佐々木 8
「今日の活動は各部活の見回りだ。1年の2人は初めてだから少し説明しておくと、各部活を見て回るのは真面目に活動しているか、きちんと部員が集まって活動しているか、イジメや体罰などを行っていないか、部室や備品などを雑に扱っていないかなどの確認をするためだ。たまにこうやって抜き打ちでやることがある」
「組み合わせはどうするの?」
「俺と佐々木が文化部を見て回るから他の5人は運動部を頼む。先輩3人は藤澤と菱川にいろいろ教えてやってくれ」
「了解でーす」
「はい」
「アタシが運動部なの?」
「今回俺は文化部のいくつかに用があるからな。次回は俺が運動部を回る」
「3人と4人に分かれた方が良くないですか? 僕そっち入ります?」
「いや、運動部の各部室も見て回るから男子のお前がそっちにいた方がいいだろう。それに運動部はたまに何か手伝いをさせられることもあったりして大変だからな。逆に文化部は今日活動がない部活もあるだろうし、そっちが5人で丁度いいだろう」
「でもこっち副会長いらないっす。邪魔なんで」
「ちょっとー!」
「それは駄目だ。部活見回りのときは必ず3年がいたほうがいい。各部活の部長に話を聞くからな。3年同士の方が面倒事にならないだろう」
「わっかりましたぁ」
「それにさっきも言ったが各部活の部室の確認もするからな。男子運動部の部室の確認作業を藤澤と菊池に任せればいい」
「なんでアタシもなんだよー!」
「あっはっは、確かにその役割は副会長が相応しいっすね。堂々と男子の中に入っていけるだろうし」
「トッキーだって平気なくせにー!」
「平気ですけど何か?」
「お前ら、人数多いんだから他の部活の邪魔にならないように気を付けろよ。特に菊池と常盤。昨日はバラけさせたが今日は一緒なんだからさっきみたいなくだらない言い争いするなよ」
「はーい」
「わかってますよ」
「千葉、藤澤、菱川、こいつら頼んだぞ」
「えっ、あ、はい。茜先輩は私が見張っておきます」
「なら僕は常盤先輩見張ります」
「あれー? アタシ達先輩だよね?」
「あんたのせいだぞ」
「……自業自得」
会長が分けた2グループで動くことになった。
会長が生徒会室の鍵を閉め、自分達はまず音楽室へ向かう。吹奏楽部を最初に回るためだ。もし全体練習中にお邪魔するとあからさまに嫌な顔をされるので、それを避けるために最初に行くことになっている。
音楽室へ着くと吹奏楽部はパート練習をしていた。吹奏楽部のパート練習は学内に散り散りになって行われているため音楽室に部員は少数しかいなかったが、部長がいたので会長が話を聞き始めた。
このときに各部活の部長から生徒会への要望などを伝えることもあり、それもこの見回りの目的の1つである。
会長と吹奏楽部の部長が話をしている間、自分は下級生部員に話を聞くことにした。部活内でイジメがないか、何か困っていることがないかなど、同じ部活の人には話し難いことを聞いてみた。数人に聞いたが特に問題はなく会長も話し終えたので吹奏楽部の見回りは終了した。
吹奏楽部の備品などは吹奏楽部が管理を徹底しているので、自分達がわざわざ確認などをする必要はない。
「あとは近いとこから適当に回るか」
「そうですね」
移動中先程の赤点行列というワードが気になったので会長に聞いてみた。
「さっき常盤が言っていた赤点行列ってなんですか?」
「ああ、赤点行列というのは俺達が1年生の最初の中間テストのときにあったことでな。そのときの古典の平均点がかなり低かったんだ」
「へぇ」
「うちの高校は39点以下で赤点だろ。だがそのときの古典の学年平均点は42点だった」
「え!?」
「赤点の生徒が半分くらいいたんだよ」
「……」
「それで赤点を取った生徒は職員室前に置かれたプリントを何枚もやっていくんだが、その古典担当の教師が女子バレー部顧問の林先生でな。林先生は部活にとても力を入れていて、そのときも体育館で女子バレー部の指導をしながらプリントの採点をしていたんだ。だがいかんせん人数が多いから体育館内に採点待ちの行列ができてな。それが赤点行列というわけだ」
「そんなことがあったんですね」
「俺達3年の間では有名な話だから常盤は誰かから聞いたんだろう」
「会長はどうだったんですか?」
「俺は大丈夫だった。平均点は低かったがきちんと勉強していたやつは赤点を避けられたからな。菊池は行列の一部を形成してしたようだが。さて、次は文芸部だな」
その後も料理部や囲碁·将棋部、書道部、美術部などを見回った。
どの部活も特に問題はなく、この日は活動自体がない部活もあり各部活の見回りを終えていく。
とうやら会長は主に文化祭のことについて各部長達から話を聞いているようだ。
「次は軽音楽部だな」




