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せまい世界のまんなかで  作者: 桜莉 てく
リディア編

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5/20

頼りになる生徒会役員です

リディアちゃん突撃!

生徒会役員vsリディアちゃんです。

「レオン様はどこ!隠し立てすると承知しないわよ!」


ノックも無しに勢いよく扉を開き、中に入ると同時にリディアは目を吊り上げて叫んだ。

今回はスコロライトやフローライトだけでなく、自分より身分が上のナタリーとサリオスがいる。それでも、彼女の勢いは衰えるどころか、益々ヒートアップしている。


「また、あな……」


「お二人でしたら、今日は王宮ですわ。それより、貴女も貴族の末席にいるのならば最低限の礼儀はなさいませ」


口を開きかけたフローライトを守るように、ナタリーは自分の椅子から優雅に立ち上がると、真珠と黒鳥の羽根で作られた扇を開いた。

そのまま口元を隠し、咎めるような視線をリディアへ向ける。

チラリとサリオスへ視線を走らせば、心得たとばかりにサリオスもスっと立ち上がる。


「この間は、うちの生徒会役員がお世話になったね。だけど、マナーや成績については君よりもどうやら上位のようだ。……あぁ、平民だからと馬鹿にする分、人としての器も君の方が底が知れているようだね」


いつもより数段冷えた言葉選びに、ナタリーも満足そうに頷く。

対照的に、サリオスの言葉に顔を上げられなくなったスコロライトとフローライトだけは、足元から冷えていくような感覚を味わっていた。


(自分達が平民だからと口撃されていた事を知られていたなんて。お互い以外話したこともないのに、どうして!?)


バクバクと激しく波打つ鼓動と、「何故?どうして?」という終わりの無い思考に落ちていく2人。まるで底なし沼にズブズブと飲み込まれていくようで、ハクハクと唇を動かすのに上手く息が吸えない。


「落ち着け。みんな知ってる」


サリオスはそんな2人を一瞥すると、落ち着かせようと何でもない事のように真実のみを告げた。それは全く逆効果となり、


「みんな!?アイリス様と殿下も!?」


と、2人の思考を更に乱す結果となってしまった。

そんなやり取りを呆れたように眺め、2人が混乱を深めている事に気付いたナタリーは、信じられないとばかりに片手で両目を覆って溜息と共に軽く項垂れる。


「サリオス、更に混乱させてどうするのよ。……スコロライト先輩、フローライト先輩、アイリス様始め私達も、先輩方がこの人に何をされて来たのか知っています。そして、先輩方が私達に迷惑を掛けまいと黙っていた事も。…黙っていて申し訳ありません。ですが、例え先輩方が平民であろうと、私達にとってはどうでも良い事です。頼りになる生徒会役員です。」


ここまで自分達に相談してくれなかったことは正直悲しくもあったが、だからこそ何かあった時は全力で力になろうとナタリーは決めていた。

次に何かが合った時、少しでも頼って貰えるように。そして、将来2人みたいな格好良い先輩になりたいと強く思った。

ナタリーがアイリスやレオンから今日の事を聞かされた時、少しだけ「酷い」と思った。

けれど、2人が守れないならば自分が守ればいいと気付いた時、目の前がサァッと明るくなった気分になった。


けれど、一人ではきっとなし得ない。

だから、サリオスに協力を求めた。


断られるかもしれないと思った提案は、カウンターのように快諾を返され、逆に不安になってサリオスに何度も「本当か?ちゃんと意味は分かっているのか?」と聞いてしまった。

あの時は必死だったけれど、今になって考えると、とても失礼な事をしてしまったと思う。

後でキチンとサリオスに謝ろうと、少しだけ顔を上げたスコロライトとフローライトを見て決意する。2人は静かに涙を流していたけれど、決して悲しさや理不尽からでは無いという事が表情から読み取れた。

穏やかに、それでいて心底安心したように泣きながら笑っていた。


「ちょっと!こっち無視してんじゃないわよ!そこの2人なんか、今はどうだって良いでしょ!」


ジーンと感動していた所に場違いの金切り声が響き、サリオスとナタリーの目が一気に鋭くなる。

両足で地団駄を踏みながら、イヤイヤと首を左右に振る様は、お世辞にも可愛らしいとは程遠い。


「毎度毎度、こちらの迷惑も考えていただけます?貴女にかまけてる時間はありませんの!大体、貴女…」


「そこまで!」


怒りで顔を真っ赤にしたリディアは、次々とナタリーから放たれる自分を責める言葉に、立ち尽くしたまま耐えるように両手を握り締める。

今までのお返しとばかりに、ナタリーが更に責め立てようと口を開くと、何処からか聞き覚えのある声が響いた。

-その頃、控えているレオンとアイリス


レオン(今……サリオス言った?)


アイリス(言いましたわね)


レオン(だよな。言ったよな)


アイリス(何回確認しても変わりませんわよ)


レオン(えー、どうしよう。僕達が知ってるの言うなって言っとくべきだった?)


アイリス(それこそ不自然ですわ)


レオン(だよなー)


レオン・アイリス(どうしようかなー)


これをアイコンタクトだけで交わしてます。

内心焦ってますが、そこは王族と公爵令嬢なので、全然表情には出しません(笑)

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