームをする
勝った人+1』
「おい、愛してるゲームってなんだ?」
「但馬先輩、私に任せてください」
「あ? ああ、任せる」
「隈坂君、私と愛してるゲームしましょ」
「お、俺ぇーー!!」
「隈坂君、愛してるよ」
隈坂先輩の動揺を無視し、速攻で愛してるゲームが始まった。秋陽菜先輩がニッコリと笑いかける。
「あ、あい……あ……あ……あぁーーー!!! こんなん勝てるわけないでしょ!!!」
「ふふ、私の勝ちね」
「ちょっとカオルン先輩! なに秒殺されてるんですかー! ちょっとは粘ってくださいよ!」
「無理に決まってるだろ! 菱川相手にこんなん勝てるやつなんかほとんどいねーよ!」
「隈坂ザコ過ぎニャン」
「うるせー! お前相手なら負ける気しねぇっての!」
「なんだとーー!! ……ニャン」
「おい! 今のアウトだろ! ニャン付けるの遅かったぞ! 越後先輩どう思います!?」
「確かにアウトっぽかったわね」
背中をトントンと叩かれる。
しかしサービスタイムを終わらせるわけにはいかない。
これはどうするか……。
「私はセーフだと思いますよぉ」
そうですよね!
秋陽菜先輩は越後先輩と逆意見ですよね!
ありがとうございます!
「アタシもセーフだと思いま〜す」
ナイスだ茜ー!
「なんで同じチームの俺と意見合わせないんだよ!」
「だってニャン可愛いじゃないですか〜」
「俺もセーフだと思いまーす」
先程と同様、同じチームの古賀先輩はそうだろう。
茜は合わせなかったが。
さて、残るは但馬先輩だが……。
「一応言ってはいたからセーフでいいんじゃねぇか?」
セーフに4票入った!
これで俺の票は関係ない。
足を踏まれているが関係ない。
「じゃあセーフってことで進めるね。次は……俺か。ほいっ」
古賀先輩は2を出した。
『全員から
バーカバーカ
言われる−1』
「アハハ、バーカバーカ」茜は笑いながら。
「バーカバーカ」隈坂先輩はニヤッとしながら。
「フフッ、バーカバーカ」越後先輩は鼻で笑ってから。
「バーカバーカ」俺は普通に。
「バーカバーカ」秋陽菜先輩は笑顔で。
「バーカバーカ!」但馬先輩は馬鹿にしたように。
「バーカバーカニャン」美冬先輩可愛いです。
「えぇ……筑紫も……」
「だ、だって『全員から』って書いてあるのでニャン……」
「筑紫·古賀ペア−1ね」
「次アタシですね〜。ほいっ……5だ」
『校歌(1番のみ)を歌う
+1』
「えー? アタシまだ校歌覚えてないんでカオルン先輩お願いしま〜す」
「嫌だっての。歌詞は生徒手帳に書いてあるだろ。お前が歌え」
「でもメロディーとかもあんまり覚えてないです」
「下手でも歌えば+1なんだからテキトーでいいって」
「わかりました〜」
結局茜はメロディーもリズムもへったくれもなく歌い切った。
「ははは、茜テキトー過ぎるでしょ」と古賀先輩。
「お前酷過ぎるな……」隈坂先輩が若干引いている。
「だから覚えてないって言ったじゃないですかー!」
「なんかこれで+なのは釈然としないわね」
「同感ですニャン」
「でもアタシ歌いましたよ?」
「……そうね。茜·隈坂ペア+1。次私ね」
越後先輩は4を出したので4マス進める。
そこは……。
『全員から
バーカバーカ
言われる−1』
「バーカバーカ」菱川先輩は満面の笑みを浮かべて。
「ハハハ! バーカバーカ!」但馬先輩は笑いながら。
「バーカバーカニャン」おかわり来ましたー。
「バーカバーカ」古賀先輩は楽しそうに。
「アハハ、バーカバーカ」茜は再び笑いながら。
「バーカバーカ」隈坂先輩も再びニヤッとしながら。
「……バーカバーカ」俺も一応……。
「……これ味方から言われるの腹立つわね」
あ……今回の矛先は俺なんですね……。
「だよねー」と先程味方から言われた古賀先輩が共感する。
「私たちが−1ね」
「次私ですね」
秋陽菜先輩がサイコロを振ると1が出た。
……あちらもか。
『全員から
バーカバーカ
言われる−1』
「バーカバーカニャン」3杯目頂きましたー。
「バーカバーカ」古賀先輩は再び楽しそうに。
「アハハ、連続だ〜、バーカバーカ」茜はまた笑いながら。
「バーカバーカ」隈坂先輩もまたニヤッとしながら。
「バーカバーーーーーカ」越後先輩長いですって……。
「バーカバーカ」俺は普通に。
「……バーカバーカ」但馬先輩はらしくなく小声で。
「……確かにこれ味方から言われるの腹立ちますね」
あ……そこは共感するんですね……。
「い、いや……『全員』だからな……。筑紫と元木もやってたし……」但馬先輩が小声で反論してから「それより菱川の番終わりだから俺空気イス終わりだよな!?」と話題を変えた。
「そうね。だから−1と+1で点数は変わらないわ」
「アタシたち以外そこ踏んでますね〜」
「次お前だ」
「はいニャン。……6だニャン」
『身長体重発表
言う→女子+2·男子+1
言わない→女子−1·男子−2
嘘は私刑!!』
『死刑』ではなく『私刑』と書いてあり、おまけに他のマスには書かれていないビックリマークも2つあるので、これは本気で私刑なのかもしれない……。
愛してるゲームや可愛くウインク、誰も踏んでいないが投げキッスのマスもあることを考えると、おそらくこれを作った先輩は女子だろう。マスに書いてある文字もよく見れば女子っぽい。
「……体重は言ってもいいけど身長は言いたくないニャン」
普通逆なのでは?
