藤澤 2 4文字ゲーム開始前
生徒会室の前に着くと、会長がドアをノックした。
コンコン
「入っていいか?」
「ゴメン、今着替えてるー」
中から菊池先輩の声が聞こえた。
「そうか。俺と藤澤は少し待っていよう」
「私着替えます。覗くなよ藤澤」
「覗きませんよ!」
常盤先輩が生徒会室へ入っていった。
少し待つ必要がありそうだ。ドアの横の壁に背を向けて立っていると会長が話しかけてきた。
「藤澤、お前さっき生徒会室入るときノックしなかったよな?」
「あ……」
していなかったかもしれない……。
急いでいたからだろうか……。
「一応礼儀という意味もあるが、今のように中で女子が着替えている場合があるからな。ノックはしておいた方がいいぞ」
「わかりました、次から気を付けます……」
「それともわざとか?」
「い、いえ、違います!」
「そうだよな。……昔『覗いてはいけないなら堂々と見ればいい』などと言って突撃したやつがいてな」
「え?」
「結局怒られていたんだがな」
「……」
「誰がやったと思う?」
「……誰ですか?」
「菊池だ」
「……なんか納得です」
「だろう」
男子ではなく女子だったので意表を突かれてしまった……。
おそらく自分が頭の中で考えていたシチュエーションとは違う状況だったのだろう。
女子3人が着替え終わり、生徒会室から出てきた。
「おはようリョー」
「おはよう藤澤君」
「……おはよう」
「おはようございます」
挨拶を交わし中に入って着替えようとすると、常盤先輩は着替え終わっているのにまだ椅子に座っていた。
「あの、常盤先輩……」
「気にするな」
「いや、あの、だから……」
「なんだ常盤、藤澤が着替えるところがそんなに見たいのか?」
「そんなわけないじゃないですか。どっちかといったら会長の筋肉の方が見たいっすね」
「なんだ、見るか?」
「いや、どっちかといったらってだけなんで、別に見たくはないです。変な誤解されたくないんで出ますよ」
常盤先輩はあっさり出ていった。流石会長だ。
会長と着替え始めるが、また会長と2人きりだ。
そういえば佐々木先輩がいない。
「会長、佐々木先輩は?」
「佐々木ならもう帰ったんじゃないか? 荷物もないし、あいつはこのあと予定もあるしな」
「そうですか」
結局佐々木先輩とは会わなかった。
着替え終わると会長が皆を生徒会室に集めた。
「俺と菊池は今日のことをレポートや生徒会日誌に纏める。その間各々好きに過ごしてくれ。先にお昼を済ませても構わないし、暇なら図書室も空いているはずだ」
「えー、お昼はここでみんなで食べようよー」
「私もみんなと食べたいです」
「ならそうするか」
菊池先輩と菱川さんの提案で、お昼ご飯は生徒会室で皆一緒に食べることになった。
特にやることもなかったので、図書室で短編小説を読んで時間を潰すことにした。切りの良いところまで読み、そろそろお昼ご飯を食べ始める時間かと思ったので、トイレに寄ってから生徒会室へ戻った。
「リョー遅いよ」
「お前また最後だぞ」
「ごめん藤澤君、先に食べ始めちゃった」
「え?」
「常盤が腹が減って先に食べ始めたから他の女子たちも食べ始めたんだ。お前なにやってたんだ?」
「すみません、図書室で小説読んでました……」
「そうか。よし、俺たちも食べるか」
「はい」
急いで荷物から弁当を取り出し食べる準備をする。会長だけは待っていてくれたようだ。
自分の弁当箱は2段になっていて上段にはおかずが、下段にはご飯が入っている。
隣に座っていた会長もそのタイプの弁当箱だった。会長の弁当の中身が気になりチラッと横目で見てみると、上段下段共にご飯しか入っていなかった。
「か、会長、なんですかそれ……」
「ああ、少し事情があってな……」
「なになに〜?」
菊池先輩が席を立ち、こちらに近づいて会長の弁当を確認した。
「アハハハハ、なにそれ〜。なんでご飯だけなの〜?」
気になったのか他の女子たちも席を立ち、会長の弁当が視線を集める。
「ふふふふふ、どうしたんですかそれ」
「真っ白」
「あっはっはっは、会長、母親と喧嘩でもしたんすか?」
「そういうわけではないんだがな」
「コーイチ、それ食べられるの?」
「大丈夫だ。これを持ってきた」
会長が荷物の中から缶詰を2つ取り出した。鯖の缶詰と焼き鳥の缶詰で、どちらも手で簡単に開けられるタイプのものだ。
「アハハハハ、初めて見た〜。そんな組み合わせ〜」
「いいから早く食べろ」
会長が缶詰を開けてご飯と一緒に食べ始めた。
「もしかしてこの前のとなにか関係あります? あのときは逆に弘和も会長もお弁当の中身おかずだけでしたよね?」
「ああ、逆に妹と弟はご飯だけだったからな。それで妹に嫌がらせをされたようだ」
「少しおかず交換します?」
「藤澤がよければいいぞ」
「アタシも焼き鳥食べるー」
「交換だ交換。やるとは言っていない」
「夏実先輩、私と交換しませんか?」
「いいよコハルン」
「あれ? いつの間に夏実、コハルン呼びになってんだ?」
「この前のゲームからそう呼び合ってるんです。常盤先輩のことも詩音先輩って呼んでいいですか?」
「ダメだ、常盤にしてくれ。私詩音って感じじゃないだろ」
「えー、でもなっちゃんは詩音って呼んでるじゃん。それにトッキーも可愛いよ」
「うるせぇキチク」
「ちょ、先輩に対する態度じゃないんですけどーー!」
「すげぇ微妙な投げキッスしたんだってな」
「だ……誰だーー、教えたやつはーーー!!!」
「ハハハ、俺と千葉だ」
そんな感じで楽しくお昼ご飯を食べた。
そして少しの休憩を挟み、ゲームが始まった。
「よし、まずは各々考えてきたお題を渡した紙に書き、4つ折りにしてからこの箱に入れてくれ」
箱は四角く外から見えない作りになっていて手だけを入れるタイプの物だ。文化祭などで使う備品だろうか?
いくつかお題は考えてきた。他の人はどんなお題を考えてきたのだろう?
会長に言われたとおり、考えてきたお題を紙に書き、4つ折りにしてから箱に入れた。
菊池先輩が箱に紙をどんどん入れていく。かなり多くお題を考えてきたようだ。
「最初はコハルンからね〜」
「はい」
「菱川がお題を1枚引いたら自分で見ずに俺に渡してくれ。渡したら菱川はドアの方を向く。他の人たちが確認をしてホワイトボードにお題を大きく書いておくので、合図をしたら菱川が振り向いてお題を確認。その4文字のお題の言葉を2回言ったあと、上2文字を2回、下2文字を2回言う。そしてそれをもう一度繰り返す。ただしお題を確認したらすぐに言い始めること。それと大きな声でハッキリと早く言うこと。ゆっくり言うのは駄目だからな。よし、始めるか。菱川1枚引いてくれ」




