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柑那 2 写真

空白多いパターンです。

 視聴覚室を出て廊下を歩いていくと、私たちが並んでいたときよりも列の人数が増えていた。

 この人たちもこのあと緊急地震速報の音の餌食になるのだろう。

 順番待ちの列が視聴覚室から離れていたのは、あの音が聞こえないようにするためなのかもしれない。


「柑那、次どこ行く?」

「とりあえず3階行ってみない?」

「いいね」


 私の提案で今度は3階へ。

 するとこちらもオレンジ色の装飾だらけだった。

 テキトーにブラブラ歩いていると、写真展示がしてある教室を発見した。


「ここ入ってみませんか杏子さん」

「いいですよ柑那さん」


 中に入ると人は少なかったけれど、椅子に座っている男子生徒が「お好きに見てくださいねー。会話も大丈夫ですよー」と声をかけてくれた。

 写真が壁やボードにたくさん並んでいる。どんな写真があるのだろうか?

 とりあえず近くの『部活動コーナー』と書かれたところから見ていくことにした。

 サッカー部やバスケ部やバレー部などいろいろな部活動の写真があり、試合後の歓喜の瞬間や負けた後の泣き崩れている瞬間、練習中の風景なども写している。

 野球部の写真の中にみんなで喜びを分かち合っているものがあった。そしてその写真の隣のメモに『今年夏2回戦サヨナラ勝ちの瞬間』と書いてある。……サヨナラ勝ちとはなんぞや?


「杏子、サヨナラ勝ちってどんな勝ち方?」

「……やったー勝ったー! これで試合終わりだ帰れるぞー! サヨナラー! じゃない?」

「絶対違うでしょ」


 他にも吹奏楽部や料理部や将棋部など文化部の写真もたくさんある。

 その中になんの部活動かわからない写真を見つけた。男女が7人写っているけれど全員制服姿だ。


「これって何部かな?」

「どれどれ? あー、これ生徒会だよ」

「そっか、生徒会かぁ」

「この男子と女子、私と同じ1組だよ。どっちも生徒会入ってるんだよね」

「へぇ、そんなんだ」

「ていうかここに生徒会長いるじゃん」

「あ……」

「生徒会長目立つのに。柑那知らないの?」

「いや、全然気付かなかった……」

「どこ見てたんだよー」

「こっちの人ばっかり見てた」

「……この人イケメンじゃん。もしかして柑那こんな感じの人が好きなの?」

「別にそういう目で見てたわけじゃないよ。なんか気になって……」


 なにか不思議な雰囲気を感じる人だ。とても気になる。別にタイプというわけではないけれど、何故だろうか?

 それとタイプなのは杏子が同じクラスだと言った男子の方だ。正直杏子が同じクラスなのが羨ましい。

 ずっと見ていてもしょうがないので他のコーナーも見ていくことにした。

 『部活動コーナー』以外にも『普段の学校生活コーナー』や『修学旅行コーナー』、『学校内の風景コーナー』などもある。

 隅の一角に目をやると『?コーナー』と書いてあり、その下には小さく『加工アリか加工ナシか当ててみよう。正解は写真の裏』と書いてあった。どういうことだろうか?

 とりあえず写真を1枚見てみることにした。


 どこかの教室内で生徒がアナログ時計を持っている。時間は5時。後ろの窓からは太陽の光が差し込み影ができている。写真の日付は今年の2月10日。そして写真の隣のメモには『視聴覚室にて』と書いてある。

 ……2月では早朝5時でも17時でも暗いはずだ。しかし時計の時間を操作しただけで、結局加工はないのではないかと自分の頭の中で答えを出してから、写真の裏をめくった。







































『加工アリ。視聴覚室は北向きなので太陽の光は窓から直接差し込まない』と書いてあった。

 ……確かに視聴覚室は北向きだ。

 さっき行ったばかりなのに忘れていた。

 成程ね、こういう感じか。

 次の写真を見てみる。


 桜の写真だ。枝がアップで写っていて花も綺麗に咲いているが雪を被っている。日付は今年の4月10日。そして隣のメモには『邦南高校内にて』と書いてある。

 ……今年の4月10日であれば私たち1年生の入学式の日から4日後だ。であれば桜は咲いていた。しかしその頃雪が降った記憶はない。つまりこれは加工アリだ。写真の裏をめくる。










































『加工ナシ。雪は自作したもの。桜の木全体の写真は学校内の風景コーナーにて』

 ……雪を自作って、なんじゃそりゃ!

 そんなんわかるか!

 イラッときた!

