独りよがりのお願い
そこからは、生徒会役員方の姿を見ては、助けてほしくて何度も何度も話しを聞いてもらおうとした。
だけど、独りよがりのお願いなんて誰も聞いてくれない。
追い掛けて話しかけても、話を聞いてくれない。
それでも諦められず、焦りばかりで上手く説明出来ていないことにも気づかないまま、必死に追い求めた。
「いい加減になさいませ。殿下方はお忙しい身。邪魔をするなど許されるものではありませんわよ」
ある日、とうとうナタリー様を怒らせてしまった。
だけど私も必死だったから、なぜそんなに怒られなければダメなのか理解できなかった。
だって、聞いてくれないじゃない。
サリオス様が、殿下に馴れ馴れしくするなとおっしゃった。当然だ。
だけど王太子殿下だからこそ、今の私には必要なのに……。
なおも追いすがろうとしたけれど、アイリス様の「名の知らぬ方」でハッと目が覚めた。
そうよ、お父さまにも名乗りの順番は大事だとあれほどに言われていた。
貴族と平民は違うのだと。あれほど、沢山勉強させてもらっていたのに……
「な…なん(…で?なんで忘れていたの?礼儀やマナーは、沢山頑張ったじゃない)」
そこからは、目の前の方々が何を仰っているのか、いついなくなられたのかも分からないほど、私は自分のした事が信じられなかった。
そこからは、助けてもらえない悲しみと自分への失望に、半ば自暴自棄になっていた。
スコロライト様やフローライト様を見る度に、幸せそうに笑っている2人が憎らしくなった。
(平民の2人があんなにお話し出来て幸せそうなのに、どうして私はダメなの?私だって、あんな風に幸せだったのに!ただ、助けて欲しいだけなのに!)
そんな尖った苛立ちは、私だけじゃなくてスコロライト様やフローライト様を刺すナイフに変わった。
ただ、そのナイフは持ち手も刃物で出来ていたから、刺す度に私も深く傷ついていった。
そこからは形振り構わなくなって、話を聞いてもらう為に2人を何度も口撃したし、時にはアイリス様の悪口だって言った。
だけど、なぜかスコロライト様とフローライト様は口撃された事を他の人に言わなくて、じっと耐えているだけだった。
その既視感を覚える姿に益々イライラして、手は出さなかったけど、どんどんと口撃は酷くなっていった。
夜になって、ふと2人の姿が誰に似ていたのかわかった。
周りに心配をかけないように、何を言われても耐えるしかない--クヴィスリングに相対する時の私だった。
それに気付いた時、自分への嫌悪でおかしくなりそうで、夜中までずっと吐いていた。
自分の気持ちが大きくなると、周りが見えなくなるあるある。ただ、家族を守りたい一心で、どんどん歯止めが効かなくなるリディア…。
ここまでお読み頂き、ありがとうございました。




