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せまい世界のまんなかで  作者: 桜莉 てく
リディア編

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4/20

連日訪れるピンクの悪夢

ナタリーは子爵令嬢。サリオスは伯爵子息です。

リディアは男爵令嬢なので、平民なのはスコロライトとフローライトだけです。


ちょっとした補足に(笑)

視察中にリディアが中庭で突撃してきてから、既に1週間が経とうとしていた。


その間も視察と日々の業務に追われていた生徒会役員達は、連日のように繰り広げられるリディアとのやり取りにも疲弊していた。


「も~!毎日毎日なんなんですの、あの方!」


生徒会室で業務をこなしながら、ナタリーはこれまでのやり取りを思い出して眉を吊り上げる。

そして、怒りのままにアイリスが休憩用にと用意してくれていたクッキーへ手を伸ばした。


そのまま一齧りすれば、サクッという小気味良い音と共に、ふわりとした甘さが口内に広がる。


「本当に。しかも、毎回毎回アイリス様をワガママだの、人の気持ちが分からないだのと。失礼な事ばかり!」


隣に座るフローライトも、怒りのあまり、お皿から取ったばかりのクッキーを思い切り握りしめた。

2人とも、今にもリディアへ飛びかからんとする程に目を吊り上げて怒っていた。


レオンとアイリスは、今日は王宮の方で外せない用事があり、放課後になると急いで学園を出てしまった。

その為、視察に加え決裁以外の書類整理も4人だけで行わなければならないことに不安を感じていた。


しかし、蓋を開ければレオンとアイリスがしっかりと段取りを組んでくれており、書類に関してはファイリングと決裁前の確認だけで済むようになっていた。

決死の覚悟を持って生徒会室に入った4人は、気遣いに感謝したものの、忙しい2人にここまでお膳立てしてもらった事に対する申し訳なさもあり、次回こそはと決意を新たにした。


余裕が出来たからこそ、連日訪れるピンクの悪夢(ナタリー命名)について愚痴が止まらない。


スコロライトが1度、「どうしてそんなに王太子殿下に執着するのか」と尋ねたことがあった。


返ってきたのは


「平民が気安く話しかけないで!」


という言葉。


それ以来、4人の中では【絶対にアイリス様や殿下には近づけさせない】というのが共通認識となった。


平民であるスコロライトやフローライトからすれば、男爵とはいえ貴族とは高い壁ではあるものの、ナタリーやサリオスからすれば、「たかが男爵令嬢風情が何を偉そうに」となる。


そして、アイリスやレオンといった高位貴族であれば、それは尚更だ。

リディアが簡単に話し掛けられると思うほうが無理な話である。


だからこそ、スコロライトやフローライトは1度、「自分達平民が生徒会にいて、アイリス様や殿下とお話し出来ているから、リディア様に分不相応だと思われているのかも」と不安になり、アイリスに相談した事がある。


けれど、アイリスから返ってきたのは思いがけない言葉だった。


「スコロライトもフローライトもとても優秀で、私も殿下も、勿論ナタリー、サリオスも凄く助けられているわ。そもそも、私が2人を誘ったのが始まりなのだもの。貴方達2人が生徒会役員になった事が間違いであれば、それは誘った私も間違えたと言う事ね」


そう寂しそうにされては、全力で否定するしか無かった。


アイリスの為に頑張ろうと入ったのに、自分達が恩人の手に噛み付いては本末転倒だ。

アイリスの選択が間違いで無かったと証明するには、自分達が頑張って見返せば良い。

そう気付いてからは、未だ少し残っていた遠慮や、平民と言う足枷も振り切って、ただひたすらに結果を出すようにしてきた。


その結果、リディア以外の生徒からも信頼を勝ち取り、「平民だから」と馬鹿にされる事もなくなった。これは、他の平民も貴族から一目置かれる結果となり、嬉しい誤算となった。


それなのに、リディアだけは毎回突撃してはレオンに相手にされない憂さ晴らしを、口撃という形でスコロライトとフローライトの2人だけにぶつけてきた。

2人は決して他の役員には告げなかったが、影からの報告でレオンとアイリスは知っている。

また、それとなくナタリーとサリオスも気付いているようだった。


ただ、スコロライトとフローライトの2人から被害を訴えられなければ、4人とも迂闊に動く事が出来ず、ヤキモキした日々を送っている。


そこでレオンとアイリスは、今日1日王宮に行くと言う名目で、学園から一度離れることにした。


ナタリーとサリオスには、レオンからそれとなく、自分とアイリスが今日は学園に居ないことを流してあると聞いた。

自分と会えないことで、焦れたリディアが生徒会室に来るかもしれないことも。

ただ、その事でスコロライトとフローライトが生徒会室から居なくなる可能性もあるために、2人には内緒にしていることも。

ただ、ナタリーとサリオスにも知らされていなかったが、レオンとアイリスは生徒会室近くの教室に待機することにしていた。


-そして案の定、リディアは2人が居ないことを知ると、生徒会室に乗り込んできた。

-その頃、控えてる2人


(来る前)

レオン:なぁ、彼女来ると思う?


アイリス:来るんじゃないかしら


(来た後)

レオン:来た!本当に来たぞ!


アイリス:落ち着きなさいませ。見つかってしまいますわよ


☆☆☆☆

アイリスと2人だと、王太子の仮面が外れやすくなるレオンです(笑)

ここまでお読み頂き、ありがとうございました。

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