 次は絶対に当ててやる!


 2人の生徒が写っている。男子は身長がとても大きく女子はとても小さい。2人はそれぞれ大きい布を手で持っていて下半身が隠れている。他に大きさを比較できる物は特に写っていない。隣のメモには『当時男子3年、女子2年。男子の頭のてっぺんの位置は床から2mの高さ』と書いてある。

 ……身長差がすごい。男子が2mだとすると女子は1m40cmくらいしかない。いや1m30cmくらいか? おまけに男子は顔が怖くて全然高校3年生に見えない。当時ということは卒業生だろうか? そしてメモがかなりわざとらしいのが気になる。身長2mとは書いていない。2人とも足が見えないけれど、女子は屈んでいたり立膝でなにかに乗っている状態かもしれない。男子もなにかに乗っているかも。そう思わせておいて、実は加工で身長を伸ばしているのかもしれない? ……わからない。でもわざわざ加工しなくても撮れそうな写真なので加工ナシのように思う。写真の裏をめくる。










































『加工アリ。2人のそれぞれの右手が左手に、左手が右手になっている。加工ナシ全身バージョンは卒業生写真コーナーにて』

 …………いやいやいやいや、ズル過ぎる!!

 身長関係ないんかい!!

 そんなとこ見てないっての!!

 次!!


 女子生徒が2人写っているが、その間に明らかに写ってはいけないものが写っている。

 ……心霊写真だ。こんなもの加工アリに決まっている。むしろこれが加工ナシだった場合、こんな写真を堂々と展示しているやつの方が怖い。絶対に加工アリだ。






































 と思わせてどうやってかはわかんないけどなんやかんや工夫して心霊写真っぽく撮ったんだろーー!!
























『加工アリ』

 …………ですよねー。

 わかってましたよ。

 わかってましたとも。

 そりゃ加工アリに決まってますよ。

 私だって最初はそう思っていましたとも。


「柑那、ここはなんの写真?」


 他のコーナーを見ていた杏子が話しかけてきた。

 杏子はわかるだろうか?


「写真が加工アリかナシか当てるコーナーだって」

「へぇー、面白そう」

「これどっちだと思う?」

「どれどれ? ……2月で視聴覚室か。そもそも視聴覚室は北側だから太陽の光入らないよね。だから加工アリ」


 ぬ……。


「お、当たりー。さっき視聴覚室行ったばっかだからね」

「じゃあこれは?」

「あ、この人たち卒業生コーナーでさっき見た。この男子デカ過ぎだし全然高3に見えないよね」


 お! ということは……。


「……あれ? でもこれ手おかしくない? 右手と左手逆になってるじゃん。ってことは加工アリだ」


 ぬぬぬ……。此奴(こやつ)以外と鋭いな……。


「イエー、当たりー」

「じゃあこれは?」

「え、これ心霊写真? こんなん加工アリに決まってるでしょ。誰でもわかるじゃん」

「だよねー」

「ほらやっぱ加工アリ。簡単だよこれ」

「じゃあこれは?」

「雪桜かぁ。えーと、今年の4月10日? ……入学式のあとに雪なんて振ってないからこれも加工アリだよ。……え、雪自作ぅー!? なにこれズルくない!?」

「だよね、ズルいよねー」


 クックック、ようやく引っ掛かりおったわ。


「腹立つなー……。柑那は全部やったの?」

「ううん、杏子がやった4枚しかやってないよ」

「じゃあ他のやつ2人で考えてみない?」

「いいね」

「これはどっちだろ?」


 杏子が指差した写真を確認する。


 普通のアナログ時計がアップで写っている。他にはなにも写っていない。隣のメモには『今年近所のスーパーで購入したもの』と書いてある。

 ……なにこれ? これのどこに加工要素が?


「これ12の部分が0になってるね」


 ぬぬ……。


「そうだね」

「そういえばなんで時計って0じゃなくて12なんだろ?」


 確かになんでだろう? 考えたこともない。


「わかんない。……こういう時計って実際売ってるのかな? でも流石にスーパーでは売ってないよね?」

「でも売ってなくても普通の時計の12の部分を0に作り替えるくらいできそうじゃない? 雪自作してるくらいだし」

「だね。逆にこれで加工アリとか言われても納得いかないと思いませんか杏子さん」

「同感です柑那さん」

「じゃあめくるね」

「うん」



 






































『加工アリ。時計自体を12→0に加工している』

時計の文字盤が0ではなく12から始まるのは、時計が発明された時代には0という概念がまだなかったかららしいです。

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