「古賀先輩お願いしますニャン」
「身長166cm! 体重65kgです!」
その情報誰得ですか?
「これで私ニャン終わりですよね?」
「そうだね」
「えー、ミフユン先輩ずっと続けてくださいよ〜」
「いやだ!」
あーーー………。
終わってしまった……。
「筑紫·古賀ペア+2ね」
「次アタシで〜す」
「違うっての。お前じゃなくて俺だよ」
「あ、そっか。なんか古賀先輩がやったから間違っちゃいました」
隈坂先輩がサイコロを振ると6が出た。
「うわ、そこ速いね。次ゴールしちゃうかも」
古賀先輩の言ったとおり確かに茜·隈坂先輩ペアの進むペースが速い。
越後先輩が計算している点数表を一応確認する。
茜·隈坂先輩→+3
越後先輩·元木→−1
秋陽菜先輩·但馬先輩→+2
美冬先輩·古賀先輩→+1
これはまずい……。
『「点数ください」
とお願いしながら
10秒土下座+1』
「げ……菊池任せた」
「えー! なに言ってるんですか! カオルン先輩自分でやってくださいよー!」
「いいからお前がやれよ」
「イヤですー! 味方に痛いデコピンする人の言うことは聞きませーん!」
「は? 先輩の言うこと聞けよ!」
「イヤったらイヤですー!」
「くそっ……」
もしかしてやらないか? そう思っていると、隈坂先輩が土下座して「点数ください」とお願いした。
「アハハハハ! カオルン先輩の土下座だ〜!」
「フフッ」
越後先輩が鼻で笑った。
この人は絶対にやらないだろう。
「あはははは!」
「ははははは!」
美冬先輩と古賀先輩にも笑われているが、隈坂先輩は本気で勝ちにきていると見える。だるそうにしていてやる気もなさそうな普段とは大違いだ。
「もういいですよね!?」
「うん、10秒経ったね」
「茜·隈坂ペア+1。次元木よ」
「はい」
これでトップの茜·隈坂先輩のペアとは5点差。
1位を狙うのが厳しくなってきた……。
サイコロは5が出たので5マス進む。
『サイコロを振る
1·2·3→+1
4·5·6→−1』
これは絶対に1か2か3を出さなければならない。
隣からのプレッシャーを感じながらサイコロを振ると1が出た。
「よくやったわ元木。+1ね」
「くそー! コーイチ−になればよかったのに!」
「次俺だな」
但馬先輩がサイコロを振ると5が出た。
またこちらと同じマスだ。
『サイコロを振る
1·2·3→+1
4·5·6→−1』
「おらーー!!」
但馬先輩は大声を出しながらサイコロを振ったが6が出た。
「くそ! 6はバックギャモンのときに出ろっての!」
「ははは、但馬ドンマイ」
「菱川·但馬ペア−1ね」
「次俺の番〜、ほいっ」
出目は3。
『右隣の人とサイコロ勝負
出目が大きい人が+1
引き分けは2人とも−1』
「俺振るね」
「はい! 古賀先輩お願いします!」
「そっちはどっちがやる?」
「俺が振る!」
「但馬先輩、大きい目出してくださいね」
「任せろ!」
「俺先に振るね〜、ほいっ……うわ、1かぁ……」
「えぇ……なにやってるんですか古賀先輩……」
「ごめん筑紫……」
「ハハハ、ザコが! これは勝ったも同然だな。おらー!」
1ですね。
「くそーーー!!! なんでだーーー!!! 1はさっき出ろってのーーー!!!」
「アハハハハ、マッチョ先輩も1じゃないですか〜」
「フフッ、どっちもザコじゃないの」
「アッハッハ、また自滅してるじゃないっすかぁー!」
「た、じ、ま、せ、ん、ぱ〜〜〜い。2回連続でなにやってるんですかぁ〜?」
「菱川、その笑顔怖ぇからやめろ! 1が出たのはどうしようもねぇだろ!」
「菱川·但馬ペアと筑紫·古賀ペアどちらも−1ね」
「今の数ターンでかなり点数増減あったから点数確認しておこっか。茜·隈坂ペアがゴールするかもだし」
「茜·隈坂ペアが+4、私たちが0、菱川·但馬ペアも0、筑紫·古賀ペアも0ね」
「よーし! 俺たちトップだぞ菊池!」
「このままゴールしちゃいましょ〜!」
確かに茜·隈坂ペアがリードを広げたが、こちらにもチャンスが出てきた。こちらの1位は厳しいかもしれないが、向こうの最下位は十分可能性がある。
そういえば最下位が同点の場合はどうなるのだろうか?
