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アイドルって宇宙人と戦わないといけないんですか?!  作者: 新萌
二章

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14話 隼と雛の休息

「ねえ聞いた!? 『Midnight Phoenix』、ドームツアーやってくれるんだって!! マジでビックリしたんだけど!」

「知ってる知ってる! きっと神風君のソロ曲もお披露目されるんだよね! 楽しみだな〜! チケット取れるかな……」

「今から徳積めば大丈夫だって!ファンクラブ先行もあるんだからさ!」


「…………あ、あの人たち、オレのこと……」

 突如決まった大人気アイドルグループのドームツアーにファンも驚いているようだ。大学生時代のレポートラッシュなど比にならないハードスケジュールの合間を縫い、変装して街を歩く祝詞斗(しゅうと)の耳にそんな会話が入った。


「……オレに、期待してくれてるんだ。じゃあ、頑張らないと」


 彼のデビューグッズである、青色のフェニックスのメタルキーホルダーをカバンに輝かせながら祝詞斗の隣を通り過ぎる彼女らの会話を聞き、祝詞斗は疲れが和らいだ気がした。



「いらっしゃいませー!」

「えーと、あ、よかった、まだ残ってる」

 

 ――昔兄と行ったスイーツ専門店の支店が近くにあるらしい――

 そんな情報を(りん)から聞き、見つけ出したこの店の、大人気商品の1つの小さくて柔らかいプリンが祝詞斗のお気に入りだった。味はもちろん、兄が好んで食べていたのも理由の1つかもしれない。


「このプリン2つ、お願いします」

「かしこまりました!ご注文は異常でよろしいでしょうか?」

「はい、以上で」

「保冷材はどういたしますか?」

「うーん……なしでお願いします」

「かしこまりました!」


 店員は素早く箱に入れ、祝詞斗も会計を済ます。ありがとうございました! の声を後に、足早に店を出た。


「帰ったらすぐ食べて……午後からは新曲のレッスンで、あ、会場替わりパートのセトリも作らなきゃ……あれ?」


 数分おきに出発する東京中枢区行きの高速鉄道乗り場に向かっていた祝詞斗は、すぐ近くのドラグストアから変装している――しかしどことなく見慣れた顔が2人出てくるのを捉えた。


「悪いなみ……晴希(はるき)、俺の薬の買い忘れに付き合ってもらって……ん?」

「どうしたの?……あ」


 2人もこちらに気が付いたらしく、近づいてきた。


(りん)さんと三依(みい)さん……?」

「しー!! せっかく変装してるんだから、芸名じゃなくて晴希(はるき)、って呼んで! ヤマト君?」

「すみません……三依(晴希)先輩とえーと……」

拳翔(けんしょう)だ。君もツアーの買い出しに……来たわけじゃなさそうだな」


 祝詞斗の手に握られた箱を見た三依(晴希)は全く同じ物を持った自分の手元に視線を落とす。


「あれ、シュート(ヤマト)君もそのお店のスイーツ好きなの?ボクも好き! 特にプリンが美味しいんだよね~」

「え、そうなんですか?! 実は、オレも……」


 甘いものが好きだということは彼のおやつ事情からなんとなく把握していたが、まさか好きな店まで一緒だったとは。祝詞斗は少し笑みがこぼれた。


「にしてもお二人とも変装が凄いですね……一瞬家族か兄弟かと思いました」

「……俺は、そんなに老けて見えていたのか……?」

「え? あ、いや、そんなことはないですよ!?」

「え、なに? ボクがガキに見えるってこと?」

「いやいやいや、そんなこともないですけど……」


 まずい、と祝詞斗は焦ったが、三依が意地悪く笑いながら言った、ジョーダンだよ? の言葉にホッとした。


「んじゃあボクらは帰るけど、シュート君も早くツアーの準備しなよ? 」

「時間があるなら俺が付き合おうか?」

「あー……お願いしたいのはやまやまなんですけど、プリン(これ)、保冷材入ってなくて……」


 祝詞斗が申し訳なさそうに箱に目を落とすと、三依がボクに任せて! とウィンクをした。


「じゃあボクだけ先に帰って、シュート君のプリンも持ってってあげる! これでどう?」

「そんな、いいんですか?」

「困ってるコーハイをほっとくわけないでしょ?」


 祝詞斗は三依の厚意に甘え、大切なプリンを託して麟とドラッグストアに入った。



「なんか、三依さん機嫌がいいですね……あ、いつもが悪いって言っているわけじゃないんですけど」

「わかるよ。三依、今回のツアーに子供の頃住んでいた場所が入っているらしくて……いつもより楽しみにしているみたいなんだ」

「そうなんですね……あ、歯ブラシ見てきてもいいですか?」


 祝詞斗はカートを、麟は手に袋を下げながら、ドラッグストアをゆっくりと回った。


 

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