あのような女性が好きだって…
クヴィスリングによって、どんどん追い詰められていくリディアたち家族。
リディアの苦しみもつのっていきます。
「お父様には、直ぐに手紙を出したんです。でも、鎮圧の為に色々な場所に赴いているから、手紙が届いているかどうかも分からなくて……」
ナタリーの質問に困ったように返答を返し、今も音沙汰が無いのだと静かに首を振る。
確かに、1箇所に留まっているならばまだ届く可能性はあるが、鎮圧の為に走り回っているのだと仮定すれば届かなくても無理はない。
むしろ、手紙自体が行方不明になる可能性の方が大きい。
サリオスとスコロライトは、揃ってその可能性に辿り着くも、手紙が紛失したかもしれないなど余計な不安を駆り立てるだけだと、沈黙を選んだ。
「本当にどうしようもなくて…。今なら絶対間違っているって分かるんですが、クヴィスリングよりも大きな権力なら何とかなるかもしれないと思って…」
「それで、私に近付こうとしたと」
「はい。人望が厚く、お優しいと評判の王太子殿下ならば、助けてくださるのではないかと」
「どうしてあんな真似を?」
「クヴィスリングが……世の男性ならば総じて、その……あの様な女性が好きだと……」
「ほう」
今までの行動が、全てレオンに助けを求める為だと知ってその場が唖然となるも、アイリスだけは知っていたのか、皆の誤解が解けたことに嬉しそうにしている。
レオンは頭痛を堪えるように片手で頭を抑えると、リディアからもたらされた自分への態度の理由にガクリと頭を下げる。
リディアに変な女性像を植え付けた元凶を、捕らえてどうしてやろうかと思考を巡らせ
「まぁ、レオったらあの様なタイプがお好きだったなんて、私全く知りませんでしたわ。そうと知っていたら、婚約をお受けしませんでしたのに」
クスクスと鈴を転がす様な笑い声で揶揄うアイリスにバッと顔を上げ、レオンの中でクヴィスリングは処刑が決まった。
他の役員達の話では、その瞬間レオンからは燃え盛る炎が見えたと言う。
「それにしても、正当な後継者ね……。確か、前男爵と男爵夫人の子どもは、現男爵のヴェルテュだけだったと記憶しているが」
「そうですわね。私も覚えている限り、実子の兄弟はいなかったと思いますわ」
気を取り直したレオンが、口元に手を当てて現存する貴族に思案を巡らせていると、それに応じるようにアイリスも頷いて同意を示す。
「そう言えば、一時期前チャロアイト男爵が平民を身請けしたと社交界で噂になりましたわ。確か、花街で子どもが出来たとか。ただ、蓋を開けると実はどこかの没落した子爵令嬢だったそうで、令嬢が再び再起する為に騙して近付いたとか。ただ、前男爵も人の良い方でしたから、夫人に頼み込んで面倒をみていたそうですわ」
実子の兄弟で思い出したのか、ナタリーは頭にある情報をつらつらと並べていく。
元々チャロアイト男爵家は愛情深い家系で、結婚した相手をとても深く愛して大切にすることでも有名だった。
前男爵も同じで、どこに行くにも夫人を同伴させ、会う人全てに夫人の良さを伝えて回るような人だった。
だからこそ、花街で子どもが出来たなど一大ニュースだったのだ。
それはあっという間に社交界に流れ、「結局男性は皆同じ」なのだとナタリーもガッカリしたことを覚えている。
それまでの前男爵夫妻は、歳若い貴族の少女達にとって憧れでもあった。だからこそ、裏切られたと感じた時の落胆は大きいものになった。
結局、産まれた子どもは前チャロアイト男爵の子どもでは無かった(たまたま酒場にいた男爵に酒をすすめただけで、泊まってすらいないと令嬢が白状した)が、だからと言って親子共々放り出す訳にも行かず
、そのまま屋敷で面倒を見ることになったそうだ。
前男爵は視察の帰りに酒場により、その日の疲れを労うために飲んでましたが、ちょっと飲みすぎたので自信なくなりました( ̄▽ ̄;)
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