「5か6出せばゴールだ! いけ菊池!」
「それ〜!」
茜の出目は4。
ゴール手前のマスだ。
そしてそこは……。
『スタートに戻る
−3』
「なにやってんだ馬鹿菊池ーー!!」
「あちゃー、やっちゃった……」
「なんでよりによって4出すんだよ!」
「でもまだ1位なんで全然イケますってば!」
「くそーー……せっかく独走してたのに……」
「茜·隈坂ペア−3ね」
「これで一気に混戦になったね。先頭も俺たちに交代したし、まだまだこれからだよ」
「次は私ね」
越後先輩がサイコロを振ると5が出た。5マス進む。
『2マス進む』
更に2マス進む。
『全員から
ザーコザーコ
言われる−1』
……この人さっきから碌なマス踏まないな。
「ザーコザーコ」再び秋陽菜先輩は満面の笑みで。
「ザーコザーコ!」但馬先輩は先程のを言い返すように。
「ザーコザーコ」美冬先輩が楽しそうで嬉しいです。
「ザーコザーコ」古賀先輩も先程のを言い返すように。
「アハハ、ザーコザーコ」茜も相変わらず楽しそうに。
「ザーコザーコ」隈坂先輩もまたニヤッとしながら。
「……ザーコザーコ」そして俺も一応……。
「……」越後先輩が無言でこちらを睨んできた。
やっぱりこれの矛先は俺なんですね……。
「……俺たち−1ですね。次秋陽菜先輩です」
「それっ」
秋陽菜先輩の出目は6。
『この中で
1番タイプの人を言う
+1』
「えーと……消去法で光一君かなぁ」
「俺ですか?」
嬉しいは嬉しいんですけどね……。
「えー! コーイチですか!?」
「だって古賀先輩と隈坂君は初対面で但馬先輩にビビっちゃうくらいだし、但馬先輩も全然役に立たないし〜」
「……」
「……」
「……」
3人が何も反論できずに黙っている。
「私たち+1ですね。次美冬よ」
「よし、それっ!」
美冬先輩の出目は4。
『この中の誰かを
イジる
面白ければ+1』
「えぇ、イジるかぁ……。……古賀先輩、お願いしてもいいですか?」
「いいよ。よ〜し、誰にしよっかな〜?」
え……美冬先輩、あなたさっきから古賀先輩に任せてばかりじゃないですか……。
ニャンは非常によかったですけど、もうちょっと自分でもやってくださいよ……。
「点数くださいお願いしま〜す!」
古賀先輩が土下座した。
「ちょ! それ俺ですか!?」
「アハハハハ! 生徒会長が土下座してる〜!」
「ダメね。面白くはないから✕」
「ハハハ! ◯でいいだろ!」
「アタシも◯で〜」
「俺は✕……」
「◯でいいんじゃないですかぁ?」
「当然私も◯だ!」
◯が既に過半数出たので自分も◯を出すことにした。
「俺も◯でいいと思いますよ」
「よーし! 土下座した甲斐があったなぁ!」
「ナイス土下座です古賀先輩!」
「俺たち+1だね。次隈坂だよ」
隈坂先輩は3を出したので3マス進む。
『けん玉世界一周
大皿まで成功+1
小皿まで成功+2
中皿まで成功+3
全部成功+4』
「よーし!! 最高のマスだ!!」
「カオルン先輩けん玉得意なんですか?」
「別に得意じゃなくても点取れるだろ。おまけに得意だったら3·4点狙えるし、こんな簡単にリスクなく複数点取れるのこのマスだけなんだから最高のマスなんだよ」
「でも好きな人のフルネーム言っても4点取れますよ?」
「そんなの言えるわけねぇだろ!」
「あれ〜? 言えるわけないってことはさっき好きな人いないって言ったのは嘘ですか〜? やっぱり好きな人いるんじゃないんですか〜?」
「ち、違うっての! 他の人の場合はって意味だ!」
「え〜? なんか焦ってますよ〜?」
「い、い、いないっての!」
「絶対嘘だーー!!」
「ああーー!! うぜぇ!! 古賀先輩、けん玉!」
「ははは、はいはい」
横でニヤニヤする茜を無視しながら、隈坂先輩はけん玉を小皿まで成功させた。
「お前が横でうざいから途中で失敗しただろうが!」
「でも2点取れたんで良かったじゃないですか〜。それにカオルン先輩が好きな人いるって正直に言ってればもう1点取れてたのに〜」
「それもういいっての! 次元木!」
「はい」
「茜·隈坂ペア+2ね」
サイコロを振ると4が出た。4マス進める。
『サイコロを振る
1·2·3→+2
4·5·6→−2』
先程踏んだマスと同じようなマスだ。
+2·−2なのでかなりハイリスクハイリターン。
ここも絶対に1か2か3を出さなければならない。
「私やるわね」
は?
