10話 雛は雛でも
「みなさん初めまして!『Midnight Phoneix』のブルー担当、『明日を呼ぶ蒼碧の隼』、神風祝詞斗です! 今日こうして皆さんに出会えて嬉しいです!」
「祝詞斗殿、こっちのカメラにも目線を頼むでござる」
「このフェスが終わったら、公式サイトに情報が解禁されるはずだ。新しい仲間をぜひ歓迎してくれ!」
青い空と、赤い糸が交錯するステージで、新たな不死鳥が誕生した。
「……では早速、新メンバーを交えた楽曲を本邦初公開だ!タイトルは ……『higher higher』!」
ステージの両側の大きなスピーカーから、けたたましいギター音が鳴り響く。麟の力強い歌唱から、デビュー曲は滞りなく始まった。
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「ショーリさん、次の曲まであとどのくらーい?」
「そうだな……あと半分と言ったところだ。君の位置から逆算すると……そろそろ戻ったほうがいい。私も会場駐車場から移動する」
「りょーかい!」
かすかに聞こえるメロディーをバックミュージックにしながら、身長ほどあるマシンガンを片手に廊下の地球外生命体を蹂躙する|三依。晶理の「糸」によってピクリとも動かない彼らには抵抗する術もなかった。三依よりもさらに遠くで戦う晶理からの連絡にそろそろ戻ろう、と誰もいなくなった廊下を駆け足で進んでいると、とある扉の中から悲鳴のような声がした。
「あーれ? そこ、ヒナンヨーのシェルターじゃないはずなんだけど……確認するぐらいの時間あるよね」
声の発生元と思われる控室の前に到着した三依。地球外生命体の罠かもしれないと一応警戒しながら、ガトリング砲を持っていないほうの手に懐から出した小型の拳銃を構え、思いっ切り扉を蹴破った。
「はーい、にほんぐーんでーす! けが人はい……って、そんな場合じゃないね」
三依の目に飛び込んできたのは今にも襲いかかろうとする地球外生命体と、崎本だった。
瞬時に標準を定めて、的確に弱点を撃ち抜く。1秒と経たないうちに地球外生命体は崩れ落ちた。
「お前、『Midnight Phoenix』の……?!」
「オマエさあー、なんでここにいるの?シェルターは、この部屋でてひ、だ、り! まだウチュージンいるんだから、早くヒナンして!」
安堵もつかの間、アイドル衣装のままガトリング砲と銃を構える三依に驚きの表情を見せる崎本。しかし三依は意にも返さず、インカムに一般人1名保護、ケガないと思いまーす、と連絡を入れた。
「……ありがとう、あと、お前たちのこと、誤解してた。本当にすまなかっ……」
「ボクもう時間ないから行くね! ショーリさんの『糸』が守ってくれるから! あと、コレはタゴンムヨーでお願い! ボクたちは“チョー人気キラキラアイドル“なんだらね!」
崎本が何か言い終わる前に、そろそろ戻らないと本当にまずいぞ、と晶理から伝えられた三依は全速力で部屋を後にした。
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「おまたせっ! 次はリンさんとモトヤスさんよろしく!」
「会場近辺および控室は片付けた。ステージ周辺の残党を頼む」
「higher higher」が丁度終わり暗転したステージで、素早く入れ替わる三依と晶理。二人の言葉に麟と元康は小声で頷いた。
「「了解!」」




