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アイドルって宇宙人と戦わないといけないんですか?!  作者: 新萌
三章

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29話 思い出に馳せる

「ここで、ターンで……こうでこうでこう!」

「お、ジョーズじゃんシュート君! んじゃ、ちょっと休憩して次の曲もいっちゃお!」


 チャリティーコンサートが近づいたある日、祝詞斗(しゅうと)達「Midnight Phoenix」の面々は当日の会場を使ったリハーサルを行っていた。


 会場には祝詞斗たち以外にも複数の出演者やスタッフがおり、照明の当たり方や機材の位置、客席からの見え方などを話し合っていた。


「モトヤスさんどうー? ちゃんと見えるー?」

「バッチリでござる!しかしながら当日はステージ端にキャンドルが並べられるでござるから……もう少し足の動きを大きくしてもいいかも知れぬでござるな。あとは……やはり全体的に動きを大きくすることを心がけるといいでござる! 」

「はい! ありがとうございます!」


 耳元のインカムから客席で見え方をチェックしている元康(もとやす)のの声が聞こえる。戦争被害者を招待するライブである以上、客席、特に遠くからでも見えるパフォーマンスをすることは大切だ。三依(みい)や麟(りん)ら既存メンバーは何度か立ったことのあるステージだが、祝詞斗は初めて立つためパフォーマンスの状態確認も含めて優先的に確認してる次第だ。



「はあ、疲れた……それにしても、広いですね……今までで一番広いかも?」

「そりゃそうよ! ここは埼玉ブロックの広域指定避難所にも指定されてて、めったに使うことのできない秘蔵のステージなんだから!」

「新さいたまスーパーアリーナ、ですよね。なんでも戦争が始まる前にあった会場を拡張して立て直したとか」

「そのとおり! よく知ってるね~」


 ペットボトルの水を飲みながら、ステージ下に広がる客席をまじまじと見つめる祝詞斗。先ほどの映像を確認していた三依も祝詞斗の隣に座り、感慨深そうに客席を見つめた。


「ここはねえ、ボク達『Midnight Phoenix』が初めてライブをした場所なんだ、ってショーリさんが言ってた。『セイチ』ってやつ? 今もここでライブするって言うと、喜んでくれる人が多いんだって」

「そうなんですね……」

「それと、これはコジンテキなやつなんだけど……ボクが初めてアイドルを見たのもここなんだよねえ。ヨ(・)ー(・)ゴ(・)シ(・)セ(・)ツ(・)のみんなと招待されていったんだけど、その時にいたのがショーリさんとモトヤスさん達だったの! それはもう凄くて……いまでも覚えてるんだ!」


 光がふわふわしててねー、黒くてカッコいい衣装着ててー、と興奮気味に説明を始めた三依。祝詞斗がふんふんと相槌を打っていると、スタッフとの打ち合わせを終えた晶理(しょうり)客席から戻った元康がペットボトルを持ちながら近づいてきた。


「おや、休憩中だったか。何の話をしていたんだ?」

「あ、ショーリさんとモトヤスさん! 今ね、ボクが初めて見た二人のライブの話してたんだー」

「三依殿が初めて見たとなると……いつ頃のものでござろうか」

「チャリティーコンサートのやつで、黒い衣装着てて、キャンドルがふわふわしてたやつみたいです」

「「ふわふわ……?」」

 

 祝詞斗は三依に言われたことをそのまま伝えたが、あまりの抽象さに首をかしげる晶理と、画像検索を始める元康。しかし数秒の後、何かを思い出したように軽く頷いた。



「……ああ、あの時のものか。懐かしい」

「11年前のチャリティーコンサートのことでござるな? 某らの6回目の出演で、とても幻想的な演出が施されていたでござるな」

「そうそうそれ! ショーリさんも、モトヤスさんも、あとほかの人も、すっごくきれいだった! ボクもあんな風に踊ってみたいな~」


 憧れのまなざしを向ける三依に照れくさそうにはにかむ晶理と笑顔を浮かべる元康。ボクにもできるかな? と尋ねる三依の肩に、晶理は優しく手を置いて答えた。


「勿論だ。……しかし、かなり前のことなのに覚えていくれているとは……私もとても嬉しい」

「某らももっと精進せねばならぬな!」


 そんなにすごかったならオレも見てみたかった……と呟く祝詞斗に今度ビデオを探してみるでござるよ! と元康が慰めていると、舞台袖の奥から麟が小走りで近づいてきた。



「すみません遅くなっちゃって……インタビューが、長引きまして」

「あ、リンさん。ボク達も休憩してたとこだから大丈夫!」

「これで全員揃ったな。ちょうど私たちのステージ全面使用可能時間だ。通し練習をしよう」

「「「はい!」」」

「では某はステージ前方にカメラをセッ……」


ジリリリリリリ――

 

 元康が自身のスマートフォンを三脚にセットしようと歩き出したその時、5人の黒い携帯電話――「内閣特別行動分隊」の業務用連絡端末がけたたましく鳴り響いた。


「え? この音って、緊急連絡用のアラームじゃ」

「てことは……」

「……はい、こちら『内閣特別行動分隊』隊長、晶理だ」


 こんなときに? と緊張した空気が走る中、5人を代表して晶理が携帯を取り出し、スピーカーをオンにした。



『……こちら内閣防衛戦線埼玉支部。埼玉ブロック付近に高危険度の地球外生命体が出没した。支部分隊が対応に当たっているが、苦戦している模様。至急応援願う』

「了解した。全員で向かう。大まかな場所を教えてほしい」

『応援感謝する。場所は――』

「!そこは……了解した」

 

 一般市民の居住空域にかなり近い位置情報を聞き、険しい表情の晶理は少々の会話の後に通話を終え、同じく真剣な面持ちで聞いていた面々に指示を出した。





「……予定変更だ。今から埼玉ブロック近郊に出動する。制服と装備は持っているか? 各自準備を整えたら出発する」

「「「「了解!」」」」


 4人はそろって返事をし、照明の瞬くステージから走り出した。


 


 

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