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アイドルって宇宙人と戦わないといけないんですか?!  作者: 新萌
二章

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閑話 闇夜の井戸端会議2

「ただーいま! 冷蔵庫空いてる?」

「む、三依(みい)殿! 冷蔵庫は空いているでござるよ!」

「おや、(りん)は一緒にじゃなかったのか?」

「リンさんはシュート君と買い物! ボクだけ先に帰って来たの!」


 三依は素早く冷蔵庫に祝詞斗(しゅうと)の分の箱を入れた。そして自分の分の箱からガラス瓶に入ったプリンを取り出しいそいそと席に着いた。


「いただきまーす!……うん! やっぱり最高!!」


 三依が小さな幸せをかみしめている姿をまじまじと見つめる元康。その視線に気が付いた三依がどうしたの? と言いたげにスプーンを口に入れたまま見つめ返した。


「むむ、その……三依殿はその『ぷりん』とやらが好きなのでござるか?」

「そうだよ! 甘くて、とろとろで、美味しいんだー!」

「彼がこれを食べ始めたのは今に始まったことではないぞ? どうしたんだ、元康?」


 


 2人に不思議そうに尋ねられた元康は、彼の表現できる最大限に残念そうな顔でため息をついた。

「羨ましいでござる……もし、某にも食事機能が付いていたら、三依殿と祝詞斗殿を虜にした『ぷりん』を食べてみたいでござるよ……あ、あと麟殿の手料理も……それと晶理(しょうり)殿が美味だと言っていたオムライス専門店も……」


 数え切れないほどのの食事シーンを見ていただけの彼から発せられる心の底――厳密にいうと彼に「心」は存在しないのだが――から発せられる願いに、2人はくすりと笑顔がこぼれた。


「そう落胆するな。最近のアンドロイドには味覚を信号化して食べているように感じられる機能があるらしい。君もつけてみたらどうだ?」

「それいいじゃん! ボクにはよく分からないけど……エラい人に頼んでみたら?」

「それは魅力的でござるな……某のスペックで足りるといいでござるが……いや、そもそもそんな最新技術、互換性があるでござるか?」


 晶理の提案にうむむ……と考え込んでいた元康だったが、しばらくしてすくりと立ち上がった。


「否、案ずるより産むが易し、思い立ったが吉日でござる! ちょっと聞いてくるでござる!」

「吉報を期待しているよ」


 晶理が元康の後ろ姿を見送っていると、1つ目のプリンを食べ終わった三依が、2つ目のそれと、カップに入れられた黒い半透明の物を取り出し。


「はい、ショーリさん! ボクからの差し入れ! ショーリさん甘いのニガテだったから、コーヒーゼリーだよ!」

「おや、これは珍しい差し入れだな。ありがとう」


 ミルクを纏いツヤツヤぷるぷるとしたゼリーを眺めていた晶理は、差し出されたスプーンを受け取り、そっと口に運んだ。


「……とてもいい口当たりだ。流石、君達が入り浸るだけの名店だ」

「ホント? よかったー!」


 自分のことのようににこにことしている三依をしばらく見ていた晶理は、スプーンを静かに置き、それで……と口を開いた。


「それで……何が欲しいんだ? 小さな策士よ」

「えへ 、バレてたか…… 」


 「大好きな人を喜ばせることが1番の優先事項」を信条とする彼だが、今回はある目的のために、いわば「ワイロ」を渡したのだ。



「あのね……ドームツアーのボクの日替わり回で一緒に歌ってほしいの! ファンのみんなも絶対喜ぶと思うんだ! お願い!!! 」


 あまり見ないような真剣な表情で両手を合わせる三依に、晶理は一瞬拍子抜けしたが、すぐにいつものように柔らかく微笑んだ。


「……大切な後輩からの願い事だ。何も渡されなくても何でも聞くが?」

「ショーリさんありがとう!!」


 それで、何が歌いたんだ? と晶理が尋ねると、三依はいそいそとセットリストを見せた。


「えっとね、これかこれか、これがいいかなって思ってて……」




 元康が肩を落として帰ってくるのは、もう少し先のことであった。

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