越後先輩が勝手にサイコロを振った。
4。
……何やってるんですか?
何故自分なら+2になると思ったんですか?
ゲーム開始前は頼りになるって思いましたけど、あなた始まってからはずっと足引っ張ってますよね?
「ふふふ、−2ですね〜」秋陽菜先輩が嬉しそうだ。
「ハハハ、お前もザコじゃねぇか!」但馬先輩は言い返す。
「アハハ、キョンキョン先輩また自滅してる〜」茜が笑う。
「そこは元木にやらせなよ〜」古賀先輩、同感です。
「……何故勝手にやったんですか?」
「……確率的には誰がやっても同じなんだから別にいいでしょ」
確かにそうですけど、そうですけどね……。
「……私たちが−2ね。次但馬よ」
「おう!」
但馬先輩がサイコロを振ると5が出た。
またまたこちらと同じマスか。
『サイコロを振る
1·2·3→+2
4·5·6→−2』
「……菱川、任せた」
「は〜い、私がやりますね」
秋陽菜先輩が笑顔でサイコロを振った。
4。
お2人仲良しじゃないですか。
「アハハハハ、そっちも自滅だ〜!」茜がまた笑う。
「よっしゃ、これ勝てるぞ!」隈坂先輩ガッツポーズ。
「あはは、菱川もか〜」古賀先輩も−お願いしますよ。
「……但馬せんぱ〜い、なにか言いたいことあるなら正直に言ってくださいねぇ〜?」
「菱川……だからその笑顔怖ぇからやめろ……」
「菱川·但馬ペア−2ね」
「次俺〜。6出したら上がりだね」
古賀先輩がサイコロを振ると6が出た。
……終了だ。
『ゴール
+1』
「丁度上がり〜。越後、点数は?」
「茜·隈坂ペアが+3、私たちが−3、菱川·但馬ペアが−1、筑紫·古賀ペアが+2」
「よっしゃー! 俺たちの勝ちだー!」
「やりましたねカオルン先輩!」
「てことで最下位の越後と元木は夏の部活見回り運動部で決定ね。つまり自動的に俺は文化部担当だし、2位だから筑紫も一緒に文化部担当にしよっか」
「本当ですか!? やったー!」
「えー? そんなルール事前に決めてなかったじゃないですかぁ」
秋陽菜先輩が笑顔で反論する。
確かに1位と最下位のことしか決めていなかったが……。
「1位と2位が+で3位と4位が−なんだからそうしましょうか。だから私と元木と菱川と但馬が夏は運動部担当。それで決定。いいわね?」
「ちっ……負けたんだからしょうがねぇな」
「えぇー……」
秋陽菜先輩はまだ納得いっていないようだ。
「菱川、お前ら3位でしかも−なんだから先輩たちの言うこと聞けよ」
「そうだぞ秋陽菜、我儘言うな!」
「……は〜い、わかりましたよぉ〜。2人は文化部だからいいよねぇ〜。私暑いの苦手なのになぁ〜」
同学年の隈坂先輩と美冬先輩に窘められ、秋陽菜先輩が運動部担当をぐちぐち言いながら渋々受け入れた。笑顔が消え完全に不貞腐れている。
越後先輩がすんなり受け入れたのは自分自身で勝手にサイコロを転がし−2にした自責もあるからだろう。
そもそも最下位なので反論の余地は一切無いが。
「さっき決めたのはあくまで夏の担当だから、再来週あたりにやる担当はまた別だからね。それじゃ今日はこれで解散ってことで! 俺と最下位の2人で片付けするから他のみんなは先に帰っていいよ。また明日ね〜」




