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せまい世界のまんなかで  作者: 桜莉 てく
sideリディア

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15/20

僕はクヴィスリング。クヴィスリング・チャロアイト。

初めてクヴィスリングに会ったのは、11歳の春。

お父さまからは、チャロアイト領の為に新たな産業のヒントにならないかと、1人で隣国に行っていたって聞いた。

その日は、隣国から定期報告の為に帰国したんだって..


「初めまして、小さなお嬢さん。僕はクヴィスリング。クヴィスリング・チャロアイト。お父さんの弟なんだ。これからよろしくね」


ヒョロっとした長身の体に長い手足。

笑顔で挨拶してくれたけど、薄灰色の瞳は笑ってなくてどこか怖かった。

その時は3日くらいの滞在で、すぐにまた隣国へ帰っていった。


自分でもよく分からないけど、ずっと胸がグルグルして嫌な気持ちだった。

なぜ?って聞かれても説明出来ないし、お父さまやお母さんに心配かけたくないから、その時は気のせいだと思うことにしたの。


その頃から、少しずつ山賊の被害が少しずつ少しずつ領内に広がって行った。

まるで、黒いインクが水の中で少しずつ滲んでいくように。


お父さまは連日のように届く被害報告に頭を悩ませて、家令に相談したり、他の領主にも手紙を送って被害状況なんかを確認したりしてた。

でも、手紙は1枚も返ってこなくて、実際に確かめに行かせた使用人は、3日後に川の中で見つかった。

多分、山賊にやられたんだろうって、「行かせるべきじゃなかった。彼には申し訳ないことをしてしまった」って、お父さまは痛ましげに言ってた。

後から分かったけど、そもそも手紙は1枚も届いたなかったんだ。

家令から手紙を受け取った配達員は、既にクヴィスリングに買収されていた。

だから、受け取った後に直ぐ灰にしてしまっていて、その後クヴィスリングに報告していたらしい。


そんな状況の中帰国したクヴィスリングは、お父さまを心配して雑務なんかを進んで代わっていた。

お父さまはとても感謝していたけれど、その時に男爵領のお金の動きや資産、流通なんかも把握したんじゃないかって、警備隊の人達は言ってた。


そして、私が12歳になる頃には山賊の被害はどんどん酷くなって、領内の騎士団では追い付かず、お父さまも鎮圧に出なければならなくなっていた。


段々とチャロアイト領が不穏な感じです。


数ある中から、見ていただきありがとうございました。


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